2012年1月30日月曜日

001 / 392 彼らが日本を滅ぼす

10点満点で、8点。

初代内閣安全保障室長の著者が、民主党政権のあまりの酷さに対し、警鐘を鳴らした本。2011年1月の発行だから、ホットな話題は尖閣諸島漁船体当たり事件となる。
(ちなみに本書では、「漁船衝突事件」と報じるメディアにも一石を投じている)

民主党政権がどれほどのものか、この2年半で国民は嫌というほど思い知った。本書では外交、安全保障という「失敗したら取り返しの付かない政治」に失敗を重ね続ける民主党政権を、舌鋒鋭く糾弾している。いや、失敗というのは誤解かもしれない。もしかしたら彼らは、意図して意図した通りのことをやっているだけなのかもしれないから。

民主党政権になって何があったか。
ルーピー鳩山の亡国政権では、アメリカとの外交関係を致命的に悪化させた。菅直人売国政権では、日米同盟恐るに足らずと見切られたか、中共の領海侵犯を招いた。領海侵犯した漁船に体当たり攻撃を受け、裁判もせずに帰国させたら謝罪と賠償を要求された。日本人技術者を人質に取られた。

本書の発行後ではあるが、未曽有の大震災に襲われた中、何をしていいのかわからないとうろたえた。原発事故に適切な対処が出来ず、あろうことか国民を人体実験の素材にするかのような、情報の隠蔽が行われた。震災対処で国内ががたつく中、中共からは再三の領海侵犯を続けられ、ロシアには大統領の北方領土訪問を許した。北朝鮮の砲撃を受けた韓国人に、「戦争が始まったら日本と戦う」と理解不能なことを言わしめた。いや、これはいつものことか。

とにかく、危機管理ということについて何も考えていないのが民主党政権。考えていないと言うよりも、考えがまとまっていないというべきか。右派から左派まで玉石混交(石しか見当たらないけれど)、社民党とたちあがれ日本を同じ内閣に入れようとするのだから、いったい何がしたいのかさっぱりわからない。「日本を崩壊させたい」というのが唯一の目的だとしたら、辻褄は合うのだが。

本書では、民主党政権の致命的な外交・安全保障政策について、目を覆いたくなるような惨状が事細かに書いてある。こういう政権を成立させてしまったのは国民の責任だから、せめて一刻も早く総選挙をして、まともな政治を取り戻して欲しいと思う。

本書では小さなエピソードの一つだが、朝鮮戦争当時の李承晩政権について、興味深いことが載っていた。
北朝鮮の侵攻に押される中、吉田茂が「いざとなれば、編成したばかりの警察予備隊を派遣してもよい」と李承晩に打診したところ、「日本軍が来るなら、北朝鮮と停戦してともに日本軍と戦う」と返されたという、理解しがたい(とは言えあの国らしい)反応。いくら何でも真偽が疑わしいと感じたので調べてみたら、どうやら事実のようだ。あの国の斜め上っぷりは、筋金入りということか。

ちなみに朝鮮戦争では、日本は掃海艦を派遣して機雷の除去に当たり、殉職者も出している。
その相手に対する反応がこれだ。さすが、関わると負けの国。


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