2012年11月1日木曜日

近況

ドラクエ10プレー中。
ひどいゲームバランス、バグの多さ、操作性の劣悪さに不平をたらたらこぼしながらも、かなりの時間プレー。
気がつけば、9-10月と、一冊も本を読んでいない。なんてこった。

ちなみに、

・廃人を基準にしたゲームにはしない
・一人でも楽しく遊べるドラクエ
・オンラインゲームの常識は持ち込まない

といった事前発表は、ズバリ冗談もしくは大嘘です。信用しないように。
オンラインゲームに膨大な時間を使うつもりがない方は、手を出さないほうが無難。


よく知っている方のお子さんが、犯罪被害にあった模様。
世間的には「いじめ」という表現で扱われる事象であろうが、内容は明らかに犯罪。なのに、14歳未満の少年というだけの理由で、刑事訴追をすることすら許されない。何たる理不尽。
被害者には生命の危険が迫っている状況だというのに、学校側は何ら対策を打っていない模様。力になってあげる事のできない自分がもどかしい。

2012年7月29日日曜日

022 / 413 数学物語

10点満点で、6点。

初版が戦前の1936年とのことで、今でも版を重ねている、時代を超えつつあるベストセラー。幾何、代数、微積分などの数学諸分野について、その概要と数学者のエピソードが書かれている。
平易な言葉で書かれているが、内容の難易は激しく違っていて、読みやすかったり読みにくかったり。1つずつのセンテンスは短いので、難しいところもさらりと流し読みすることはできる。

数学者たちのエピソードはとても面白い。数学そのものではなく、数学者のエピソード集としてまとめてあれば、もっと面白かったかもしれない。俺の主観だが。


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2012年7月28日土曜日

021 / 412 システム障害はなぜ起きたか

10点満点で、7点。

2002年のみずほ銀行誕生時に発生したトラブルについて分析した本。事件としては古いが、内容としては古くない。東日本大震災直後の混乱を取り上げた、続編も出ているようだ。

なぜトラブルが発生したのか、そもそものスタートから分析している。本書を読むと、この事故(といっていいだろう)は、起こるべくして起こったことだというのがよくわかる。やるべきことを明確にせず、クリアすべき課題が何であるかを把握せずに走り出している。技術的な課題と政治的な課題を混同し、しばしば逆のアプローチをしている。関与すべき立場の人が関与せず、決断すべき人が決断しないと、こういうことが起こるのだろう。

もちろん、結果論で書かれている箇所はある。しかしそれでも、起こってしまった現実は冷徹に受け止めて、そこから教訓を引き出すべきだろう。仕事柄、規模は1/1000に満たないながらもシステム構築に携わることがある。うまく動かずにコケた事例も経験している。本書を教訓に、抑えるべきポイントをきちんと抑えていれば、俺のような末端のレベルでも、システムの完成度を高めることに貢献できていたのかもしれない。


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020 / 411 よくわかる電気の基本としくみ

10点満点で、6点。

うーん、、、よくわかるのかな。
イラストが多く数式はほとんどなく、一つのセンテンスは2~3ページにまとまっている。わかりやすく書こうとしているのは理解できるが、本当にわかりやすいのかとなると、疑問。用語の注釈もそこかしこにあるが、かえって読みにくくなっている気がして仕方ない。

扱っている範囲は、ほぼ電気全般。
電気とは何か、発電、送電、モーター、電熱、電池、照明、電波、半導体、センサー等。電験の範囲をひと通り+アルファ、といったところ。これだけの範囲の情報を、数式も使わずたかだか240ページに詰め込んでいるのだから、内容が浅くなるのは仕方ない。それなのに、浅くならないようにやや深いところまで切り込んでいるので、到底読みやすい本とは言えなくなってしまっている。

電気の技術について、上っ面を軽く流す程度の本、と割りきって書かれていればまた違うのだろう。しかし、軽く流すというには内容が深い。どういう人を対象にして書かれたのか、よくわからない。


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019 / 410 痛快!コンピュータ学

10点満点で、8点。

昔買った本を読み返してみた。初版は1999年、その後2002年に文庫版として再販されたもの。分進秒歩とも言われるコンピュータの世界を13年前に語った本なのに、古さを感じさせない。あとがきにあるとおり、テクノロジーではなくサイエンスについて記述した本だからだろう。

電気回路、情報理論、プログラム、IC、OSとアプリケーション、インターネットなど、それらは「どういう必要性から生まれた技術で」「どういう進化をして」「どういう問題を抱えているのか」が書かれている。原理・原則にかかる話題がほとんどなので、古典化することはあっても、陳腐化していくことが少ないのだろう。
(ネットワークに関する話題など、古さを感じさせる箇所はいくらかある)

パソコンを使う、コンピュータを使うとなると、まずはソフトの使い方・・・と考えてしまう向きにおすすめ。根本に流れる思想、原理などを知っていれば、その知識は必ず応用が効く。


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2012年7月14日土曜日

018 / 409 のはなし さん

10点満点で、7点。

面白い。書いてある内容、文体などはラジオで語っているものと同じなので、ゴーストライターを使っているということはないと思う。話題は豊富、かつ様々な方向に飛躍して、飽きない。さすがに話をするプロは違うなあ、と素直に思う。

まあ、まじめに読む本じゃないけど。短い話題が沢山載っているので、暇つぶしにちょうどいい。


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2012年7月1日日曜日

電験三種攻略その4 理論-3

理論の残り。具体的な勉強方法はひと通り書いてしまったので、別の視点から。

まず、勉強にかけた期間は1ヶ月半くらいだったと思う。6月半ばの施工管理の試験を終えてからの勉強開始。前述のとおり、施工管理の勉強は電験とかなりかぶるので、その意味だと本質的な勉強期間はもっと長い。施工管理の勉強を3ヶ月くらいやっているから、理論的な部分だけ考えると、実質2ヶ月半~3ヶ月くらいなのかもしれない。

