2010年10月29日金曜日

アクティブ・ブレイン学習法

昨日、初開催のアクティブ・ブレイン学習法コースに参加してきた。このセミナーは、高校・大学受験や、資格試験など、「正解がある問題が出て、全て理解できていれば100点が取れる」試験に対する、アクティブ流の挑み方について学ぶセミナー。

具体的な記憶のテクニック(P=9.8QHηという式を覚えるとか)を期待したが、そういった話は出なかった。
(質問すると、「イメージ転換法」「イメージ分解法」「イメージ連結法」の組み合わせでいけるから、やってみなさいとのこと)

むしろ、勉強法全般に関わる話。tacticsではなくstrategy。
勉強する順番として、

1.孫子法
2.バードウォッチング法
3.サマリー法
4.アクセル・パーフェクト法
5.ラーニング・パロット(オウム)法
6.タイムトライアル法

というものを学ぶ。そして、これらの学習法について効果を上げるために、

A.タイムマネジメント
自分の生活を振り返って、一日何時間勉強に割けるのか決める
決めた時間は、必ず勉強する
一日1時間なら、サボった日の翌日は2時間勉強する!
・・・サボらない無理のない時間を決め、サボれないプレッシャーをかける
飲み会、旅行など、勉強できないとわかっているタイミングについては、予め想定しておく(一日1時間だが、合計で週6時間など)

B.モデリング
そのジャンルで、既に合格している人を見つけ、教えを仰ぐ
覚えなくていいジャンルがあるかも、ある公式は別の公式から導ける(覚えなくていい)かも・・・

C.モチベーションパートナー
同じ試験を一緒に受ける、あるいは勉強を無条件に応援してくれる人を見つける
「合格すると、この人も喜んでくれる」と思うと、やる気が2倍になる


内容としては、他の本(これとかこれとか)に書いてあることと、大きく違うとは思わなかった。ただやはり、小田先生からこの話を聞き、「つまり具体的には、このジャンルでは最初にこれをやって次にこれをやって・・・と進めていけばいいのですか?」と聞けることが、大変有意義。本では身につかないポイント、「なぜそうやるのか」がよくわかる。

プレミアムセミナーなので、アドバンスコースまで終了した人でないと受講できないし、次回開催も決まっていないみたい。でも、試験を控えている人(できれば1ヶ月以上猶予があること)は、ぜひ受講して欲しい。

ちなみに初開催で、19:00~21:30の予定が、休憩なしで22時に迫る時間だった。できなかった演習もいくつかあり、次回以降内容が大きく変わっているのかも知れない。

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2010年10月25日月曜日

083 / 363 ボナンザVS勝負脳

10点満点で、7点。
読書時間・・・2時間半程度

つい先日、清水市代女流王将を下して話題になった合議制コンピュータ将棋「あから2010」の一部として機能した、ボナンザについて。2005年に颯爽とデビューして、コンピュータ将棋選手権で初出場初優勝の快挙を成し遂げた、ボナンザ。どういうアプローチで作っていったのか、作者が語っている。そしてさらに、そのボナンザと公開対局をして勝利した、渡辺明竜王が、ボナンザについて語っている。なんと豪華な。

作者は、将棋について詳しくないため、「どうすれば強い将棋プログラムを作ることができるのか」わからなかったという。そこで作者が取ったアプローチは、自らの専門分野をベースに、プログラム自らに「どう指せば強くなるのか」を考えさせる、というもの。そのせいか、ボナンザは他のプログラムではまず出てこない、人間臭い差し手をするのだという。

渡辺竜王はしかし、それでもボナンザには「コンピュータなり」の弱点があり、恐らく人間が負けることはないであろうと語っている。コンピュータには、計算で指し手を選ぶことしかできず、漠然とした「大局観」を持てないことが限界であろう、と。

