2019年7月28日日曜日

私の少年 第31話 年明け(ネタバレ感想)

【感想・考察】
迷走を始めてしまったんだろうか。
前半、というか大半は展開が動いて、これからどういう物語になっていくのか方向性が暗示されたと思ったのだが、最後に話が変な方向へ大きく動いてしまった。

新年、実家で過ごす聡子のモノローグから始まった今回。聡子視点は久しぶり。12月に上京したばかりだから帰省しないだろうと思っていたのだが、まゆの影響で帰省している。そのきっかけは、第14話で名前だけ登場したまゆの彼氏、達郎の存在。法曹関係の仕事をしているということで、聡子が洗いざらい相談する決心をしたから、らしい。
まさかここで達郎が出てくるとは思わなかった。9月だか10月だかにできたばかりの彼氏をほっといて12月には東京に移住してしまうくらいだから、あっさり別れたもんだと思ってたのに。それも、聡子と真修に何があったのか、きちんと相談する最初の人物として登場するとは想像すらしていなかった。まゆの(見かけ上の)チャラさ、なんとかプランナーというふわっとした肩書から、広告やマーケティングなどの華やかな世界にいる人物だろうと想像していたのだが。

聡子は相談する過程で、真修について「ただそばにいたい」と表現している。これはもう母性だよなあ。22話では恋愛感情を意識したような描写があったけれど、その感情はさほど大きくなかったのか、押し殺しているのか、それとも母性が大きく上回っているのか。
まゆの感想からは、「聡子が恋愛感情を持っていると判断するのは間違い」と受け止めたのであろうことが読み取れる。

そして最後、これも14話以来となるクソ野郎、八島の再登場。聡子のことを結婚詐欺師呼ばわりして泣き叫び、動画を投稿される。
読者の誰からも、二度と登場しない人物だと思われてたんじゃないか。今回もフォローのしようがないクソ野郎っぷりを見せつけていたけれど、多分これは深堀りされないんじゃないかなあ。聡子の感情としては歯牙にもかけていないだろうから、生活の平穏を乱すことはあっても、感情をどうこうするわけではないだろうし。単に投稿された動画を発見した真修が、「聡子は結婚を意識する年齢」という現実と向き合う、その布石以上の存在ではないような気がする。もしかしたら、次回以降はもう名前だけの登場で、本人は出てこないかもしれない。

しかしここ最近の話、アラというか気になる点が増えてきた。
以前は緻密に計算された、詰将棋のような話の展開だったのに、最近は無理のある展開や変な設定が多い。今回も、気になる不自然なところがいくつか。

  • まゆは何について「ひとりで解決しようとしてる」と言ったのか?
  • 聡子が解決したかったのは真修の家庭環境だし、それは現時点でかなり改善されているというのは聡子もまゆも認識しているはず。 なので、今の時点では「聡子がどうしたいのか」は問題になるけど、「解決する」ことはないのでは? 一体どういう話し方をしたのか?
  • 元樹対策なしに帰省したのか?
  • 年末年始は元樹が帰宅してくる可能性は高いし、そうなると聡子の話が耳に入る可能性はそれなりにある。真修がばあちゃんにどういう口止めをしたかはわからないけど、「お見舞いに来てくれたことは伏せて」という内容であったら、ばあちゃんが知り合った人という内容で話題に登ってもおかしくない。それこそ、「カラオケで知り合った若い友達のお姉さんが、なんと真修のコーチだったのよ」なんて話すのは不自然でもなんでもない。 あるいは、遼一の口から伝わってもおかしくない。遼一が聡子の存在に気づいていないというのも不自然だし。 達郎に相談したとおり、聡子が元樹と対峙するのであれば、聡子から先にアプローチしないと話すら聞いてもらえないリスクは高い。それこそ、ばあちゃんなり遼一なりから聡子の存在を知った元樹がヨネサスに「あの女、戻ってきたかと思ったらもう真修にちょっかい出してる」なんてクレームを先に入れられた日には、もうどうにもならんだろう。
  • 八島動画はどこから撮影されてる?
  • 予めスタンバイでもしてない限り、結婚詐欺師だとか騒いでるところなんてそう簡単に撮れないと思うのだが・・・せいぜいまゆが突き飛ばされたあとからだろ。まあここは話の都合上、きれいに撮影されてるんだろうけど。

高野先生が以前書いていた、「本当に書きたいことは30話前後の話」ということを考えると、次回~次次回あたりが山場になるんだろうか。
29話、30話を読んでいると引き伸ばしが始まった印象を受けたのだが、今回は急に動いた。クライマックスが近づいてきたのだろうか。

「普通こうなるよね」という結末にはしない、とどこかのインタビューで答えていたし、「大人と子供がただそばにいる関係」が円満に成立したら、それは確かに普通ではない。でもそれって、二人は本当に幸せなのかなあ。

31話が収録されているヤンマガはこちら。