2020年10月21日水曜日

私の少年 第42話 ME(ネタバレ感想)

話をたたみにかかっているなあ、と思っていたら、とうとう「次回、最終話」の文字が。ついにこのタイミングが来てしまったのだなあ。
寂しくて書くに書けなかったけど、さすがにもう5日後には最終回を迎えてしまうので、その前に書いておこう。

しなしなになったボールを見て、聡子が置いていったボールを思い出すシーンから始まる。26話のボール、聡子のボールじゃなかったのね。気になってチェックしてみたら、たしかに柄が違ってた。当時は全然気づかなかったなあ。

質問の交換をしているとき、別に縛りとして決めたわけでもないのに「すきなxx」についてだけ聞き続ける二人。もう、ネガティブな話題は出さないということなんだろうか。明るい方向に向かっている、というのがこんなところにも現れている。

真修の好きな色がターコイズ、その理由ももう、きっかけは聡子だが真修なりの理由がある、という面で、真修はもう「自分の意志で聡子を選んでいる」ことが強く感じられる。聡子がいなくなってからの2年、再開してからの2年で、聡子以外のことも意識に入った上で、それでも聡子が何よりも大切な存在なんだろう。

それに気づいた聡子の言葉は、ずるい。
真修は聡子の「あいしてる」「だいすきよ」という言葉を欲しているだろうが、わかっていて言わない。今の関係が心地よいからだろうし、言わなくとも真修は離れていかないと思っているのだろうが、何よりも代わりに出した言葉がずるい。

真修の目にうつる私が一番すき、だから私のこと見てて、って色んな意味が読める。

もう真修の視界から外れないという宣言だし、真修の瞳が確認できる距離から離れないという宣言だし、自分からも離れていかないでという意図も感じられる。もうこれ、関係が逆だったらプロポーズと受け止めるべき発言だよなあ。真修はまだ結婚できない年齢だから、聡子からは言えないけど。

この発言まで二人で描かれているコマが少ないのに、ここからずっと二人。
もう、今回が最終回でもおかしくないまとまり方。遼一の名前の由来とか、回収されてない伏線はまだあるけど、最終回も終始温かい展開だといいなあ。

そして願わくば、不定期連載でもいいので二人の温かい関係がひたすら描かれる後日談が読みたい。
それとは別に、回収されなかった伏線の裏が確認できる、設定資料集みたいなファンブックが出てくると更に嬉しい。

2020年8月25日火曜日

私の少年 第41話 わたし(ネタバレ感想)

聡子が一人、自分の内面について問いかけ、自分なりの答えを出した回。
展開自体は予想通りだったけど、内容は予想からは外れていた。いやまあ、俺の陳腐な予想なんて外れるに越したことはないんだけど。

様々な世代の聡子と自問自答する姿が意外だった。新幹線の中で少女に戻る描写はあったが、これだけ徹底的に描かれると新鮮だった。しかも、過去の自分同士が話をしているし。

伏線の回収も詰め込まれていた。
椎川の婚約者、夏海さんレンタル彼女説は否定。基礎体温を測る習慣についても説明。どちらも正直無理があると思うけれど、でももう話がここまで来たら、割とどうでもいい内容。

K子と聡子父、どちらが先に遊び始めたのかの説明もあった。21話を読む限り、遊ぶK子に愛想をつかした父が出ていったのかと思っていたが(32話でもそんな感じをほのめかしてるし)、今回の話では父が先に遊んでいる。それであのLINEを送ってくるということは、つまりどっちもどっち、似たような性格なのだろう。

恋が怖かったと言い切る上に、「頑張ってみた」という表現をするということは、椎川相手のときは本当の恋愛をしていなかったということかな。別れてから10年近くも縛られていたのは、むしろ「恋ができない自分」を認めたくなかったのか。

これからも怖がる、一緒に怖がるというのが恋のことだと明確に語ってはいないが、恐らくそうなのだろう。ということは逆説的に、真修は恋愛対象としてではない、もっと違う感情として大切に思っているということなのだろうな。

前回は真修が「恋とは違うかも」と言っているし、やはり二人にとって、お互いは恋愛感情などのくくりでは表現できない相手なのだろうな。いずれいい形で恋愛関係になってほしいと思うけれど、もうその段階を通り越しているからなあ。

いよいよもう、終わっちゃうんだろうな。
前回はあまりのまとまりの良さに、7回表に全盛時の藤川球児が登板してきたような衝撃を受けてしまった。もう本気で締める気だ、という。
でも今回は、大差のついた勝ちゲームで、リードを守れればそれでいいや、という安定重視。ここから先、もうドラマはないのかもしれない。たしかに過去、ドラマなんていらないって言ってたけど。