渡辺竜王は、同時にボナンザの強さも認めている。対局中に「なんかこいつ、強すぎるな」と感じ、また10番勝負などでは全勝は難しいとも語っている。2007年3月に対局した時点でこの強さ。それから3年を過ぎ、その上複数プログラムの合議制で動いた「あから2010」は、女流王将を下したのも自然の流れなのかも知れない。

「羽生さんは恐らく、人類が到達しうる最高の将棋を指している」と語った渡辺竜王。
清水女流王将を破ったボナンザが、安定して勝ち越せるようになり、トップ棋士に挑む日が来るのはいつだろうか。


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2010年10月24日日曜日

082 / 362 筆談ホステス 67の愛言葉

10点満点で、6点。
読書時間・・・1時間弱

筆談ホステスでその一端が披露された、心温まる筆談を集めた本。その内容に至るまでの客の状態、何を考えながら書いたのかなど書かれている。

うまいこと言う(書く)なーとは思ったが、心に響くほどではなかった。
所詮、銀座で酒を飲みながら、ホステスに言われてることだからね。客に対して言っていることであって、一人の男女関係で言ってることではないから。
(そんなのだったら、本に掲載しないだろうし)

へこんでるときにこんなこと言われたら(書かれたら)ぐっとくるだろうな、というのは多いが、冷静な目で読むと、「そういう切り返し方があるのか」と感心するだけ。まぁ、一流(なのか?)ホステスの話術を読む本、と思えばよい。


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2010年10月22日金曜日

081 / 361 アメリカ皇帝になった男の話

10点満点で、8点。
読書時間・・・2時間程度

最初から民主主義国家として誕生し、わずか250年足らずの歴史しか持たないアメリカ合衆国。イギリスから独立して以来、国王すら戴いたことのないこの国に、皇帝がいたと言っても信じる人はどれだけいるのだろう。

しかし、皇帝は確かに存在した。20年あまりにわたってこの国に君臨し、市民から愛され続け、今なお愛されている皇帝は、確かに存在したのだ。

皇帝の名は、ジョシュア・ノートン一世。市民の絶大なる支持の元、アメリカ合衆国皇帝、メキシコの護国卿として、彼はサンフランシスコの地で国民を愛し、国民から愛され続けた。

即位宣言は、新聞に掲載された。自ら持ち込んだその原稿を、そのまま掲載した新聞社こそが、まずもって最初の忠誠心を示していたのだと本書は語る。掲載する新聞社も新聞社なら、それを読んだ国民も、そのまま受け入れてしまうところに、凄まじいユーモアを感じる。

9フィート×6フィートの居城に、家賃前金で1日50セントなり。在位中これを払い続けた皇帝はしかし、食事や交通には国民からの寄付があり続けた。レストランでは「皇帝陛下御用達」の看板を出すことを条件に最高級の部屋と食事を持って報いた。服が傷んでいると評判になれば、たちまち寄付が集まった。列車での食事に金銭を要求した鉄道会社は、逆に市民から総スカンを受けて、慌てて「終生無料パス」を発行している。

皇帝は、頭がおかしいのではないかと考えた警察官がいた。彼は皇帝を捉え、精神病院に送ろうとした。たちまち市民から非難が巻き起こり、警察トップが皇帝と市民に謝罪する羽目に陥っている。皇帝自らは寛大にも、この大逆罪を犯した警察官を許している。

皇帝は国債も発行している。25セントや50セントの国債を発行し、それを銀行がしっかり引き受けている。しかも皇帝は、満期を迎えたその年1月に急死するという、狙ったかのようなタイミング。この国債は印刷会社が無償で発行を請け負い、そして今に残された国債は、オークションで1000ドルを超える値が付いている。

皇帝はまた、南北戦争の和解仲介もしている。北軍のリンカーン大統領、南軍のデービス大統領に、それぞれ親書を送っている。そもそも皇帝は、自身こそ合衆国の最高権威であり、大統領の存在を認めていなかった。この親書に対し、リンカーンが「大統領選挙があるので・・・」とユーモアたっぷりに返しているところもいい。

