2009年8月26日水曜日

173 / 217 そこが変だよ自衛隊

10点満点で、8点。

読書時間(普通に読んだ)・・・2時間程度

元陸士長(17階級中下から3番目だ)の著者が、ユーモアたっぷりに描く、お笑い自衛隊暴露話。
著者の筆力か、面白おかしく書いてあって笑えるのだが、よく考えると笑えない、実はブラックユーモアなのか、という箇所も多々ある。たぶん、本当はもっと深刻な問題なのを、笑い飛ばしているのだろう。

実弾どころか空砲もろくに撃てないため、戦闘訓練では「パン、パン」と言ってみたり「ドッカーン」と言ってみたり。
演習後には全員で空薬莢を探してみたり。
どこかで聞いたことがあったりして、知っているはずの話なのに、実体験として語られると面白い。そして読後、冷静になってみると笑えないことに気づいたり。

自衛隊と言うだけで抵抗のある向きもあろうから、こういうスタンスで書かれた本は、結構貴重なのかもしれない。
自衛隊の連中だって、バカもやるしポカもやる、同じ人間なんだというスタンスを、忘れてしまった人には一読を勧めたい。こんな連中なんぞ不要だ、なんて言われるかもしれないが。



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2009年8月24日月曜日

172 / 216 心を静める

10点満点で、7点。

読書時間(普通に読んだ)・・・1時間程度

心身統一合氣道会の会長、藤平信一氏の著書。姿勢や立ち居振る舞いなどで合気道の話題もそこかしこに出てはくるが、むしろタイトル通り、心のあり方について語られた本。武道の範疇に入るであろう話題も多いが、武道に興味がない人も読む価値はあるのではなかろうか。

「常に相手の立場に立って考える」ことでどう変わるか、自分の意識、行動、そして周囲。本書では直接語られたことは少ないが、自分の経験から、イメージが広がっていった。

著者は、俺と2歳しか違わないのに、武道家として確固たる地位を築き、そして本書を著せるほどの人間修行を積んでいることが読み取れる。遠く及ばないが、近づきたいものだ。

我が富木流でも、こういった本を著した人はいないのかな。



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171 / 215 つっこみ力

10点満点で、5点。

読書時間(普通に読んだ)・・・1時間程度

何ともとらえどころのない本。
まさか本当に漫才のライブを文字に起こしたというわけではなかろうが、そういうスタンスで書かれている。
話があちこちに飛び、「つまり何が言いたいんだろう?」と思うところが少なくない。

読み取れたのは、「物事は多面的な見方をしなきゃダメだよ」「人の言うことをすぐ真に受けちゃダメだよ」「自分で考えなきゃダメだよ」という主張だけ。後は、つまり何を言っていたのだろう?

特に目的も決めずに読んだが、本気で読もうと思ったら、いったい何を考えながら読むべきなのだろう?



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170 / 214 日本の戦争と平和

10点満点で、9点。

読書時間(普通に読んだ)・・・2時間程度

日本の安全保障について知りたいなら、文句なしにお薦めの本。
政界きっての軍事オタクとして名高く、その上防衛庁長官、防衛大臣を歴任した石破茂氏と、様々な立場で政府にも助言する軍事アナリスト、小川和久氏の対談。少なくとも自衛隊については知らないことなどないのではないか、という気すら起きてくる二人が、わかりやすい言葉で対談している。

対談の内容も、外交、安全保障、国家のあり方まで多岐にわたる。何よりも、お互い説明などしなくともわかっているはずの事柄についても、読者のために解説してくれるという親切さ。何について語っていて、何が問題で、論点はどこで、どうすべきだ、というのがはっきりとわかる。

いずれも政府サイドの立場に立つ人たちだから、思想が違えば素直に読めない箇所は多々あるだろう。それでも、本書で語られている内容に、根拠を出してきっちり反論することはかなり難しいのではないかと思う。それだけ具体的だし、説得力がある。

