2011年3月25日金曜日

012 / 378 泣き虫

10点満点で、6点。

ヒクソンの本を読んだので、高田の本も読んでみなくては、と思い立って。著者が高田からインタビューした内容を元に書き起こした本なので、自伝に類する物と思っていいだろう。

幼少の折プロレスラーにあこがれを持ち始めた頃から、新日本入団、UWF、新日本出戻り、第二次UWF、UWFインター、キングダム、ヒクソン戦、PRIDEと、高田の経歴をなぞりながら、主要な一戦は押さえている。

体力に自信を持って入団した新日本プロレスで、あっという間に鼻っ柱を折られてから、藤原や前田にもまれる日々。乗り越えてきた者だから語れるのだろう、凄まじい練習量には圧倒される。
(余談だが、「1・2の三四郎」でのプロレス入門近辺のシーンは、かなりこの空気を見せている)

周囲に翻弄される形でUWFから第二次UWFへと渡り歩き、前田の「解散する」発言で御輿に担ぎ上げられて。UWFインターでは社長兼エースとして、社長業に押しつぶされて選手として価値が暴落していく様が、よく伝わってくる。高田の苦悩を理解しようとしない田村、新日本プロレスの交渉術、選挙・・・
高田に同情したくなるが、読了後、終始「俺は悪くないのに、俺はやりたくなかったのに」という意識が見え隠れしていたことに気付き、少し冷める。もっと前を向いて語れよ、自分の覚悟に責任を持てよ、と。

ヒクソンとの初戦、戦う前から呑まれていたことも赤裸々に語られている。実際、試合では何もできずに一方的に、スパーリングでもやっているかのように決められていた。
そして一年後、今度は気力体力とも充実していたと語る再戦。確かに動きは悪くないが、フィニッシュまでの流れも時間も一年前とほぼ同じ形で、腕ひしぎ逆十時でタップアウト。俺はこの試合を東京ドームに見に行き、「去年と同じじゃないか! オマエ一年何やってたんだよ!」とヤジを飛ばした記憶がある。思えばこの頃から、高田の代名詞が「光速タップの高田」なんて言われるようになったんだか。

プロレスラーは本当に強いんだ、と主張しつつ、アルティメット等で勝てないのは「リアルファイトとプロレスは違うから・・・」と語る。言いたいことはわかるが、それってプロレスファンにしか通じないよなあ。
桜庭はそのギャップを埋めてくれたが、桜庭以外は誰も埋めていないのも事実。
(ダン・スバーンも結構いいとこ見せてるが、プロレスラーとしてのキャリアはやや疑問)

弁解はいいよ。もっと客観的に書いて欲しいな。


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