勉強時間は1日30分~1時間半程度。気分の乗り方、仕事の忙しさでまちまち。新しいことを勉強するときは、わからないことが多くて苦痛なので、短時間で切り上げることが多かった。2回目、3回目となってだんだん理解が進んでくると、同じ短時間でも進み方はぜんぜん違う。

本質的には、わからないことに時間をかけるほうがいいのだろうが、俺のスタイルは違う。わからないことを勉強するのは集中力が必要で、俺には集中力があまりない。
集中力向上セミナーに行きたいけど、家庭の事情で行けない・・・)
なので、集中力が続かなくなったら、すっぱり勉強をやめた。その分復習の回数を増やすことで、少しずつでも身に着けていくことを重視。

多分どんな勉強でも、1回で終えようとするのではなく、復習を繰り返すことが一番効率的なんじゃないかと思う。特に電験三種は選択式の回答で、部分点というものは存在しないので、「ほとんどわかるけど正答まで辿りつけない」のは0点。むしろ、「できない範囲も多いけど、このジャンルなら確実に解ける」という部分を増やすほうが重要。

復習ともう一つ意識したのが、とにかく毎日必ず勉強すること。たとえ5分、10分でもいい。俺にとっては継続することが一番難しいので、テキストをざっと眺めるだけでも、あるいは問題集の解説を読むだけでも、とにかく「勉強した」ことにした。飲み会でも、あるいは体調が悪くても、とにかく勉強していない日を作らないようにした。続いているうちは続けられるけど、1日でも勉強を休むと、休んでしまった実績ができてしまい、ハードルが下がる。

このスタイルで、1年目で理論、電力、法規の3科目が取れたので、基本能力の高い人なら今からでも4科目合格だってできると思う。1日2時間とか3時間とかを継続して勉強できる人なら心配ない。俺のように集中力が続かなくて、数学力が怪しくたって、3科目はいけたのだから。

017 / 408 時間の不思議

10点満点で、6点。

ブルーバックスに多数の著書がある、都筑卓司先生の本。物理の様々なテーマについて、わかりやすく面白く書いた本が多いので好きなのだが、本書は難解だった。扱っているテーマそのものが難解なのでやむを得ないか。

時間とは一体何かということを本質的に考察すると、どうしても現実の物理現象から離れて、数学的な話題になる。それも観念的な話題が多く、その上日常の常識からはかけ離れた話題が多くなるので、読んでいて何が書かれているのかわからないことが多い。

大学で物理専攻した人向けの本なのかな。
好き好んで難しく書いているわけではないだろうが、俺には理解できなかった。


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016 / 407 パラドックス大全

10点満点で、6点。

難解な本。そもそもパラドックスというものが数学的に難解な部分をかなり持つので、やむを得ないか。
有名どころのパラドックスもちゃんとおさえてあるが、基本的には知らない話題ばかりだった。読んでいて論理展開についていけず、苦痛に感じること多々。それでも最後まで読み切ったのは、それなりの面白さがあったからなのだろうか。

論理学、論理パズルに関心があって、数学的な素養がある人にしか薦められない。
興味半分で手に取ると挫折する本。


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2012年6月17日日曜日

015 / 406 封印作品の謎

10点満点で、7点。

様々な事情によって封印された作品たちの、その封印理由を追求した本。まあゴシップ本といっていいような気がする。本書で取り上げているのは、「ウルトラセブン」第12話、「怪奇大作戦」第24話、映画「ノストラダムスの大予言」、ブラック・ジャックの2話、そしてO157予防ゲームの5点。

ウルトラセブンは俺だって知っているくらい有名な封印作品だが、その他は知らなかった。
本書は「封印された理由」を追求している本で、その作品そのものを詳しく紹介しているわけではない。まぁ、封印された理由には当然作品内容が関わってくるわけで、それなりには触れているけれど。

基本的にはどれもこれも、何らかの差別的感情により封印されたもの。詳しく読んでいくと、それは仕方ないと思えるものから、もう少しやりようが無かったのかと思うものまで。ただ、多くは封印されたから話題になっているだけで、封印されていなければさして話題になるものではない、ような気はする。

一番驚いたのは、巻末の封印作品リストに「オバケのQ太郎」が載っていたこと。藤子不二雄のコンビ解消とともに、単行本は絶版、アニメ再放送もなくなったんだとか。知らなかった。


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014 / 405 プロメテウスの罠

10点満点で、8点。

福島第一原発の事故について、詳細に追ったルポルタージュ。こういう質の高い報道をやられると、「偏向報道の朝日」「アカヒ新聞」とかいう蔑称を使いにくくなる。やや主観は入っているが、基本的には客観的な、質の高い記事。

本書の記述を信用すると、原発事故の対処について、管政権は決して無能・無策ではなかったように思える。東電、官僚が情報を上げてこない中、独自に動かざるを得なかった状況が読み取れる。原発推進は国策だから、事故の責任を東電だけに求めるのは筋違い。しかし、事故の拡大を許したのは、間違い無く東電の不作為によるものといえる。そして、被害の拡大を許したのは、官僚の不作為とも言える。

一般の報道から受けていた印象と変わったのは、

・SPEEDIの情報が提供されなかった責任は、官僚にある。政府は、情報の存在を本当に知らなかった。
(これはこれで、重大な問題ではあるが)
・菅総理自ら、電源車の寸法や重量などを訪ねていたという話。どうやら、そこまで総理自ら手を付けなければ、事態が先へ動かなかったという危機感があったようだ。
・事故の拡大が続く中、「他に予算を振り分ける」という理由で、半世紀続いた放射能測定を中止に追い込んだ連中がいる。「放射性物質が飛散している、事故の最中だというのに!」
・放射性物質の拡散状況について、気象庁は論文発表を潰した。

