2012年4月19日木曜日

電験三種攻略その3 理論-2

さて、理論。
根本的に理論の理解が怪しいことは自覚していたので、きちんと理解することを目的にして勉強した。「短時間で必要最低限だけ勉強して合格する!」みたいなことを推奨している本やサイトは多いし、それを否定はしないけれど、俺の場合目的が違った。もちろん試験に合格するというのは重要な目的だが、それ以上にきちんと理解することに重点を置いた。勉強する以上、単に資格を取るだけじゃなくて、実務に役立てたいからね。電験三種は理解していなくても合格できる試験だけど、実務での応用は理解してないと難しいから。

いろいろな参考書を買って、買うだけ買ってほとんどは積みっぱなし。薄い本だと内容が浅く、理解するのが難しいことが多い。厚い本だといいかといえばそうとも言い切れなくて、そもそも手に取るためのハードルが高いし、単に記述が冗長なだけというのも多い。

その中で、唯一最初から最後まで全部やって、問題も全て解いたのはこの本。



いい本だと思ったけど、amazonの評価は高くないし、絶版なのね。

問題を解く際の式の変形や、重要公式から他の重要公式を導く方法など、省略が少なく丁寧に記載してある。一足飛びに結論を書かれることがないので、きちんと式を追いかけていけば、内容が理解できる。当然ながら、一般的な数学の勉強法と同じく、読むだけでなく自分でペンを動かして式を書いてみること。そうすれば「理解できていないのか」「理解できたがテクニックが必要な変形で、テクニックを使うのが怪しいのか」「ひらめきが必要な変形だから、理解した上で覚えてしまったほうが良いのか」が判断できるようになる。

惜しむらくは、重点項目だけに解説を絞り込んでいて、範囲を網羅できていないこと。本書だけで合格点を取るのは、正直なところ無理だと思う。過去問をやってみると、本書がカバーしていない分野からの出題って結構あるし。なので、本書の他にテキスト2冊と、過去問集を併用した。



過去問は他に「精選問題集」というのも使ったけど、こちらも絶版みたい。
基本的には「必修項目」で勉強して(演習問題も全てやった)、過去問に挑戦。解けなければ「必修項目」を紐解きながら考えて、それでもわからなければ「これだけ理論」を参照。「これだけ理論」でも分からない問題だけ「徹底解説」を読む、というスタイル。

最初に「必修項目」を通して勉強。基本的には1日1単元だけど、それにこだわらずに気分が乗れば多く進めたし、理解が怪しいところには時間を掛けた。

勉強するときは、新しい項目は夜。毎日、だいたい1時間くらい。それ以上は集中力が続かないから、スパっとやめてしたいことをする。で、酒は飲まずに寝て、翌朝早起き。30分くらい、前夜掛けた時間の半分以下の時間を使って復習。内容によって、読み流すだけのこともあれば、式の展開を書くこともあるし、演習問題をやるだけのこともあった。復習すると記憶は定着するし、理解が怪しいところがはっきりしてくるので、これはとても重要。

過去問に挑むときは、問題を読んですぐに解き方を思いつかないときは、さっさと諦めて解説を読む。最初にどう手を付けていいのかさえわかれば解ける問題もあるし、公式が思い出せないから解けない問題や、理解できてないから解けない問題もある。なぜ解けないのかは2回もやれば自覚できるから、夜挑戦した問題が朝解けなければ、その日の夜は再度その問題について、テキストを見たり公式のメモを見たりしながらもう一度解く。その上で、更に翌朝挑戦してみれば、大体解ける。2回目に挑んで解けなかった問題は印をつけておいて、重点的に復習する。同じ年度の問題を10回解いたとして、理解できた問題は2回くらいしか解かないし、10回やってもまだ解けない問題が残ってたりもする。それでも、5回を超えたあたりから、ポイントさえ思い出せば解けるようになってくるので、自信がついてくる。

ちなみに、前述のとおり、すぐに解き方を思いつけない問題はさっさと諦めるので、1年分やっても30分くらいで終わる。解けるようになってくると、計算する時間がかかるようになるが、解けてる間は面白いので苦痛ではない。考えてもわからない問題に挑むのが一番苦痛なので、そういう時間は短く済ませるのがコツと言っていいのかな。

あああ、また長くなった。まだまだ書きたいので、続く。

2012年4月7日土曜日

007 / 398 コンテナ物語

10点満点で、8点。

分類に困る本。世界を変えたコンテナについて、その登場と普及するまで、そしてコンテナの登場で世界がどう変わっていったのかを克明に追っている。

本書を読むまで知らなかったのだが、「大量の貨物をコンテナで運ぶ」というスタイルが出来上がって、まだ50年ほどしか経っていないのだな。規格サイズのコンテナを船に詰め込んで、陸路もそのままコンテナを運ぶ。今や日常的に目にする光景だし、合理的だが単純なアイデアなので、もっと昔から存在するのかと思っていた。

コンテナの普及過程では、アメリカの規制当局がいかに頑迷か、嫌というほどわかる。画期的なアイデアが出てきても、陸運業界、海運他社、労働組合など、様々な組織の要望を受けて許可しないし、自由競争もさせない。これが自由の国アメリカなのかとにわかには信じがたい。今は変わったのか、それともこれが本質なのか。港湾当局も新しいことを認めないが故に、かつての大規模港が、近隣のコンテナ港にあっという間に取って代わられるケースも多数。

標準化と規格化の国というイメージもあったのだが、コンテナ規格化までの紆余曲折も凄い。実務をわかっていない人物が役に立たない寸法を決めたり、各社が自社コンテナの寸法を取り入れようと鎬を削ったり。

コンテナは物流を変えただけでなく、世界のあり方も変えている。戦争の進め方も変えているし(ベトナム戦争がそのスタートだ)、輸送コストの低減から、産業構造まで変えている。まさに「世界を変えた」という表現がふさわしい。

ややボリュームは多いが、面白い本。

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