最近安全保障に関する本を多く読むようになって、少しは知識が付いてきたかと自惚れていたが、まだまだまともな議論をするには幼稚園児並みの知識しか持っていない、自分の浅学を思い知らされた。



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2009年8月18日火曜日

169 / 213 幸せな宝地図であなたの夢がかなう

10点満点で、7点。

読書時間(普通に読んだ)・・・20分程度

この本も分類に困る本だが・・・哲学書かな。
端的に言うならば、宝地図という手法で実践するアファメーションの解説書。常に肯定的なイメージを抱き、成功を具体的なイメージとして抱き続けることで、無意識からのアプローチを誘起するというモノ。

書いてあることについては、科学的な検証などしようがないだろう。何かを成し遂げたとき、それが自己暗示によるものなのか、そんなものなどなくとも達成できたことだったのか、知りようがない。それでも、少なくとも本書に書いてあることを実践することについて副作用はなさそうだし、投資も不要だから、実践する価値は大いにある。

家族と同居している人は、宝地図を見られることについて覚悟が必要だが・・・家族みんなで書いてみるのが一番いい方法かもしれない。

残念なのは、「水からの伝言」をほぼ全面的に肯定している箇所があること。
本書で主張していることは、人間の精神に関わることだからまだ科学とオカルトの境界線にあるが、水伝はただのトンデモ。同列に語ることで、本書の価値を自ら貶めている。
せっかくいいことを書いているのだから、わざわざエセ科学に分類されるリスクを冒すことはないだろうに・・・



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168 / 212 日本で一番大切にしたい会社

10点満点で、8点。

活性化(普通に読んだ)・・・1時間半程度

分類はどうしたもんかなあ。ビジネス書なのかもしれないが、個人的には違うと思う。それは、「この会社はこうして成功している」と言うことは書いてあるが、「同様のことをして失敗した会社とはここが違う」という考察がないこと。

単純に、いい話、感動する話、泣ける話には事欠かないので、基本的には万人に勧められる本だと思う。読むと、何となく心が温かくなれる。

しかし、ビジネス書として読むのは危険だろう。うまくいった部分だけを取り上げて、なぜ成功したのか、成功の陰にある努力は何かと言うことに、あまり光を当てていない。

金儲けに我を忘れてしまった人に読んでもらいたい本ではあるが、そういう人がこんな本を手に取るかな。



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2009年8月15日土曜日

167 / 211 黒い取引

10点満点で、8点。

読書時間(普通に読んだ)・・・2時間程度

本書を読むまで、そもそもプロパンガス料金は公共料金ではない、ということすら知らなかった。
本書のサブタイトルは「知られざるもう一つのガス業界」とあるが、「もう一つ」とはプロパンガス業界全体を指すようだ。本書を読む限り、「一部悪徳プロパンガス業者」の話ではなく、「一部良心的な業者も存在するプロパンガス業界」としか思えない。

冒頭にも記載があるが、埼玉県の業界団体副支部長の発言。自分の顧客を奪った安売り業者に対して
「何がお客さんだよ。消費者の自由だの、ふざけたこと言ってんじゃない。お宅のやっていることは業界の恥だよ。話し合いにならん」と。
こういう発言をすることは、恥とは思われない業界と言うことか・・・

そういえば、プロパンガス業者については、料金表を掲げているところは見たことがない。本書を読めば、その理由はよくわかる。一言で言うなら、取れるところから取る、ということだろうか。

本書を読むまでは知らなかった話ばかりなので、本書の信頼性については判断できない。冷静な筆致からは、それなりに信頼できるとは思えるが。

惜しむらくは、ほとんどの業者が仮名、あるいは匿名であること。業界の闇を暴くことが目的ならば、実名で書いて欲しかった。

とはいえ、本書を読む限りでは、「プロパンガス業者は大同小異」「痛い目に遭いたくなければ都市ガス」「でも都市ガスも、業界団体と行政の癒着のせいで自由には選べないけど」というポイントに行き着いてしまいそうだが。



