2012年6月17日日曜日

015 / 406 封印作品の謎

10点満点で、7点。

様々な事情によって封印された作品たちの、その封印理由を追求した本。まあゴシップ本といっていいような気がする。本書で取り上げているのは、「ウルトラセブン」第12話、「怪奇大作戦」第24話、映画「ノストラダムスの大予言」、ブラック・ジャックの2話、そしてO157予防ゲームの5点。

ウルトラセブンは俺だって知っているくらい有名な封印作品だが、その他は知らなかった。
本書は「封印された理由」を追求している本で、その作品そのものを詳しく紹介しているわけではない。まぁ、封印された理由には当然作品内容が関わってくるわけで、それなりには触れているけれど。

基本的にはどれもこれも、何らかの差別的感情により封印されたもの。詳しく読んでいくと、それは仕方ないと思えるものから、もう少しやりようが無かったのかと思うものまで。ただ、多くは封印されたから話題になっているだけで、封印されていなければさして話題になるものではない、ような気はする。

一番驚いたのは、巻末の封印作品リストに「オバケのQ太郎」が載っていたこと。藤子不二雄のコンビ解消とともに、単行本は絶版、アニメ再放送もなくなったんだとか。知らなかった。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村書評・レビューランキング

014 / 405 プロメテウスの罠

10点満点で、8点。

福島第一原発の事故について、詳細に追ったルポルタージュ。こういう質の高い報道をやられると、「偏向報道の朝日」「アカヒ新聞」とかいう蔑称を使いにくくなる。やや主観は入っているが、基本的には客観的な、質の高い記事。

本書の記述を信用すると、原発事故の対処について、管政権は決して無能・無策ではなかったように思える。東電、官僚が情報を上げてこない中、独自に動かざるを得なかった状況が読み取れる。原発推進は国策だから、事故の責任を東電だけに求めるのは筋違い。しかし、事故の拡大を許したのは、間違い無く東電の不作為によるものといえる。そして、被害の拡大を許したのは、官僚の不作為とも言える。

一般の報道から受けていた印象と変わったのは、

・SPEEDIの情報が提供されなかった責任は、官僚にある。政府は、情報の存在を本当に知らなかった。
(これはこれで、重大な問題ではあるが)
・菅総理自ら、電源車の寸法や重量などを訪ねていたという話。どうやら、そこまで総理自ら手を付けなければ、事態が先へ動かなかったという危機感があったようだ。
・事故の拡大が続く中、「他に予算を振り分ける」という理由で、半世紀続いた放射能測定を中止に追い込んだ連中がいる。「放射性物質が飛散している、事故の最中だというのに!」
・放射性物質の拡散状況について、気象庁は論文発表を潰した。

本書の記述がどれだけ正しいのか、クロスチェックしていないからわからない。
しかし、本書を読む限り、政府は実はかなり努力していたのではないか、という印象を受けた。そして、東電と官僚は、ことごとくその足を引っ張り続けたという印象。

そういえば、福島のゴルフ場除染について、裁判で「飛散した放射性物質は東電の持ち物ではないから、東電は除染の責任を負わない」という主張を初めて読んだのもこの連載だったな。確か現在も連載継続中だと思ったが、こういう質の高い報道は続けてほしい。

本書をまとめる際か、連載中かはわからないが、カラシニコフの松本仁一氏がアドバイザーとして参加している。質の高さはこの影響もあるのか。

朝日新聞の記事なのに、学研から出版されているのも興味深い。なぜだろうね。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村書評・レビューランキング

013 / 404 開祖の横顔

俺みたいな新参者が評価を下すなんてとんでもない。

合気道開祖、植芝盛平翁に直接師事した師範14名が、開祖の思い出について語ったインタビュー集。恥ずかしながらお名前は数名しか存じ上げなかったが、いずれも現在は一廉の地位を築いておられる方々。

開祖が入神されたのが1969年と言うことを考えると、直接師事した方が高齢なのは当然。なので、一般にも著名な方々(塩田先生、斉藤先生など)は既に亡くなられている。

開祖に接した時期に依って、開祖の印象が結構違う。厳しい面を強く覚えている方もいれば、好々爺然とした印象を強く持つ方もいる。開祖も年をとるにつれ丸くなっていったようだ。「鉄砲は敵意があるから避けられるが、孫は無邪気に突っ込んでくるから避けられない」という言葉も面白い。

俺のような新参者は「開祖」とか「翁先生」と呼ぶのだが、本書に登場する師範は皆「大先生」と語っている。少し羨ましい。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村書評・レビューランキング

2012年6月11日月曜日

012 / 403 大秘密

10点満点で、6点。

国家機密でもないのに、厚い謎のベールに包まれているものの秘密を暴いた本。
ケンタッキーチキンのスパイス調合法、コカ・コーラの製法、クレジットカードの謎、ロールシャッハテスト・・・野次馬根性で読む分には面白いが、カッパーフィールドのマジック種明かしなど、「知ってしまうと台無し」みたいなことも書いてあるので、読むのに注意が必要。

コカ・コーラの製法なんて、有名なトップシークレット。どうやってその謎に迫ったんだろうと思っていたら、「競合他社は当然知っているだろう」と衝撃のコメント。確かにそうかもしれない。その気になれば全く同じ物が作れるのに作らない理由は、単にコストの問題だとか。規模を考えれば、コカ・コーラより安く、コカコーラと同じ物が作れるわけがないと言われれば、確かにそのとおり。

もっと凄い大秘密を期待していただけに、やや拍子抜け。
しかし、マジックの種明かしをここまでやっていいもんかね。マジックの本だったらわかるけど、暴露本だからなあ。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村書評・レビューランキング