本書の記述がどれだけ正しいのか、クロスチェックしていないからわからない。
しかし、本書を読む限り、政府は実はかなり努力していたのではないか、という印象を受けた。そして、東電と官僚は、ことごとくその足を引っ張り続けたという印象。

そういえば、福島のゴルフ場除染について、裁判で「飛散した放射性物質は東電の持ち物ではないから、東電は除染の責任を負わない」という主張を初めて読んだのもこの連載だったな。確か現在も連載継続中だと思ったが、こういう質の高い報道は続けてほしい。

本書をまとめる際か、連載中かはわからないが、カラシニコフの松本仁一氏がアドバイザーとして参加している。質の高さはこの影響もあるのか。

朝日新聞の記事なのに、学研から出版されているのも興味深い。なぜだろうね。


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013 / 404 開祖の横顔

俺みたいな新参者が評価を下すなんてとんでもない。

合気道開祖、植芝盛平翁に直接師事した師範14名が、開祖の思い出について語ったインタビュー集。恥ずかしながらお名前は数名しか存じ上げなかったが、いずれも現在は一廉の地位を築いておられる方々。

開祖が入神されたのが1969年と言うことを考えると、直接師事した方が高齢なのは当然。なので、一般にも著名な方々(塩田先生、斉藤先生など)は既に亡くなられている。

開祖に接した時期に依って、開祖の印象が結構違う。厳しい面を強く覚えている方もいれば、好々爺然とした印象を強く持つ方もいる。開祖も年をとるにつれ丸くなっていったようだ。「鉄砲は敵意があるから避けられるが、孫は無邪気に突っ込んでくるから避けられない」という言葉も面白い。

俺のような新参者は「開祖」とか「翁先生」と呼ぶのだが、本書に登場する師範は皆「大先生」と語っている。少し羨ましい。


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2012年6月11日月曜日

012 / 403 大秘密

10点満点で、6点。

国家機密でもないのに、厚い謎のベールに包まれているものの秘密を暴いた本。
ケンタッキーチキンのスパイス調合法、コカ・コーラの製法、クレジットカードの謎、ロールシャッハテスト・・・野次馬根性で読む分には面白いが、カッパーフィールドのマジック種明かしなど、「知ってしまうと台無し」みたいなことも書いてあるので、読むのに注意が必要。

コカ・コーラの製法なんて、有名なトップシークレット。どうやってその謎に迫ったんだろうと思っていたら、「競合他社は当然知っているだろう」と衝撃のコメント。確かにそうかもしれない。その気になれば全く同じ物が作れるのに作らない理由は、単にコストの問題だとか。規模を考えれば、コカ・コーラより安く、コカコーラと同じ物が作れるわけがないと言われれば、確かにそのとおり。

もっと凄い大秘密を期待していただけに、やや拍子抜け。
しかし、マジックの種明かしをここまでやっていいもんかね。マジックの本だったらわかるけど、暴露本だからなあ。


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2012年6月9日土曜日

011 / 402 国家の実力

10点満点で、6点。

佐々淳行氏と渡部昇一氏の対談。渡部昇一氏のことは浅学にして知らなかったが、評論家として一廉の方らしい。
内容は民主党亡国政権を憂い、天災から人災へとシフトした東日本大震災の政府対応を非難し、過去の危機管理と比較する。いいことが書いてあるが、基本的にはこの本と同じことが書いてある。対談だからもう少し詳しい説明があったり、違う視点からの言及があったりするけれど。

目新しいことはなかった。どちらか一冊読んでおけば十分。


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2012年6月8日金曜日

010 / 401 ほんとに彼らが日本を滅ぼす

10点満点で、8点。

前著に引き続き、民主党への政権交代以降、日本が破滅に向かっている状況について警鐘を鳴らしている本。本書は東日本大震災後の政府民主党の対応について、危機管理の観点からマズいところ、落第点もしくはマイナスの点について、前著同様厳しく指摘している。

震災後の政府の対応がどういうものだったか、まだ記憶に新しいだろう。
適切な情報開示をせず、あちこちで会見を開いては言うことが異なり、思いつきで自衛隊を増員し、挙句天皇陛下が被災地を巡礼している時に対策副本部長は海外でゴルフ。

過去の事例に対する、著者の自画自賛が目に余るが、それでも確かに菅直人政権(民主党政権)とは比較にならない。なにせ、この未曽有の惨事にあたって政権の延命が最優先という総理だったから。延命の口実に利用された被災者はいい面の皮で、緩慢な対応のせいで命を落とした方だっていただろう。

震災復興に最大の障害だった、菅直人はようやく引きずりおろされた。
野田政権での復興が進んでいるとは思えないが、いくらなんでも「いないほうがマシ」政権はルーピー鳩山、菅直人の二人だけにしておいてほしい。


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2012年6月5日火曜日

009 / 400 囚人のジレンマ

10点満点で、7点。

ゲーム理論と代表的な話題である囚人のジレンマについて語った、入門書・・・と言っていいのだろうか。わかりやすく書いてはあるのだが、内容は結構難しい。ボリュームがあるのと、それ以上に仕事が忙しかったので、読破に一ヶ月以上かかってしまった。

まじめに読み込むのは大変なので、最初からそんなつもりはなかった。むしろ、フォン・ノイマンのエピソードを読むのが目的で、後は惰性のようなもの。いや、面白かったけど。

20世紀最大の天才とも称される、フォン・ノイマンのエピソードは超人的を通り越して、神がかっている。コンピュータより計算が早いとか、人間を完全に真似している神だとか言われてみたり。そう言わしめた環境は、周りにノーベル賞学者が大勢いるプリンストンで。

ゲーム理論についての本なので、核戦略(MADとか)やキューバ危機に多くのページを割いている。歴史的事実だけではなく、政治判断の根拠となった考え方などについて興味がある方におすすめ。


