2010年4月12日月曜日

042 / 322 格闘家に告ぐ!実戦格闘議論

10点満点で、6点。

読書時間(普通に読んだ)・・・3時間程度

なかなか面白いことを書いているとは思うが、著者のスタンスが鼻について、どうもすんなり読めなかった。
著者は格闘技を「エンターテインメント格闘技」と「本来の格闘技」に分け、あれこれを「エンターテインメント格闘技」と分類している。その視点は、「競技者の視点」か「観客の視点」かで分けている・・・のかと思ったら、そうと言い切れるわけでもなく、どうも著者の好みで分けている感が否めない。

1999年と10年以上前の本なので、UWF系のプロレスとしてリングスとパンクラスが取り上げられているが、リングスについては悪意のある取り上げ方をされていて、前田信者の俺にはカチンと来るところが少なくない。
前田がヒクソンから「逃げた」と言い切り、その根拠を示さないことには、はっきりと頭に来る。

何より著者は、あれは駄目これは駄目といいながら、その根拠については「経験者ならわかる」とか「本気でやっている人間にはわかるはずだ」とか、「それについて語るのは本題ではないので書かない」とか、結局まともなことは書いていない。著者の思い込みでしかないと言っても、返す言葉はないのではないだろうか。根拠がないのだから。

第一著者は、「経験者ならわかる」とか「ある程度のレベルならわかる」とかしきりに書いているが、自身については「道場の末席を汚す程度」とも書いている。極真の黒帯を持っているなら、確かに素人と比べれば相当なものなのだろうが、「極真では末席でも、そこらの奴らから比べれば超人」とでも言いたいのか。

唯一根拠らしいことを書いていたのは、呼吸の仕方について。主にプロレスで、見てわかるほどの呼吸をしているが、息を吸うときは隙となるので、真剣勝負ならそんな隙は見せない、と。著者は柔道を本当の格闘技に分類しているようだが、オリンピックの舞台でも肩で息をする選手がいることは知らないのだろうか。それとも、オリンピックはエンターテインメント格闘技の場なのか。

本書でもっとも興味深く読めたのは、大山倍達死後の極真の分裂について触れた際の、三瓶啓二の人となり。
実録!!極真大乱」でも書かれていたが、著者は松井派のスタンスで書いている。松井派から見ても、遺族派から見ても、三瓶という人物は相当人間性に問題があるようだ。本当のところはどうなのだろう。



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