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2009年8月12日水曜日

166 / 210 鉄と鉄鋼がわかる本

咀嚼しきれなかったので、評価しない。

読書時間(普通に読んだ)・・・2時間程度

「『鉄』に興味のあるすべての人へ」とあるとおり、初心者向けにわかりやすく書いてある・・・ような気はするのだが、俺には難易度が高い。可と不可の境目だったとはいえ、学生時代に材料化学なる単位を取得した身ですらこれだから、本当に予備知識が全くない人にはかなりの難書ではないだろうか。

特に、一番知りたかった製鉄法、製鋼法については、残念ながらほとんど理解できなかった。何となくわかったようなつもりになって読むことはできるのだが、基本的な言葉や設備の構造など、知らなければ読みこなせない内容だと思う。それだけ、歴史のある奥が深い技術だと言うことだろうか。

圧延などの加工や、溶接などについては興味深く読めた。
雑学と言うにはちと敷居の高い本。逆に、本当に興味があって知りたい人には、たぶん浅い内容だろうという気がする。



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2009年8月7日金曜日

165 / 209 良心をもたない人たち

10点満点で、7点。

活性化(スキタリング)・・・1時間半程度

欧州ではなんと25人に1人の割合で存在するという、先天的に「良心」というものを持たない人たちについて。
ソシオパスあるいはサイコパスといった症状で呼ばれる精神疾患の一種だが、本人がそのことを負担に思わないこと、むしろ短期的な意味では周囲よりも優位に立ち回れることから、その存在を把握ことすら難しい、恐ろしい人たち。

彼らは良心を持たないから、罪悪感も持たず、何でもできる。しかし、そういった感情を持っていることを装うことはできるので、そうと知られずに生きていける。そしてあるいは人を踏み台にし、あるいは人に寄生し、あるいは特に理由もなく人を傷つける。

読めば読むほど恐ろしくなるが、日本人にとっては少しだけ救いがある。それは、日本と中国では、彼らの存在確率が極めて低いこと。欧州では25人に1人、4%の割合で存在する彼らは、台湾では0.03~0.14%に過ぎないらしい。なぜ日本と中国について語りながら台湾が例に出るのかはわからないが。



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2009年8月6日木曜日

164 / 208 日本を救う9人の政治家とバカ1人

10点満点で、6点。

読書時間(普通に読んだ)・・・2時間程度

前著「日本をダメにした九人の政治家」からスタイルを変え、日本の希望について語った本・・・かと思ったら、そうでもなかった。前著とあまり変わらない。

本書で取り上げられた「日本を救う政治家」とは、小泉純一郎、田中真紀子、野中広務、鳩山由紀夫、小沢一郎、橋本大二郎、北川正恭、石原伸晃、石原慎太郎。

個人的には鳩山も小沢もどうかと思うが、それ以上に真紀子が日本を救うなんて、ブラックユーモアにも程があるだろう。真紀子の実績は、日本という国への信頼を失墜させ、女性政治家の代表格としてその評価を下げ、人気偏重の政治屋ではダメだと言うことを思い知らせ、それでもトップ当選させてしまう日本国民のレベルの低さを思い知らせた、それくらいしか思いつかない。

実際、真紀子について書いた内容では、ほめている部分がほとんどない。「期待を込めて」などと書いてはあるが、それにしたって真紀子に期待するのはあまりに末期症状だろう・・・

前著とは違い、本書に載っている情報はほとんど新聞や週刊誌で報道されたこと。それに(自分なりの情報網も入れて)ハマコーなりの解釈をしたというところだろう。「政治」について語っていないのも前著と同じ。

