2011年4月24日日曜日

017 / 383 ファインマンさん最後の冒険

10点満点で、6点。

時は冷戦のまっただ中。ふとしたことから、少年時代に見かけた素敵な切手を思い出したファインマンさん。その切手は、「タンヌ・トゥーバ」という国の物だった。そんな国なんて無いよ、という周囲を尻目に百科事典をひもといてみたら、なんと首都は "KYZYL" という地名。母音が一つも無いなんて! これはもう、行ってみるしかない!

当時のトゥーバは、ソビエト連邦所属。ただでさえ自由な出入りができないところに、ロスアラモスでマンハッタン計画に関わった物理学者が行きたいなんて!

その難易度に負けず、ファインマンさんはあの手この手でトゥーバ行きを試みる。外国ラジオ局に手紙を出してみたり、その道の学者に手紙を出してみたり、、、トゥーバ語からロシア語の辞書を入手して、ロシア語からさらに英語に翻訳してトゥーバ語で手紙を書いてみたり。その行動力、そして知性は、さすがにファインマンさん。

思い立ってから10年。その間チャレンジャーの爆発事故が起こり、チェルノブイリ原発事故が起こり、そしてファインマンさんは複数回のがん手術を受けている。最後の冒険は結局、実ることなくファインマンさんは生涯を閉じてしまったのだが、いつだって諦めないファインマンさんからは希望に満ちあふれたメッセージが届いてくる。

ロシア側の人物が入り乱れていて、読みにくいのは正直なところ。
もうちょっと読みやすければ、7~8点くらいの本。


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2011年4月9日土曜日

016 / 382 困ります、ファインマンさん

10点満点で、9点。

ファインマンさんの逸話集。最初の妻アーリーンとの出会いと別れ、父親の記憶、そしてスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故調査委員会での活躍など。本書の過半数をアーリーンの話とチャレンジャーの話が占めているが、個人的には父親のエピソードが心に残った。

彼の父親は学者畑ではないが、「物事の本質を見る」という、ファインマンさんの最も重要な考え方に大きな影響を与えたことがよくわかる。百科事典で恐竜の大きさを知ったときに「うちの二階から頭を突っ込める大きさだが、大きすぎて窓からは入らないな」とか、見つけた鳥の名前はどうでもいいが、「なぜ羽根をつついているのか」を考えさせたり。難しいことを教えているわけではないが、こういうことを教えようとするのは、難しい。

自分の子供に、こういうことを教えてやれる親でありたいものだ。


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015 / 381 9割受かる勉強法

10点満点で、7点。

本書の主張は、割とシンプルにまとめることができる。

・基本はとても大切。基本に一番時間をかけて、完璧にすべし。
・わからなくなったらわかるところまで、基本まで戻る勇気を持て。
・復習は大切。記憶に定着するタイミングで復習する。
・自分のレベルを誤解するな。多くの人は、自分のレベルを過大評価している。
・実は、基本さえしっかりしていれば、少しの努力で上を目指すことができる。

基本的に大学受験向けに書かれているので、現代文の攻略など、あまり縁が無いことにもページが割かれている。俺は大学受験をしたことがないのでわからないが、現代文なんて読書習慣があれば、簡単そうな気がするのだが。単行本、新聞、雑誌、専門誌等まんべんなく読書量を持っている必要はあると思うけど。

合格者の体験談とか、「2000冊の参考書から厳選した云々」、あまり意味が無い図解など、大して重要ではない割にページを割いているところ(ページ数を稼ぐためか?)を飛ばして読めば、30分くらいで読める。こういう本は実践が伴わなければ意味が無いので、短時間でエッセンスを吸収して、すぐに行動に移せるという意味ではいい本だろう。

理工系に使えるかどうかは疑問(体験談も文系ばかり)だが。本書で考え方を身につければ応用できるのかな。
数学、物理をなめてる気がするが、どうなのだろう。


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2011年4月3日日曜日

014 / 380 哲学者とオオカミ

10点満点で、3点。読者を選ぶ本なのだろう。

オオカミと暮らした哲学者が、オオカミを通じて考えたことについて語っている本。amazonの評価は高いようだが、俺にとっては読むのが苦痛に感じる本だった。

・簡単なことを難しく考えるのが哲学なのか?
・自分の価値観を押しつけるのが哲学なのか?
・倫理的に問題を感じる行為が多々あるが、哲学者として問題ないのか?
・つまり、哲学ってのは、よりすばらしい社会を実現するためには無用なのか?

・・・等々、感じてしまった。
オオカミと過ごした日々のエピソードは、面白い。しかし、哲学的に語っている箇所は、つまらないし、苦痛。深く考察しているかのような書き方はなされているが、何のことはない、自分の主義主張を難しい言葉で飾り立てているだけだろう。それが哲学というものなのかも知れないが、哲学というのは「イラナイモノ」だという感想が強く残った。
難しいことを簡単に説明するのは実力とセンスが必要だが、簡単なことを難しく語るのは誰でもできる。

哲学に興味が無ければ、手に取るだけ時間の無駄。
オオカミのエピソードだけ読むならいいのかも知れない。1/3位の時間で読める。


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