41話が掲載されているヤンマガはこちら。

2020年8月22日土曜日

私の少年 第40話 面影(ネタバレ感想)

なんか色んな感情に襲われて、虚無感に浸っていたらすっかり書くタイミングを逸してしまった。 
2日後には最新話が読めるから、その前に垂れ流し。

 真修の海藻と思い出話、そして元樹との会話で、一気に話をまとめにかかってきた感じ。 少年時代(今でも少年だけど)の真修が夜一人で過ごすのは珍しい話ではなかったこと(聡子の部屋に一泊したことが気づかれなかったことの伏線回収)、元樹は育児放棄していたわけではないというフォロー(ただし空回りしてる)、そして真修が成長していることを元樹が認識する描写。

 真修が聡子の部屋で一泊したこともサラッと流した。「明日詳しく聞くからな」とは言っていたけれど、恐らく聞く描写はないだろう。元樹はもう、聡子に白旗を上げてしまった。 元樹は元樹で、自分に見える範囲で色々考えていたのだろう。見える範囲が狭かったのと、見えない範囲を想像する力に欠けているだけで。真修はもう、自分に見える範囲からはみ出したことを認識したから、今後障害として立ちはだかることもないのだろうな。もしかしたら、「真修が自分で考えて決めたことなら」と、理解者のポジションに移動する可能性だってゼロではない。でも多分、出番は終了じゃないかな。この状態で聡子に会っても対決にはならないし、今更雪解けを描写する必要もない。

 最後に菜緒が登場。最初から恋に敗れることが決まっていた可哀想なキャラではあるが、現実を受け止めて明るく前を向くことが出来た。彼女も退場理由としては満点なので、恐らくもう出番はない。

 さあ困った。本当に終りが近づいてきたぞ。 もっともっと読みたいのに。ゆきの死因、早見家の血縁関係など、回収されてない伏線はまだまだあるけど、ここ2話ほどはそれらがどうでも良くなるまとまり方。どうでもいいというのは語弊があるが、でも未回収のまま終わっても、作品の完成度にはさほど影響はないと思う。聡子と真修が「名前のない関係」なんだから、それ以外の人物の関係なんてもっとどうでもいい気がしてきた。 次回は聡子が、改めて真修は自分にとってどんな存在なのかを考えて、結論を出すのかなあ。 それこそ友人だろうが恋人だろうが関係ない、ただ一緒にいたい存在、という結論になりそうだけど。

 40話が掲載されているヤンマガはこちら。
 

2020年6月27日土曜日

私の少年 第39話 ハッピーエンド(ネタバレ感想)

久しぶりに波風が立たなかった回。いつ以来だろう。ひょっとしたらラムネ以来かも。でもあのときも、後ろで天候は崩れてたからなあ。
まあ今回も全くの無風というわけではなく、元樹は拗ねていたんだが、もはや小物感丸出しで大きな障害にはなりそうにない感じ。

元樹の価値観はよくわからん。学生の本分は勉強って、一日中家に閉じこもって勉強するのが当然と考えてるのか。昼間遊びに出ても、夜勉強してたら全然問題ねえだろ。真修は成績も問題なさそうだし。親の役割として真修を管理したいようだが、家にいる間なにか指示しているわけでもなさそう。結局こいつは、子供に制約を加えることが親の役割と考えているのか。第11話「ノイズ」で聡子が感じた違和感、元樹は真修のことをちゃんと見ていないのではないかとの懸念が、具体的に描かれている。

気になるのは、元樹の「俺が2度も」の発言。だいたい想像はついていたけど、やはり「2度も母親を奪った」と続いていた。
ということは、真修に母親は元樹のせいで命を落としたと思われても仕方ないのだ、ということ。一体何をしたんだ。ワーカホリックで家庭を顧みず、ゆきを過労死でもさせたのか。あるいは自分が運転する車で交通事故でもあったのか。
前者ならばあちゃんが普通に元樹と接しているのに違和感があるし、後者なら第2話で一夜を共にしただけの(表現)聡子が運転する車に真修が気軽に乗るのは違和感がある。ゆきの死因は何だったのだろう。

