2019年5月30日木曜日

私の少年 第29話 うさぎ小屋(ネタバレ感想)

【感想・考察】
年末年始にかけて、真修父との対峙が描かれるだろうと予想していたら、まさかの日常回。それも前回別れた直後から始まったので驚いた。
それでも、今まで省略できるエピソードなんて一つもないから、多分今回も重要な伏線が張ってあるのだろう。微妙に伏線回収っぽいのもある。

聡子ともっと一緒にいたかった、と思いつつ、聡子の変化を感じ取っていた真修。聡子自身が変わっていたのはまず間違いないし、真修にとっても「神」からより近い存在になったのだろう。まあ真修は聡子のことは異常に観察眼が鋭いから、まゆの影響がなくても気づいていたとは思うけれど。
パーティに戻ってきた真修は、みんなにちゃんと受け入れられて、不在の間を取り返す配慮までしてもらっている。6年生の頃は空気のような存在だったのに、今は仲間ができて、大切にしてもらっている。聡子の言葉が腑に落ちて、周囲を見ることができるようになった様子が描写されている。せっかく戻ってきたのに、菜緒がどういう反応をしていたのかはごっそりカットされているけど。

そして冬休み初日。2018年のカレンダーなら12/23が初日だろうけど、クリスマスパーティのあとだから12/25だろうか。もしかしたら12/26か。いつにしたって、冬休み初日に自己分析以外の課題が全部終わってるとか、どれだけ宿題終えるの早いんだ。
聡子に相談しようかと考えて、躊躇しても結局電話してるところとか行動がわかりやすい。省略されただけで、それなりに悩んだのかもしれないけど、多分すぐ電話してる。

うさぎの話を聡子がなんで知ってるんだろう、聞いたのはまゆのはずなのにと思って調べてみたら、前回菜緒の買い物に付き合ったときに菜緒から聞いてるんだな。聡子のことなら何でも覚えてる真修が違和感を感じなかったのか。まあ描かれてないだけで話してるのかもしれないけど。

遼一は相変わらず、真修と相容れなそうな性格。自分のことにしか興味がない感じ。真修父が放置してきた影響が出てるんじゃないかなあ。

正直、過去のうさぎのエピソードがあまり重要とは思わないし、これまでの詰将棋みたいな緻密な展開から、今回の話はクオリティが下がってると感じる。
でも多分これは、4巻のあとがきに書かれていた、「真修を人間にしてやれた」ことの一環じゃないかなあ。聡子と出会う前のことが語られたことって殆ど無いし、記憶そのものが封印されてるかのような描き方がされてきてた。それが初めて、聡子と出会う前のことを聡子がいないところで思い返しているし、なんというか真修が過去を取り戻しつつある気がする。
それに、聡子と再開して以来、真修が聡子の事以外を考えたのは初めてじゃないか。真修が普通の少年になって、聡子に対する視線が変わっていく様子が描かれるんだろうか。聡子ファーストという軸はぶれないまま、周囲との関わりが描かれるだけの気はしているけど、ここにきて日常の変化を掘り下げてきたのだから、もっと深く描かれるのかもしれない。

聡子もまた、「息をしてるあいだずっと」真修のことを思っている状態から脱却するのかもしれない。
次回は聡子視点の話なのか、真修視点の話なのか、どちらにしても楽しみ。

29話が収録されているヤンマガはこちら。