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008 / 399 お笑い大蔵省極秘情報

10点満点で、6点。

1996年だから、16年前の本。当時の政治情勢がどうだったのか、もう覚えていないが、小渕総理の時代だろうか。橋本総理の頃か。大蔵官僚バッシングの嵐が吹き荒れている、と書いてあるが、この頃そんな話題ってあったかな。

登場するのは3人の現役大蔵官僚。現在何人残っているのかわからないけど。彼らの主張、論旨をなるべく正確に再現するため、あえて対談形式で全文を掲載したと書いてある。

所詮匿名の暴露記事だから、どこまで信憑性ががあるのかわからない。ただ、3人の主義主張、発言内容や言い方がかなり似通っているから、人物を特定しないようにいくらか編集はしているのだろう。あるいは実は同一人物なのか、もしかするとこういう連中しかいないのか。

あとがきにも書いてあるが、彼らの発言内容は貧弱。
天下りを誇り、あらゆるものにランクを付け、文書処理能力を自慢し、勉強以外もなんでもできるとアピールしている。この他、大蔵官僚は世界のトップだと語り、俺たちがすべてを決めて日本を動かしているのだと語りながら、結果責任については毛ほども感じていないところも全員共通。うまく行ってるのは大蔵官僚の力、失敗してるのは他省庁や政治家の責任。責任を取らないんだから、そりゃ言いたいこと言えるよな。

挙句、大蔵省だけはアンタッチャブルだと誇らしげに語る。どんなに不祥事があろうとも決して本質的なダメージは受けない、なぜなら司法の予算権限は大蔵省が握っているから、逆らったら声を上げることもできなくすることができるのだ、と。

本書に恣意的な編集がなされていないとすれば、こういう連中は、優秀とはいえないんじゃないかなあ。
「能力がある」ことと、「能力を活かす」ことは別物。こいつらより能力が劣っていても、こいつらより国益に叶う人物は、数倍~数十倍はいるんじゃないかなあ。根拠はないけど。

なにせ、あの永田寿康だって大蔵官僚OBだからね。東大法学部じゃないけど。キャリア2万人のトップ20人、と言ったって、こんな連中が混ざっているわけだ。


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引越し終了

cocologからの引越し終了。
最初は機械的にデータを引っ越そうかと思ったけれど、リンクの修正とか、古い情報の訂正とか、誤字脱字の修正とかやってたら時間がかかってしまった。それでも随分手を抜いたので、もう少し何とかしたいとは思うけれど、面倒だから放置。

こんなブログを読んでくださる酔狂な方、今後はこちらのアドレスをご愛顧願います。

2012年4月19日木曜日

電験三種攻略その3 理論-2

さて、理論。
根本的に理論の理解が怪しいことは自覚していたので、きちんと理解することを目的にして勉強した。「短時間で必要最低限だけ勉強して合格する!」みたいなことを推奨している本やサイトは多いし、それを否定はしないけれど、俺の場合目的が違った。もちろん試験に合格するというのは重要な目的だが、それ以上にきちんと理解することに重点を置いた。勉強する以上、単に資格を取るだけじゃなくて、実務に役立てたいからね。電験三種は理解していなくても合格できる試験だけど、実務での応用は理解してないと難しいから。

いろいろな参考書を買って、買うだけ買ってほとんどは積みっぱなし。薄い本だと内容が浅く、理解するのが難しいことが多い。厚い本だといいかといえばそうとも言い切れなくて、そもそも手に取るためのハードルが高いし、単に記述が冗長なだけというのも多い。

その中で、唯一最初から最後まで全部やって、問題も全て解いたのはこの本。



いい本だと思ったけど、amazonの評価は高くないし、絶版なのね。

問題を解く際の式の変形や、重要公式から他の重要公式を導く方法など、省略が少なく丁寧に記載してある。一足飛びに結論を書かれることがないので、きちんと式を追いかけていけば、内容が理解できる。当然ながら、一般的な数学の勉強法と同じく、読むだけでなく自分でペンを動かして式を書いてみること。そうすれば「理解できていないのか」「理解できたがテクニックが必要な変形で、テクニックを使うのが怪しいのか」「ひらめきが必要な変形だから、理解した上で覚えてしまったほうが良いのか」が判断できるようになる。

惜しむらくは、重点項目だけに解説を絞り込んでいて、範囲を網羅できていないこと。本書だけで合格点を取るのは、正直なところ無理だと思う。過去問をやってみると、本書がカバーしていない分野からの出題って結構あるし。なので、本書の他にテキスト2冊と、過去問集を併用した。



過去問は他に「精選問題集」というのも使ったけど、こちらも絶版みたい。
基本的には「必修項目」で勉強して(演習問題も全てやった)、過去問に挑戦。解けなければ「必修項目」を紐解きながら考えて、それでもわからなければ「これだけ理論」を参照。「これだけ理論」でも分からない問題だけ「徹底解説」を読む、というスタイル。

最初に「必修項目」を通して勉強。基本的には1日1単元だけど、それにこだわらずに気分が乗れば多く進めたし、理解が怪しいところには時間を掛けた。

勉強するときは、新しい項目は夜。毎日、だいたい1時間くらい。それ以上は集中力が続かないから、スパっとやめてしたいことをする。で、酒は飲まずに寝て、翌朝早起き。30分くらい、前夜掛けた時間の半分以下の時間を使って復習。内容によって、読み流すだけのこともあれば、式の展開を書くこともあるし、演習問題をやるだけのこともあった。復習すると記憶は定着するし、理解が怪しいところがはっきりしてくるので、これはとても重要。