真似をしたものもずいぶんいたようだが、本当に市民の心をつかみ、そして本物の皇帝であると認められたのは、彼しかいない。惜しむらくは皇后を迎えることに失敗し、血筋が続かなかったことか。

魅力的な人物だ。そして、謎も多い。謎は謎のままでいいのだろう。


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2010年10月20日水曜日

080 / 360 史上最高の投手は誰か

10点満点で、8点。
読書時間・・・2時間程度

史上最高の投手が誰かなんて、その実績を知っている人なら、疑いなく彼の名を上げるだろう。
リーロイ”サチェル”ペイジ。3000試合以上に登板して2500勝以上、300以上の完封、100以上の完全試合、、、
その記録のほとんどはニグロリーグでのものだが、ニグロリーグはメジャーリーグとの対抗試合では105勝23敗。圧倒的に勝ち越している。

「黒いタイ・カッブ」と言われながら、「本当はタイ・カッブのことを『白いクール・パパ・ベル』という方が正しい」と言われたクール・パパ・ベル、ベーブ・ルースを「白いギブソン」と呼ぶのは褒めすぎとまで言われたジョシュ・ギブソン。ニグロでは控え選手でありながら、メジャーでは新人王やMVPを取ったジャッキー・ロビンソン。実力ではメジャーを遙かにしのぐ選手たちを相手に、常識外れの数字を残し続けたペイジは、史上最高と言うよりもむしろ孤高のピッチャーとさえ言えるだろう。

「火の玉」と言われた剛速球(米軍の測定では169km/h)を投げたボブ・フェラーに「アレをファストボールというのならば、俺のボールはチェンジアップだ」とまで言わしめた剛速球。一説には180km/hを遙かに超えていたとか。
二死走者なしからわざと四球で満塁にして、野手を全員引き上げさせて打者を三振に取ったり。日本で言うならば、沢村栄治と稲尾と権藤と江夏と金田と津田と江川と鈴木啓示と大野豊と野茂と松坂とダルビッシュと、全員の全盛時を足して5倍したような、そんな投手だったのだろう。

本書では、ペイジが史上最高の投手であるという前提を元に、そのことが米球界で認められるまでの課程を追っている。他にいろんな投手の伝説が出てくるのかと思ったが、巻末にニグロリーグの選手たちについて少々触れている程度。それでも、「ペイジ級の投手は75人いた」なんて書かれているが。

実力がありながらメジャーに行けず、野球殿堂入りができず、そのことで嘆くわけでもない、淡々とした生涯を送ったペイジ。「彼は自分の力で換え得るものは全て換え、換え得ないものは耐えた」と言われたその人生は、実に魅力的。


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2010年10月18日月曜日

079 / 359 クロスゲーム 風雲プロレス=格闘技読本

10点満点で、5点。
読書時間(普通に読んだ)・・・3時間程度

最近フォトリーディングしてないから、普通に読んでばかり。

さて本書は1999年に出版されたインタビュー集。時系列をきちんと追っていないから間違えてるかも知れないが、高田がヒクソンに2連敗を喫し、橋本が小川にシュートを仕掛けられてボコボコにされたあと。新日本の社長が藤波に、全日本の社長が三沢に替わった直後。本書に登場する人物のうち、川田を除く全日本所属選手はノアに移り、橋本はZERO-ONEを旗揚げ。安田は猪木預かり。武藤が全日本の社長になり、健介は退社。そして橋本は病気で、三沢は試合中の事故でこの世を去っている。インタビューはされていないが、鶴田も鬼籍に。

まだ長州がマグマになる前で、「選手として一世を風靡し、プロモーターとして辣腕をふるっている、長州さんは凄い」なんて言われてるのに苦笑。健介もまさか、新日を退社してマグマメイツになり、貯金を崩して生活する身分になるとは思ってもいなかったのだろう。

