2010年9月12日日曜日

072 / 352 イラク自衛隊「戦闘記」

10点満点で、7点。
読書時間(普通に読んだ)・・・2時間程度

イラク戦争後の復興に乗り込んだ自衛隊の先遣隊長、「ヒゲの隊長」佐藤正久氏の著書。現参院議員で、防衛にあまりに無知な北澤防衛省を叱り飛ばしたこともあるから、ご存じの向きも多いだろう。

「戦闘記」とあるが、銃弾を撃っての戦闘ではない。むしろ小泉総理(当時)が帰国した自衛隊に向かって「誇りに思う」と言ったように、自衛隊は一発の銃弾も撃たなかった。ではどんな戦闘かというと、現地の部族と、他国の軍隊と、日本の政府と、日本のマスコミとの、武器を使わない戦闘。現地に溶け込むための苦労、武力行使できない自衛隊を理解してもらうための苦労、手足を縛って送り出した日本と現地の違いによる苦労・・・

自衛隊とは本当に、世界最高レベルの存在でないといけない制限があるのだなあ。何せ撃たれても撃ち返してはいけない、一発も撃たれないようにする以外身を守る方法がないのだから。指揮官に発砲を許可する権限がなく、正当防衛での発砲ですら、「隊員の自己判断」とさせるなんて、政治が隊員個人に責任をなすりつけている以外の何者でもない。

人質戦隊サンバカーンが、誰も頼んでないのに勝手にイラク入りして拘束されたとき。日本どころか世界中に迷惑をかけていることを恥じるどころか、「自衛隊はイラクから撤退するべきだ」と信じられないことを家族が言っていた。そんなとき、当のイラクでは「自衛隊は帰らないで」というデモがあったことが書かれている。

隣人が撃たれても守ることができない自衛隊。最前線でそんな制約を付けられたら、いったいどんな苦労をする羽目になるのか。社民党とかの脳にウジが湧いてる連中は、考えたことがあるのかね。



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