過去問に挑むときは、問題を読んですぐに解き方を思いつかないときは、さっさと諦めて解説を読む。最初にどう手を付けていいのかさえわかれば解ける問題もあるし、公式が思い出せないから解けない問題や、理解できてないから解けない問題もある。なぜ解けないのかは2回もやれば自覚できるから、夜挑戦した問題が朝解けなければ、その日の夜は再度その問題について、テキストを見たり公式のメモを見たりしながらもう一度解く。その上で、更に翌朝挑戦してみれば、大体解ける。2回目に挑んで解けなかった問題は印をつけておいて、重点的に復習する。同じ年度の問題を10回解いたとして、理解できた問題は2回くらいしか解かないし、10回やってもまだ解けない問題が残ってたりもする。それでも、5回を超えたあたりから、ポイントさえ思い出せば解けるようになってくるので、自信がついてくる。

ちなみに、前述のとおり、すぐに解き方を思いつけない問題はさっさと諦めるので、1年分やっても30分くらいで終わる。解けるようになってくると、計算する時間がかかるようになるが、解けてる間は面白いので苦痛ではない。考えてもわからない問題に挑むのが一番苦痛なので、そういう時間は短く済ませるのがコツと言っていいのかな。

あああ、また長くなった。まだまだ書きたいので、続く。

2012年4月7日土曜日

007 / 398 コンテナ物語

10点満点で、8点。

分類に困る本。世界を変えたコンテナについて、その登場と普及するまで、そしてコンテナの登場で世界がどう変わっていったのかを克明に追っている。

本書を読むまで知らなかったのだが、「大量の貨物をコンテナで運ぶ」というスタイルが出来上がって、まだ50年ほどしか経っていないのだな。規格サイズのコンテナを船に詰め込んで、陸路もそのままコンテナを運ぶ。今や日常的に目にする光景だし、合理的だが単純なアイデアなので、もっと昔から存在するのかと思っていた。

コンテナの普及過程では、アメリカの規制当局がいかに頑迷か、嫌というほどわかる。画期的なアイデアが出てきても、陸運業界、海運他社、労働組合など、様々な組織の要望を受けて許可しないし、自由競争もさせない。これが自由の国アメリカなのかとにわかには信じがたい。今は変わったのか、それともこれが本質なのか。港湾当局も新しいことを認めないが故に、かつての大規模港が、近隣のコンテナ港にあっという間に取って代わられるケースも多数。

標準化と規格化の国というイメージもあったのだが、コンテナ規格化までの紆余曲折も凄い。実務をわかっていない人物が役に立たない寸法を決めたり、各社が自社コンテナの寸法を取り入れようと鎬を削ったり。

コンテナは物流を変えただけでなく、世界のあり方も変えている。戦争の進め方も変えているし(ベトナム戦争がそのスタートだ)、輸送コストの低減から、産業構造まで変えている。まさに「世界を変えた」という表現がふさわしい。

ややボリュームは多いが、面白い本。

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2012年3月25日日曜日

006 / 397 「やわらか頭」になる数学

10点満点で、5点。

読者対象がよくわからない本。
「数学が苦手だった人、嫌いだった人にこそ本書を読んでほしい」と書いてあるが、数学独特の用語が説明なしに使用されていたりして、結局数学が好きな人(得意な人とは限らない)でないと読みにくい本になっている。

例えば、

・10cmの線分に含まれる点の数と、アンドロメダ星雲の直径分に含まれる点の数が同じ
-> 無限の意味がわかっていないとなんのことだかわからない(密度の濃い無限と薄い無限)

・CTスキャンに三角関数が活用されている
-> 具体的にどうという記述がないので、なんの理解も感動もない

・ユークリッド幾何学と平行線の公準
-> 公準とは何か(証明できず無批判で受け入れる前提)の言及がないので、何が問題なのかわからない

などなど・・・

結局、もともと数学に関心があって、ある程度基礎知識がある人でないと読みこなせない本になっている気がする。そして、そういう人にとって見れば、目新しいことは何もない。数学の応用例はいくつか紹介されているが、CTスキャンの話に挙げたように、具体的な記述がないので、知識が増えるわけでもない。

中途半端な本。買って損した。


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電験三種攻略その2 理論-1

理論はすべての基礎になっているから、単に資格が取れればいい人も、実務に活かしたい人も、あるいは勉強の一貫として電験取得を考える人も、これだけは時間をかけてしっかり取り組んだほうがいいと思う。
ひたすら過去問に取り組んで、攻略パターンを身につけるほうが科目合格には早いだろうが、他の科目に取り組むときに時間がかかる。それよりは、理論には時間をかけて、他の科目は短時間に済ます、という戦略のほうが良いと思う。

俺が取り組んだときはもうひとつ、格下の資格勉強をして、浅い知識を身につけるという戦略も取った。これは単にそう考えただけではなく、外的要因(取得を迫られた)事のほうが理由としては大きかったけれど、結果としては正解だったと思う。具体的には、機械保全技能士(電気系一級)、電工二種、一級電気工事施工管理に取り組んだ。

機械保全技能士は、実は実技試験にまだ合格していないので、この資格は持っていない。でも、学科試験のレベルは電工二種よりも更に低いから、これに取り組む価値はあまりないだろう。電気と関係ない問題もかなり多いし。

電工二種も、施工管理のついでに受けた程度なので、コイツの勉強が電験に役立ったかというと、正直ほぼ無関係。でも、初めて電験に挑む人で、電工を持っていなければ、コレから始めるほうが結果的に早いと思う。資格を取れば、自宅のコンセントくらい自分でできるしね。
ちなみに、この時使ったテキストは、資格を取るという意味だけで言うとかなり秀逸なので再掲。



特に技能試験は、未経験の素人でも、短時間で合格レベルに到達できると思う。電工の場合筆記よりも技能試験のほうがハードルは高いので、良いテキストといい道具で練習するのは重要。道具も、俺が使ったのはこれの一世代前のやつだったけど、実技試験の中で一番練習が必要な、ケーブルの被覆剥きが練習なしで出来る道具。これの有無で、練習時間は10時間近く、作業時間は5分以上変わると思う。