2012年6月9日土曜日

011 / 402 国家の実力

10点満点で、6点。

佐々淳行氏と渡部昇一氏の対談。渡部昇一氏のことは浅学にして知らなかったが、評論家として一廉の方らしい。
内容は民主党亡国政権を憂い、天災から人災へとシフトした東日本大震災の政府対応を非難し、過去の危機管理と比較する。いいことが書いてあるが、基本的にはこの本と同じことが書いてある。対談だからもう少し詳しい説明があったり、違う視点からの言及があったりするけれど。

目新しいことはなかった。どちらか一冊読んでおけば十分。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村書評・レビューランキング

2012年6月8日金曜日

010 / 401 ほんとに彼らが日本を滅ぼす

10点満点で、8点。

前著に引き続き、民主党への政権交代以降、日本が破滅に向かっている状況について警鐘を鳴らしている本。本書は東日本大震災後の政府民主党の対応について、危機管理の観点からマズいところ、落第点もしくはマイナスの点について、前著同様厳しく指摘している。

震災後の政府の対応がどういうものだったか、まだ記憶に新しいだろう。
適切な情報開示をせず、あちこちで会見を開いては言うことが異なり、思いつきで自衛隊を増員し、挙句天皇陛下が被災地を巡礼している時に対策副本部長は海外でゴルフ。

過去の事例に対する、著者の自画自賛が目に余るが、それでも確かに菅直人政権(民主党政権)とは比較にならない。なにせ、この未曽有の惨事にあたって政権の延命が最優先という総理だったから。延命の口実に利用された被災者はいい面の皮で、緩慢な対応のせいで命を落とした方だっていただろう。

震災復興に最大の障害だった、菅直人はようやく引きずりおろされた。
野田政権での復興が進んでいるとは思えないが、いくらなんでも「いないほうがマシ」政権はルーピー鳩山、菅直人の二人だけにしておいてほしい。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村書評・レビューランキング

2012年6月5日火曜日

009 / 400 囚人のジレンマ

10点満点で、7点。

ゲーム理論と代表的な話題である囚人のジレンマについて語った、入門書・・・と言っていいのだろうか。わかりやすく書いてはあるのだが、内容は結構難しい。ボリュームがあるのと、それ以上に仕事が忙しかったので、読破に一ヶ月以上かかってしまった。

まじめに読み込むのは大変なので、最初からそんなつもりはなかった。むしろ、フォン・ノイマンのエピソードを読むのが目的で、後は惰性のようなもの。いや、面白かったけど。

20世紀最大の天才とも称される、フォン・ノイマンのエピソードは超人的を通り越して、神がかっている。コンピュータより計算が早いとか、人間を完全に真似している神だとか言われてみたり。そう言わしめた環境は、周りにノーベル賞学者が大勢いるプリンストンで。

ゲーム理論についての本なので、核戦略(MADとか)やキューバ危機に多くのページを割いている。歴史的事実だけではなく、政治判断の根拠となった考え方などについて興味がある方におすすめ。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村書評・レビューランキング

008 / 399 お笑い大蔵省極秘情報

10点満点で、6点。

1996年だから、16年前の本。当時の政治情勢がどうだったのか、もう覚えていないが、小渕総理の時代だろうか。橋本総理の頃か。大蔵官僚バッシングの嵐が吹き荒れている、と書いてあるが、この頃そんな話題ってあったかな。

登場するのは3人の現役大蔵官僚。現在何人残っているのかわからないけど。彼らの主張、論旨をなるべく正確に再現するため、あえて対談形式で全文を掲載したと書いてある。

所詮匿名の暴露記事だから、どこまで信憑性ががあるのかわからない。ただ、3人の主義主張、発言内容や言い方がかなり似通っているから、人物を特定しないようにいくらか編集はしているのだろう。あるいは実は同一人物なのか、もしかするとこういう連中しかいないのか。

あとがきにも書いてあるが、彼らの発言内容は貧弱。
天下りを誇り、あらゆるものにランクを付け、文書処理能力を自慢し、勉強以外もなんでもできるとアピールしている。この他、大蔵官僚は世界のトップだと語り、俺たちがすべてを決めて日本を動かしているのだと語りながら、結果責任については毛ほども感じていないところも全員共通。うまく行ってるのは大蔵官僚の力、失敗してるのは他省庁や政治家の責任。責任を取らないんだから、そりゃ言いたいこと言えるよな。

挙句、大蔵省だけはアンタッチャブルだと誇らしげに語る。どんなに不祥事があろうとも決して本質的なダメージは受けない、なぜなら司法の予算権限は大蔵省が握っているから、逆らったら声を上げることもできなくすることができるのだ、と。

本書に恣意的な編集がなされていないとすれば、こういう連中は、優秀とはいえないんじゃないかなあ。
「能力がある」ことと、「能力を活かす」ことは別物。こいつらより能力が劣っていても、こいつらより国益に叶う人物は、数倍~数十倍はいるんじゃないかなあ。根拠はないけど。

なにせ、あの永田寿康だって大蔵官僚OBだからね。東大法学部じゃないけど。キャリア2万人のトップ20人、と言ったって、こんな連中が混ざっているわけだ。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村書評・レビューランキング

引越し終了

cocologからの引越し終了。
最初は機械的にデータを引っ越そうかと思ったけれど、リンクの修正とか、古い情報の訂正とか、誤字脱字の修正とかやってたら時間がかかってしまった。それでも随分手を抜いたので、もう少し何とかしたいとは思うけれど、面倒だから放置。

こんなブログを読んでくださる酔狂な方、今後はこちらのアドレスをご愛顧願います。