2009年12月12日土曜日

228 / 272 孤塁の名人

10点満点で、9点。

読書時間(普通に読んだ)・・・2時間程度

史上最強の達人とも言われる、大東流合気柔術の佐川幸義先生について書かれた本。
著者の津本陽は、自身が剣道や抜刀術の高段者であるが故か、かえって佐川先生の凄さを率直に伝えている。

本書を読むと、人間はここまで強くなれるのかと感動するが、反面その道のりの遠さには絶望を感じてしまう。
他の武道、格闘技の実力者が佐川先生に入門しても、多くはその頂の高さに諦めて身を引いてしまった、と言うのもむべなるかな。

佐川先生は17歳の頃に合気を会得し、70歳で新たな境地に達したという。
その佐川先生の弟子たちは、何十年と教わりながらも、ついに先生の存命中は誰一人合気を会得したと認められなかったというのは、ひたすら惜しいと思う。佐川先生は、技を誤解されることを嫌って、自分の動きを映像には撮らせなかったらしいから、真の合気はどういうものか、目にする機会は永久に失われてしまったのだろうか。

90歳を超え、一人では階段も上れない体でありながら、道場では弟子たちが本気で打ちかかっても誰一人かなわないどころか、その頂に近づくことすらできなかったという。
一度でいいから、佐川先生の凄さを間近で見てみたかった。



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