2010年9月30日木曜日

076 / 356 筆談ホステス

10点満点で、6点。
読書時間(普通に読んだ)・・・1時間程度

幼少時の病気により、一切耳が聞こえない著者が、いかにして銀座でホステス(売れっ子?)を努めているのか。そのテクニックを大公開・・・というよりは、「売れているホステスは何を考えているのか」を書いてある。著者は無音の世界に生きているから筆談だけれど、耳が聞こえたならば普通の会話で、普通にホステスとしてやっていけそう。

客の誘いを断るときなど、うまいこと逃げる言い回しもある。しかしそれより、客が肉体的、精神的に付かれているときにかけている言葉には、心温まるもの。気が滅入っているとき、酒が回っている中綺麗な字で書かれたら、確かにころっと参りそうだなぁ、と感じるもの少なからず。

「ホステスの会話術」なんて続編があるといいかもしれない。
・・・と、思ったら、結構出てるのね。



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2010年9月25日土曜日

075 / 355 この一冊ですべてがわかる普天間問題

10点満点で、6点。
読書時間(普通に読んだ)・・・1時間半程度

緊急出版と書いてあるとおり、118ページのムック本に近い体裁。4月1日発行だから、まだ鳩山政権が迷走しているときに出版されている。

・そもそも普天間基地の何が問題なのか
・日米が危険性を認識しながら、なぜ未だに解決していないのか
・著者の考える解決案
・普天間基地の存在価値、戦略的意義とは何か

について、わかりやすく書かれている。
しかし随所に著者の主観が入っており、客観性にはやや劣るか。「こうだからこうなるはずだ」の論法が多いのが気になった。知識の一片としては読むべき本だろうが、本書をメインの参考書として読むのは問題ありという気がする。

普天間で迷走し、日米関係が悪化している足下を見られて、中国に尖閣諸島を奪われつつある。
この亡国政権はあといったい何年続くのか。日本は国体を維持できるのか。



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2010年9月18日土曜日

074 / 354 最新 政治のニュースが面白いほどわかる本

10点満点で、7点。
読書時間(普通に読んだ)・・・1時間半程度

政治のニュースが面白いほどわかる本」の改訂版。2009年の出版だから、麻生内閣時代。本書ではまだ、政権交代が起きる前の情報で書かれている。

政権交代とはいったいどういうことか(それを争点に選挙するようなものではない)、連立政権とは何か(本来あるべきではないもの)など、前著と同様わかりやすく書いてある。前著では比較的中立的な立場から書かれていたが、本書は「今の自民党はダメ、しかし残念ながら民主党もダメ」という視点で書かれている気がする。

テーマは大きく三つ。「構造改革とは何だったか」「政権交代とは何か」「これからの国際貢献はどうあるべきか」が取り上げられている。前著よりもテーマを絞った分、一つ一つの話題について詳しく触れてはいるが、まだ浅い。政治に興味のない人が、入門書として読むべき本だろう。

欲を言えば、本書の次のステップとなる本の紹介があればよかった。



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2010年9月13日月曜日

073 / 353 あなたが輝くとき

10点満点で、6点。
読書時間(普通に読んだ)・・・1時間強

大好きなピアニスト、西村由紀江さんのエッセー集。どれくらい好きかというと、George Winston の次に好き。つまり、二番目に好きな音楽家。

売れっ子ピアニストとしての視点、苦労などがよくわかる。コンサート会場に向かうタクシーに乗っても、「会場はまだ開いてないよ」と言われてしまったり、貴重な隙間時間にいろんな人から挨拶されて、トイレに行くチャンスを逃したり。読みやすい文体で、読みやすい文章が書かれている。この人は、文筆家を目指しても、そこそこ面白い物が書けるんじゃないかな。ゴーストライターが書いたのでなければ。

俺が一番好きな曲、「心が満ちるとき」のタイトルを与えられたのは、病院コンサート。自分では動くこともできない患者との交流。なるほど、こういう感情を表しているのか、と。
(でもたぶん違う。先に作品ができたのだから)

テレビ番組で収録がうまくいかず、何度も演奏を繰り返したとき。ゲストに謝りに行ったら、「もう一回演奏が聴けるの? うれしいわ」と言われた話がある。こういうことをさらりと言える人、言わせる人に、憧れる。



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2010年9月12日日曜日

072 / 352 イラク自衛隊「戦闘記」

10点満点で、7点。
読書時間(普通に読んだ)・・・2時間程度

イラク戦争後の復興に乗り込んだ自衛隊の先遣隊長、「ヒゲの隊長」佐藤正久氏の著書。現参院議員で、防衛にあまりに無知な北澤防衛省を叱り飛ばしたこともあるから、ご存じの向きも多いだろう。