この本も趣味の本。でも、前著よりもレベルは低いかな。



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163 / 207 日本をダメにした九人の政治家

10点満点で、7点。

活性化(普通に読んだ)・・・1時間半程度

ハマコーが政界引退と同時に書き下ろした本。1993年の出版なので、もう16年も前か。
ハマコー自身、中曽根康弘、竹下登、三塚博、宮沢喜一、梶山静六、小沢一郎、田辺誠、宮本顕治の9人を名指しで非難している。

内容は政界裏話といったところで、当然ほかでは報道されたことがないような話題が多い。なので信憑性を計るすべはなく、面白いのだが面白いだけで済ませておくべきか。

政党、あるいは政界内部の権力闘争の話題がほとんど。個人的には、政治家の評価に最も重要だと考える、主義主張とその影響、実施した政策とその結果など、「政治」に関する話題がほとんどない。ワイドショーの書籍版、といった印象が強い。

ワイドショーを見て楽しんでいる、誰がどんなポジションにいるとか、あの事件の黒幕は誰だとか、そういう話題が好きな人は楽しめる本だろう。反対に、純粋に政治に興味があり、具体的に日本にとってどういう害があったのかという点に着目して読む人には、時間の無駄と言える。

現在進行形の話題でもなく、趣味の本。



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162 / 206 朝日新聞のトンデモ読者投稿

10点満点で、7点。

読書時間(普通に読んだ)・・・2時間半程度

寝床で、寝る前に少しずつ読んだ。楽しむための読書は、肩に力を入れないで。

しかし、この本をいったいどう分類すればよいのだ。メディア評論と言うべきか? 内容があまりにアレなので、ユーモアにしてみたけれど。

天下の大新聞、泣く子も黙る朝日新聞の読者投稿欄から、ギラリと異様な輝きを放つものをピックアップして、著者がコメントをつけている。内容はさすがに本としてまとめられるだけあって、スゴい。

正直なところ、とても天下の全国紙に掲載されるような投書とは思えない・・・日付がちゃんと書いてあるから縮刷版を見ればすぐにわかるし、捏造してまで掲載するような内容ではないから、本物の投稿なのだろうが・・・こんなのを乗せる新聞社って、文章で飯を食っているというプライドと、第四の権力と言われる影響力の認識を、本当に持っているのだろうか?

読者投稿とは言え、掲載に当たり取捨選別の権利は新聞社にある。当然新聞社のカラーは出るだろうし、自らが主張したいことに近い内容が掲載されることが多いのだろうが・・・もうちょっとマシなのを選べないのだろうか。朝日の主張に近い投稿はマトモなのがこないから、こんなのを掲載せざるを得ないのだろうか。

論理破綻、支離滅裂、もう何でもあり。結語のワンフレーズが言いたいだけで、あとはただスペースを埋めてるだけといったものもある。よくこんなのが、全国紙に掲載されるな。

メディアというものを信頼せず、少し外れたところから冷静に読める人なら、楽しめるだろう。
メディアを信じ、メディアの力を信じる人が読んだら、日本に絶望してしまうかもしれない。



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161 / 205 不肖・宮嶋のネエちゃん撮らせんかい!

10点満点で、6点。

活性化(普通に読んだ)・・・1時間半程度

内戦中のボスニアで、いいオンナの写真を撮りたい!という、スゴいんだかスゴくないんだか、馬鹿なんだかそうじゃないんだか、よくわからないが(いい意味で)変な企画。不肖・宮嶋氏一流の、いい加減だがリアリティを感じる文章が軽快で、読みやすい。結構深刻なこともたくさん書いてあるが、さらりと読める。

それにしても、人間のたくましさ。女性の、美に対する執着心。いずれも少々呆れながら、何とはなしに安心感を抱いてしまう。人間って、結構大丈夫なんだな。

政治的な主張もそこかしこに入ってはいるが、強い主張ではなく、また面白おかしく書いている部分もあるので、思想信条の違いで受け入れられない人も多くはないと思う。少なくもないだろうが。

趣味の本だね。読んで何かを得るたぐいの本ではない。面白かったけど。



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