真修に「お母さん」と呼ばれたのだと勘違いした聡子の動揺が、妙に初々しい。元樹にそんな発言をされていたのに、今まで意識したことがなかったのだろうか。
そして、真修が「ずっと手をつないでいたい」と真っ赤になって話したとき、聡子まで赤くなってる。ようやく「人間としてすき」の要素に「異性としてすき」の感情が伴ってきたか。

そこからの妄想3連発は、読者向けの銃撃なのか。もうお前ら、どんな形でもいいから幸せになれや、絶対幸せになるだろ、としか言えぬ。
最後に手をつないで、まっすぐ見てくる真修に照れる聡子。
もう、これ以上事件起きなくていいよ。回収されてない伏線はまだまだあるけど、それよりもう、ただただ幸せになっていく二人が見たい。
もっと長く読みたいけど、高野先生自ら「クライマックスにかけて云々」のツイートをしてるから、終りが近いんだろうなあ。
続編(というかスピンオフ)でひたすら真修がのろける「うちの奥さん」でも連載してくれたら、多分何年続いても読み続ける。

39話が収録されているヤンマガはこちら。

2020年4月28日火曜日

私の少年 第38話 白黒(ネタバレ感想)

久しぶりに駄文を垂れ流す気になった。
ここ最近の話は、展開に無理があったり少女漫画チックになっていたりで、楽しみではあるけれど心待ちにするほどではない、そんな感じだった。
でも今回は久しぶりに満足。そして次回が楽しみ。

菜緒が薄々感づいていた、真修の聡子に対する気持ちを確信に変えた。それも真修に当たるのではなく、聡子に当たる形で。そして聡子の気持ちを確認してしまったことで、もう希望を持てない形で自分の気持ちを打ち砕かれた回。まあいずれこの日は来るわけで、前回で菜緒の登場は終わりかと思っていたのだが、きっちりとどめを刺されてしまった。
今後菜緒が登場するとしたら、それは真修の同級生で「あの歳の差はありえない」と騒ぎになるときだろうが、流石にそういう状況は描かれないんじゃないかなあ。

今回光ったのはりおん。菜緒から話を聞いたときの反応は、見事に一般人代表と言える。そりゃ普通そう思うよ。でもりおんの偉いところは、「聡子がおかしい」という反応を見せなかったこと。普通なら真修のことをおかしいと思うのと同時に、相手にしている聡子もおかしいと思いそうなもんだが、そんなことは一言も言わなかった。まあ省略されただけかもしれないし、聡子がどういう態度だったかを聞いてないから考えもしなかったのかもしれないが。
そして、菜緒に話を聞く前にいちいち聞いていいか尋ねている、意外な気配り。そういうのわからないから、と言っているが、聞いてはいけない話題かもしれないと考えるだけ偉い。りおんは身勝手なやつだとずっと思っていたが、大きな間違いだった。最後に菜緒を優しく泣かせているし。

菜緒に問い詰められた聡子は、大人の対応で、だが正面から答えている。菜緒からしてみればはぐらかされているように感じるのだろうが、多分聡子の正直な気持ちじゃないかな。
綺麗事を言うつもりがないから、菜緒には理解できない答えになるんだろう。
菜緒の言っていることは正しいと聡子は言っているが、一つだけ間違っている。誰も幸せにならないなんてことはない。少なくとも真修は幸せだ。聡子は違うかもしれないけど。

今回は何が良かったって、久しぶりに人間らしい聡子が登場した。
さていつ以来だろうか。仙台から帰ってきてからずっと、悟りきったような態度だった気がする。どんな話があったかと考えてみたけど、思い出せんな。
椎川がクズっぷりを自分語りして、聡子がそれの相手をしなかったのは覚えてる。前回は日曜デートの約束したのと、真修が服を買ったくらいか。34話でいきなり真修が高校生になってたのかすら思い出せん。
このまま、「一時期ハマった漫画」として自分の中ではフェードアウトしていくのかなあ、なんてぼんやり思ってたから、今回はかなり響いた。

最後の決意、次回聡子は真修に何を言うんだろうか。
本命は、聡子も真修のことがすきだとはっきり告げる。そしてこれからのことを真剣に考える。
対抗は、真修のことがすきだからこそ、少し距離を置こうと告げる。もちろん、いなくなったりはしないし、会ってもいいんだけど、まずは年相応の青春を味わうべきだとかいう話をする。
穴は、真修の幸せのために会わないようにしよう、ということかなあ。いなくなったりしない、という約束は2年守ったのだから、状況に変化が現れてもおかしくない。

次回が気になる、いい引き。
2ヶ月待つの辛いなあ。

38話が収録されているヤンマガはこちら。