そして、一番役だったのが、施工管理の勉強。電験四種程度の難易度で、ほぼ電験の範囲を網羅している試験なので、力試しにも丁度いい。受験資格がうるさい資格なので、受験できない人も多いだろうから、電験の4科目についてひと通り勉強したら、力試しで過去問に挑んでみてもいいかもしれない。ただし工程管理とか、電験には関係ないジャンルも結構あるので、そういうのは飛ばす。ひと通り勉強していれば、電験とは関係ない項目の見わけは付いているはずだし。

ああ、なんか長くなってしまった。
まだ理論の具体的な勉強法について書いてないけど、項目を分けよう。

2012年3月17日土曜日

電験三種攻略その1 数学

急に書きたくなったので殴り書いてみる。
去年せっかく三種を取ったことだし、二種にステップアップしたいと思っているけれど、まじめに勉強を始めていない自分にカツを入れるためにも。

さて、電験三種に必要な数学力。本とかサイトに依って、「電験三種には数学が必須」とか「数学力で合否が決まる」と書いてあるかと思えば、「暗記で十分」「数学力は大して必要ない」というのまであったりする。俺の経験からすれば、「三種に数学力はあまり関係ない」と思う。

とはいえ最低レベルというのはあって、少なくとも中学数学に不安があるレベルだとキツイ。でも高校数学が必要かというとそうでもなくて、中学数学に毛が生えた程度で十分。何より俺自身、学生時代数学の成績は不可すれすれ(試験の点数だけなら文句なしに不可)だったからね。それでも、数学だけの復習は、特にしなかった。

必要な数学は、

・四則演算(当たり前だ!)
・一次方程式(当たり前だ!)
・二次方程式(必要だと思うけど・・・使ったっけ?)
・因数分解(当たり前だ!)
・三平方の定理(常識だ)
・三角形の相似(ベクトル図を理解するのに必要だと思う)
・指数(定義がわかってれば十分)
・根号(定義がわかってれば十分)

-- ここまで中学数学 ---

・三角関数
sin, cos, tanの定義と基本的な数値(0, π/6, π/4, π/3, π/2, ...)
sin2θ + cos2θ = 1の式、もっと言うと0.62 + 0.82 = 1を覚えてれば十分
・対数
実際に計算で使うことは殆どない、定義さえわかってれば何とかなる(何とかなった)
・複素数
さすがにこれは必須、分母の有理化も出来る必要がある
・ベクトル
中学数学かと思っていたけど、違ったらしい
複素数計算でも何とかなるけど、ベクトル図を書いたほうが早い内容は多い

こんなところか。大した内容じゃない。人にもよるだろうけれど、三種レベルの数学なら、数時間復習すればあとは問題を解いていくだけで思い出せるはず。

とりあえず、電験三種では数学の壁は高くないよ、ということで。
なにせ、中学卒業以来ずっと数学は赤点を取り続けてきたけれど、三種の数学で苦労した覚えはないから。その程度の数学力で十分。

反対に、その程度の数学力なので、二種の数学はとてもハードルが高い・・・

2012年3月11日日曜日

005 / 396 戦争の常識

10点満点で、8点。

タイトルには「戦争の常識」とあるが、「軍事の常識」といったほうが適切だと思う。入門書に最適な、わかりやすい記述。

国防の常識;
・地政学的知識は必須。
・9.11のあと、アフガニスタン攻撃では団結した諸国が、イラク攻撃では態度がわかれたのは地政学的理由。
・石油の価格を決めているのは、サウジアラビアの王族が贅沢をするために必要な額。極めて非民主的だが、イスラム革命を防止するためにアメリカが支持している。
・安全保障に、戦時と平時の区別はない。

軍隊の常識;
・軍事目標はどういう過程で決定するのか。
・正規軍とテロリストの違い。
・軍法会議とは。

兵隊の常識;
・中国では、軍の最高指揮者が明確ではない。
・軍に階級がある理由。
・軍は徴兵制を望まない。

陸軍の常識;
・歩兵はすべての基本。
・小隊、中隊、大隊、連隊、旅団、師団
・戦車とヘリコプター。

海軍の常識;
・軍艦の区分。
・アメリカに艦隊決戦を挑める国はない。
・潜水艦の脅威。

空軍の常識;
・新しい組織。
・最大の役割は偵察。
・戦闘機の世代。
・現代でも爆撃機は有効。

現代戦の常識;
・弾道ミサイルの脅威。
・局地核戦争の危険性が増大している。
・途上国では核使用のハードルが低い。
・情報戦争は新しい戦争ではない。形が変わっただけ。

自衛隊の常識;
・軍隊というには法制度が未熟。
・高い予算の壁。
・防空能力は特Aクラス。

読みやすくわかりやすい。勉強になった。

3月16日追記;
読んだような気がするんだがなぁ・・・と思っていたら、やはり以前読んでいた


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004 / 395 スエズ運河を消せ

10点満点で、9点。

マジシャンに不可能はない。無から有を作り出し、物体を瞬時に移動させ、時には消してみせる。
その技術は決してステージの上に限られたものではなく、戦場でも有効なのだと証明してみせた男たちがいた。

ジャスパー・マスケリンは先祖代々のマジシャン。愛国心に駆られた彼は、第二次世界大戦への従軍を志願するが、「軍がほしいのは38歳のマジシャンではなく、若くて体力がある即戦力の兵士」とにべもなく断られてしまう。怯むことなく従軍を訴え続け、ついに軍属となった彼は、マジックギャングを率いて戦場で奇跡を起こしてみせる。

その舞台は砂漠、エジプト。観客はロンメル。太平洋戦争で最強と言っても過言ではない将軍、「砂漠の狐」を向こうに回し、マスケリンは見事なトリックを演じてみせる。

砂漠に突如として軍隊を出現させ、アレクサンドリアの港を一夜にして1.5kmも移動し、スエズ運河を爆撃機から消してみせる。実戦を経験しないことに負い目を感じたマジックギャングたちは、わずか3隻の高速艇で港を襲撃し、大艦隊による攻撃と誤認させることすらやってのける。なんと痛快なこと!