インタビューで気になったのは、全日本の選手たちは、外の世界にほとんど関心を持っていないこと。高田がヒクソンに連敗しても「見てもない」といい、橋本がシュートで潰されても、三沢以外は反応していない。確かに当時の全日本、そしてその後のノアは、他の団体が束になってもかなわないくらいの激しいプロレスをしていた。しかしそれにしても、「プロレス≒弱い」「プロレス=八百長」という声が強くなっていたこの時期に、危機感が少なすぎるなぁ・・・と感じてしまった。これは、俺が前田信者だからなのだろうか。

本書を読んで一番笑ったのは、天龍と高田の対談。天龍が高田に、ヒクソンと三回目はやらないの?と聞いたところ、「ギャラが半端じゃないみたいだから」と。VALE TUDO JAPAN OPEN でワンデイトーナメントにだって出てたヒクソンを、手の届かないギャラにしてしまったのはオマエじゃないか。
もしも本書を、出版当時手に取っていたなら怒り狂っていただろう。しかし今は、高田を生暖かい目で見ているので、「こんな奴に出番を取られた前田は可哀想だったなぁ・・・」と思うだけ。



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078 / 358 弱者の兵法

10点満点で、7点。
読書時間(普通に読んだ)・・・1時間程度

相変わらず同じことが書いてある、ノムさんの著書。しかし本書は、他の著書に比べても面白かった。
弱者の兵法と銘打ってはあるが、それは本書のほんの一部。むしろ監督論、リーダー論、プロとはどうあるべきか、という点を重視して書かれている。

才能の限界とは、努力の限界まで到達して初めてわかるものだと言うこと。プロたるもの、努力の限界まですべきであること。そして、そこまで努力している人物が、残念ながら今のプロ球界にはほとんどいないこと・・・

よく言われることだが、本書でも金本知憲の姿勢を、プロの鑑と賞賛している。確かに、ノムさんでさえ4年連続最下位に沈んでしまったダメ虎を優勝まで引き上げた、最大の貢献者だろう。その金本が練習の虫で、またその後ろ姿を見て選手たちが育っていったからこそ、タイガースは生まれ変わった。星野の力ばかり言われるが、赤星、藤本、濱中、矢野、井川と、ノムさんが育て上げた選手は多い。その力があってこそ、タイガースは生まれ変わることができた。ダメ虎を生まれ変わらせた名監督、という名誉を得られなかったのが、惜しい。

時折挿入される試合のエピソードは、相変わらず面白い。
できれば、楽天最後のシーズンをどう戦ったか、一年分振り返った本を書いてもらえると嬉しいなあ。



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2010年10月8日金曜日

077 / 357 教科書・日本の安全保障

読書時間・・・3週間程度

日本では軽視されがちで、きちんとした大学での講座もない「安全保障」について、教科書たらんと書かれた本。

難解。教科書と言うには、軍事的・政治的・外交的な基礎知識がないと、読むのが辛い。また、著者の一人田村重信氏が自民党本部に所属する人であるせいだろう、国内法の整備については「野党の反対により云々」等の主観的な記述が目立つ。

本格的に安全保障について勉強するつもりならば、読むべき本だろう。しかし、俺みたいな素人が読むには、ややハードルが高かった。

付録的に収録されている、第5章の「孫子」と「戦争論」の比較については、わかりやすく面白かった。ここだけ著者が違うのではないかと思うくらい。「戦わないことが最善」とする孫子と、「軍事は政治の一手段、戦争は必ず起こる」という戦争論のスタンスの違い。異なるようで本質的に同じ箇所。その他縷々、いずれも読んだことのない俺には、読むための動機付けにはかなりよかった。

クラウゼヴィッツの「戦争論」は難解で有名、読むためのガイドブックまで出てるから、今までどうしても手が出せなかった。ガイドブックで予備知識を付けて、読んでみようかな。
孫子は、魏武注孫子が書棚にあるのだが、なんだかんだで読んでいない。こちらも読んでみよう。



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