「戦闘記」とあるが、銃弾を撃っての戦闘ではない。むしろ小泉総理(当時)が帰国した自衛隊に向かって「誇りに思う」と言ったように、自衛隊は一発の銃弾も撃たなかった。ではどんな戦闘かというと、現地の部族と、他国の軍隊と、日本の政府と、日本のマスコミとの、武器を使わない戦闘。現地に溶け込むための苦労、武力行使できない自衛隊を理解してもらうための苦労、手足を縛って送り出した日本と現地の違いによる苦労・・・

自衛隊とは本当に、世界最高レベルの存在でないといけない制限があるのだなあ。何せ撃たれても撃ち返してはいけない、一発も撃たれないようにする以外身を守る方法がないのだから。指揮官に発砲を許可する権限がなく、正当防衛での発砲ですら、「隊員の自己判断」とさせるなんて、政治が隊員個人に責任をなすりつけている以外の何者でもない。

人質戦隊サンバカーンが、誰も頼んでないのに勝手にイラク入りして拘束されたとき。日本どころか世界中に迷惑をかけていることを恥じるどころか、「自衛隊はイラクから撤退するべきだ」と信じられないことを家族が言っていた。そんなとき、当のイラクでは「自衛隊は帰らないで」というデモがあったことが書かれている。

隣人が撃たれても守ることができない自衛隊。最前線でそんな制約を付けられたら、いったいどんな苦労をする羽目になるのか。社民党とかの脳にウジが湧いてる連中は、考えたことがあるのかね。



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2010年9月10日金曜日

071 / 351 小泉官邸秘録

10点満点で、7点。
読書時間(普通に読んだ)・・・2時間半程度

稀代の名宰相・小泉純一郎に使えた筆頭秘書、飯島勲氏の回顧録。
小泉総理が何を考え、何を重視し、何を優先して物事を進めていったのか、よくわかる。

小泉総理の抵抗勢力としては、ほぼ自民党内部しか出てこない。それだけ自民党内部の抵抗が大きかったと言うことなのだろうが、野党の存在感も軽薄だったと言うことだろう。確かにこの時期、野党はただの反対勢力であり、政策について議論する相手ではなかった。

格差の拡大など、小泉政権に対する評価は、賛否両論ある。
しかし、今に至るその前後の政権を見ると、小泉政権下の日本は幸せだった。特に9.11を挟んだ時期が、決断力に富んだ宰相を持っていて、本当によかった。
もしあのとき民主党政権だったらと思うと、ぞっとするね。



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2010年9月4日土曜日

070 / 350 政治のニュースが面白いほどわかる本

10点満点で、7点。
読書時間(普通に読んだ)・・・1時間半程度

もう10年前、小泉政権が発足する前の本だから、内容が古いのは仕方ないか。
当時購入したものの、典型的な積ん読になり、今頃ようやく手に取った。

内容は確かに初心者向けで、ややレベルは低いか。それでも、基本となることから丁寧に解説してあり、本当によくわかる。政党の違い、選挙の仕組み、公共事業、銀行がつぶせない理由、日米安保など。わかりやすいだけに、本書だけでわかった気になってしまうところがやや恐ろしいが、興味を持てば自分で調べればよい。

逆に言うと、本書程度の知識を持っていなければ、政治について語るのはやや不足。基本的なことくらいは抑えていなければ、何か主張しても、一顧だにされないだろう。もっと勉強しなければ、と自省。

ちなみに本書はどういうわけか、改行がやたら多く、また単語の区切りで改行していたりして、文字数はとても少ない。その上図も多く、読書経験に乏しい人が基礎知識ゼロでじっくり読んでも、3~4時間あればお釣りが来るだろう。読書経験がそれなりにあり、政治に関する基礎知識もいくらかあれば、1時間かからないかも知れない。



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069 / 349 武士は禿げると隠居する

10点満点で、6点。
読書時間(普通に読んだ)・・・1時間程度

著者は確か、「世界一受けたい授業」とかに出てる人じゃなかったかな。よく知らないけど。
とはいえ知名度で買った本ではなく、タイトルに興味をひかれたから。ブックオフで100円だったし。と、開いてみたらサイン本。サインしてもこの価値なのか、ブックオフだとサイン本はこの扱いなのか。

さて本書は、後書きにも触れられているとおり、出典が不明で論文には使えない情報を集めた本。いわゆる雑学本だね。情報の信憑性に乏しいので、鵜呑みにすることなく、へーへーと言いながら読むべき本。雑学本はどれもそうか。読む人はわかってるよね。

内容は、意外に面白くなかった。文体のせいか、取り上げたテーマのせいか。話が膨らまず、もうちょっと深く突っ込んでくれると面白いのに!と思うこと複数回。

ま、雑学本ならこんなもんか。



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