2010年10月25日月曜日

083 / 363 ボナンザVS勝負脳

10点満点で、7点。
読書時間・・・2時間半程度

つい先日、清水市代女流王将を下して話題になった合議制コンピュータ将棋「あから2010」の一部として機能した、ボナンザについて。2005年に颯爽とデビューして、コンピュータ将棋選手権で初出場初優勝の快挙を成し遂げた、ボナンザ。どういうアプローチで作っていったのか、作者が語っている。そしてさらに、そのボナンザと公開対局をして勝利した、渡辺明竜王が、ボナンザについて語っている。なんと豪華な。

作者は、将棋について詳しくないため、「どうすれば強い将棋プログラムを作ることができるのか」わからなかったという。そこで作者が取ったアプローチは、自らの専門分野をベースに、プログラム自らに「どう指せば強くなるのか」を考えさせる、というもの。そのせいか、ボナンザは他のプログラムではまず出てこない、人間臭い差し手をするのだという。

渡辺竜王はしかし、それでもボナンザには「コンピュータなり」の弱点があり、恐らく人間が負けることはないであろうと語っている。コンピュータには、計算で指し手を選ぶことしかできず、漠然とした「大局観」を持てないことが限界であろう、と。

渡辺竜王は、同時にボナンザの強さも認めている。対局中に「なんかこいつ、強すぎるな」と感じ、また10番勝負などでは全勝は難しいとも語っている。2007年3月に対局した時点でこの強さ。それから3年を過ぎ、その上複数プログラムの合議制で動いた「あから2010」は、女流王将を下したのも自然の流れなのかも知れない。

「羽生さんは恐らく、人類が到達しうる最高の将棋を指している」と語った渡辺竜王。
清水女流王将を破ったボナンザが、安定して勝ち越せるようになり、トップ棋士に挑む日が来るのはいつだろうか。


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