当然戦場の話であるから、被害はある。奇跡の秘密を暴こうとして命を落すものもいれば、敵の攻撃で仲間を失ったりもする。しかしギャングたちは、物理的困難も精神的ダメージも乗り越えて、奇跡を起こし続ける。

実は本書の記載にはかなりの誇張や、捏造されたエピソードも混ざっているらしい。しかし、エンターテイナーの、それもマジシャンのエピソードに厳密性を求めるのは、野暮というものだろう。


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2012年3月4日日曜日

003 / 394 野蛮人の図書室

10点満点で、7点。

基本的には著者買い。教養のない野蛮人が、「騙されないで生きるために」必要な教養を身につけるためのブックガイド。紹介されている本は様々なジャンルにわたり、そして書評の書き方がとてもうまい。
(このブログが5点なら、30点くらいある)

なぜその本を取り上げて、その本から何を得るのか、そのヒントも書かれている。
しかし気になったのは、どうも著者のスタンスが鼻についた。野蛮人に物を教えている本だから、読者よりも視点が高いのは仕方ない。しかし、政治家や官僚、その他著名人など社会に影響力がある人たちに対して、ほぼ全般的に「アイツら本当のことはわかってない、どうしようもないバカどもだ」というスタンスがはっきりと読み取れる。

本書を読む限り、日本を動かしている政治家、外務官僚には、安全保障や国際情勢についての知識がある人物はほぼ皆無のように思える。いるのは衆愚政治を展開する政治家と、エリート意識に凝り固まって大局観を持たない官僚ばかり。そんな馬鹿な、と思いたい。

著者は外務省から切り捨てられた人物だから、恨みを持つのは仕方ないと思うけれど。


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002 / 393 FBI美術捜査官

10点満点で、7点。

著者は、盗難された美術品を追う元専門家。FBIではその歴史は浅く、美術犯罪チームができたのは2004年とあるから、まだ10年も経っていない。そして人の入れ替わりも激しく、専門家が育つ環境ではない。
チームが出来る前から、美術品操作を手がけてきた著者の回想録。

著者も書くように、美術品犯罪やその奪回は、映画ではスリリングに劇的に描かれている。しかし実態は派手さに欠け、アメリカでは美術品の盗難が連邦犯罪にあったのもごく最近。それまでは、州警察の操作範囲を出なかったとか。フランス(だったか)でも最長で3年の懲役しか課すことが出来ず、美術品の盗難とは比較的リスクの小さな大型犯罪だった。ただひとつ、奪った美術品を売ることが難しい、という点を除いては。

美術操作の大原則は、「奪回が第一、犯人逮捕は二の次」ということ。著者は語る。「美術品の盗難や損傷は、人類に対する犯罪である、歴史に対する犯罪である」と。遺跡で発見された財宝は、盗掘者に持ち出された時点で、歴史家の検証を受けるチャンスを永遠に失ってしまう。どういう状態で置かれ、周囲に何があったのか、誰も知ることができなくなってしまう。

こういった、取り返しのつかない事態を避けるために、金で買い戻せるものは金をも使う。著者の書きぶりでは、最終的には犯人を逮捕して金も取り返していることが多いようだが、それでも捜査の過程で金を払うことには躊躇していない。我々が想像する闇市場とは異なり、売買相場が市場価格よりも安い、ということもあるのだろうが。

著者の潜入捜査に、派手さはあまりない。もちろん飛び交う金額は高額だが、スリリングなシーンは殆ど無い。巧妙に相手が犯罪を自覚していることを告白させ(裁判のためだ)、品物がほんものであることを見極めて、合図と同時に捜査官が突入するだけ。ここに至るまで、いかに相手に自分のことを信頼させるか、そして逮捕と品物奪回が同時に出来るよう段取るか、その展開が本書の醍醐味。そのステップは、1.ターゲットを見つける、2.自己紹介する、3.信頼関係を作る、4.裏切る、5.家に帰る、とある。家に帰るというのがいかにも欧米らしい。

本書は合衆国史上最大の美術品犯罪を追いかけ、あと一歩と言う所で官僚主義に邪魔される、その現実も赤裸々に描いている。どの国でも、組織というのは全体が見えていないのだな、と嘆いているところは、まるで著者は日本人であるかのようだ。


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2012年1月30日月曜日

001 / 392 彼らが日本を滅ぼす

10点満点で、8点。

初代内閣安全保障室長の著者が、民主党政権のあまりの酷さに対し、警鐘を鳴らした本。2011年1月の発行だから、ホットな話題は尖閣諸島漁船体当たり事件となる。
(ちなみに本書では、「漁船衝突事件」と報じるメディアにも一石を投じている)

民主党政権がどれほどのものか、この2年半で国民は嫌というほど思い知った。本書では外交、安全保障という「失敗したら取り返しの付かない政治」に失敗を重ね続ける民主党政権を、舌鋒鋭く糾弾している。いや、失敗というのは誤解かもしれない。もしかしたら彼らは、意図して意図した通りのことをやっているだけなのかもしれないから。

民主党政権になって何があったか。
ルーピー鳩山の亡国政権では、アメリカとの外交関係を致命的に悪化させた。菅直人売国政権では、日米同盟恐るに足らずと見切られたか、中共の領海侵犯を招いた。領海侵犯した漁船に体当たり攻撃を受け、裁判もせずに帰国させたら謝罪と賠償を要求された。日本人技術者を人質に取られた。

