2018年10月14日日曜日

020 / 475 木村政彦 外伝

10点満点で、6点。

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」は、本書によって「完全版」となる・・・と書いてあるが、別にそうでもないんじゃないか。
面白い本ではあるが、木村政彦とその時代について掘り下げてあることなら読みたくとも、全然関係ない話題に脱線している、柔道史あるいは格闘技史と特に関係ない人物との対談などは、別に読もうと思わない。同じような話題が繰り返し登場することもあるし、まあ確かに木村本の編集からは抜け落ちても仕方ない内容だよね、と思う。

内容は当たりの記事があったり、ハズレの記事があったりと、質が安定しない。
無批判に読む向きもあるだろうが、読み手が何に興味を持つかによって評価は変わるんじゃないかな。700ページあまりの大ボリュームだが、俺には無駄と思える内容が多すぎる。

巻末の写真及びキャプションは秀逸で、むしろこれが本体だと思う。木村本をゴング格闘技に連載していたときに記載されていた全写真とキャプションで、木村本には収録されなかったものも多くあるようだ。この部分だけ廉価で、小冊子として発売すればそれなりに売れる気がする。資料としてはかなり貴重なものもありそうだ。

単行本kindle

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2018年10月10日水曜日

019 / 474 あなたが輝くとき

10点満点で、7点。

大好きなピアニスト、西村由紀江さんのエッセー集。
本人が書いたのか、ゴーストライターの手によるものなのかは知らないけれど、多分本人じゃないかなあ。文章が、作品から受けるイメージにピッタリ。逆に、あまりにぴったりすぎて違和感がないからこそ、ゴーストライターが書いたのかもしれないという気もするんだけど。

子供の頃の話、日常の何気ないこと、コンサートの舞台裏、作品を作る過程、、、基本的にはピアノなり音楽なりが絡む話題だけれど、別に音楽に知見がなくても気軽に読める。各タイトルが、作品(ピアノ曲)のタイトルと合わせてあるので、曲そのものを思い浮かべながら読むと「こんな感じなんだ」と思ったり、「流石にこの曲は違うんじゃね?」と思ったり、なかなか楽しい。その意味では、西村由紀江さんの曲を知らない人が読んでも、あまり面白くないのかもしれない。

曲が生まれるのに、メロディが自然に浮かぶ、というのがなんとも羨ましい。楽譜も読めない身からしてみると、作曲ができるというのはとんでもない才能に思えて仕方ない。聞いた音を楽譜に起こしたり、思いついたメロディを楽譜に起こしたり、そんなことが練習や勉強でできるようになるとはとても思えないけれど、そのことに苦労をしている感じは全くしない。徹底的に練習してきたからそうなったのかもしれないけれど、読む限りは作曲って、メロディはちゃんと存在する上で、自分が思うイメージのとおり弾けるように強弱なりテンポなりを探している、それだけに思える。

いつか、そういう世界の入口でも見えるようになるといいなあ。



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