本書の発行後ではあるが、未曽有の大震災に襲われた中、何をしていいのかわからないとうろたえた。原発事故に適切な対処が出来ず、あろうことか国民を人体実験の素材にするかのような、情報の隠蔽が行われた。震災対処で国内ががたつく中、中共からは再三の領海侵犯を続けられ、ロシアには大統領の北方領土訪問を許した。北朝鮮の砲撃を受けた韓国人に、「戦争が始まったら日本と戦う」と理解不能なことを言わしめた。いや、これはいつものことか。

とにかく、危機管理ということについて何も考えていないのが民主党政権。考えていないと言うよりも、考えがまとまっていないというべきか。右派から左派まで玉石混交(石しか見当たらないけれど)、社民党とたちあがれ日本を同じ内閣に入れようとするのだから、いったい何がしたいのかさっぱりわからない。「日本を崩壊させたい」というのが唯一の目的だとしたら、辻褄は合うのだが。

本書では、民主党政権の致命的な外交・安全保障政策について、目を覆いたくなるような惨状が事細かに書いてある。こういう政権を成立させてしまったのは国民の責任だから、せめて一刻も早く総選挙をして、まともな政治を取り戻して欲しいと思う。

本書では小さなエピソードの一つだが、朝鮮戦争当時の李承晩政権について、興味深いことが載っていた。
北朝鮮の侵攻に押される中、吉田茂が「いざとなれば、編成したばかりの警察予備隊を派遣してもよい」と李承晩に打診したところ、「日本軍が来るなら、北朝鮮と停戦してともに日本軍と戦う」と返されたという、理解しがたい(とは言えあの国らしい)反応。いくら何でも真偽が疑わしいと感じたので調べてみたら、どうやら事実のようだ。あの国の斜め上っぷりは、筋金入りということか。

ちなみに朝鮮戦争では、日本は掃海艦を派遣して機雷の除去に当たり、殉職者も出している。
その相手に対する反応がこれだ。さすが、関わると負けの国。


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2012年1月21日土曜日

アクティブ・ブレイン F1コース優勝!

色々あった2011年、色々ありそうな2012年。
書くべきことはたくさんあるし、書きたいこともたくさんあるけれど、溜め込んでしまった。まずは直近の、アクティブ・ブレイン第4回F1コースについて。

2012年1月14日~15日にかけて開催された、F1コース。アクティブ・ブレインで開花した記憶力を駆使して、常識はずれのチャレンジをするコース。参加者の共通点は、アクティブ・ブレインを受講していること、そして向上心があること。参加者は50人ほどなので、大規模というわけではない。そしてあくまで個人的なイメージだけど、「普通の人が挑む記憶力コンテスト」だと思う。このために何ヶ月も前から準備する人は(多分)いないし、普通に仕事をしている人が多い。アクティブ・ブレインの認定講師はいても(今回はいなかったけど)、記憶力「だけ」で飯を食っている人は(多分)いない。

なにより、俺自身がただの会社員だし、現場監督だ。普段はヘルメットをかぶって、自分で工具を持ってトンテンカンとしていることも多い、ブルーカラー労働者だ。アクティブ・ブレインに出会って人生観は変わったけれど、人生は多分まだ変わっていない。夢は膨らんできているけれど。

さて本題。今回が3回目の挑戦となるので、なんとしても優勝したかった。
前回までにF1コースで会った人たちとも話をしたかったけれど、皆さん都合が合わなかったようで、恐らく3回目の挑戦というのは俺一人。まだ4回目の開催なので、最多出場だね。

内容は昨年と大きく変わらず。得点が稼げたところ、伸びなかったところの傾向も去年と同じ。やや力を入れた、人の顔と名前を覚えるところは点が伸びたけれど(それでもようやく半分)、アプローチを変えてみた年表記憶は散々。去年より大きく点を落としてしまった。

最後のトランプ記憶でも記憶ミスがあり(正確には思い出し間違い)、総合点は去年よりも40点くらい落ちたけれど、なんとか優勝。去年はランキング圏外だったから、今年のレベルが低かったのか、去年のレベルが高かったのか。項目別の最高点を考えてみると、去年のほうがレベルが高かったのだとは思う。去年のチャンピオンは、多分100点以上多く取っていた。会場の熱気も、去年より熱くなかった気がする。去年はとても盛り上がっていたし、先生への質問も多かった。終わったあとも、10人くらいで打ち上げに行ったし。

とはいえ、優勝は優勝。3度目の挑戦で、念願の優勝。
小田先生に電験の免状を見せて褒めてもらうという、一番の目標も達成できたし、充実感でいっぱい。

難しかったのは、チーム内での発言。
3回目なので、種目別のポイントはある程度わかるし、自分が得意な種目ではコツも教えられる。でも、それをやってしまうと、初挑戦の人から驚きと喜びを奪ってしまう気がして、どこまで話すべきかとても悩んだ。結局奥歯にものが挟まったような物言いしか出来ず、チーム内の盛り上がりは去年より確実に欠けていた。

興味深かったのは、今回初挑戦という方に、「去年はまだ、F1コースに挑戦する自信がなかった」と語る方がいたこと。俺の場合ベーシックコース、アドバンスコースと受講して、自分の能力が確実に開花していることに感動した。それと同時に、「これだけのことができたのだから、F1コースを受講したらもっととんでもないことができるようになるに違いない」と思ったので、迷うことなくF1コースを受講。
��正確には迷った。資金と時間の都合があるので、英単語コースと速読コースも含め、どれを受けるか選ぶ必要があった)

アクティブを受講すると、少なくともアドバンスコースまで受講すると、陽転思考がある程度身につくはず。
F1コースに挑戦することそのものにためらうというのは、個人的にはとても意外だった。俺自身は、期待が膨らむ一方で、不安なんて微塵も感じてなかったから。