10点満点で、8点。
読書時間(普通に読んだ)・・・4時間程度
一代で極真会館を作り上げた空手界の、いや武道・格闘技界の巨人、大山倍達の死後に極真会館が分裂していく様子を、その内部にいた著者が詳述している。極真とは全く接点がなく、時折ニュースや雑誌などで見かける記事でしか知らなかった、極真の組織としての内情がよくわかる。
著者の分析によると、極真会館とは大山倍達の強権独裁組織であり、大山の存在がなければ分裂してしまうのは当然の結果に過ぎない。そして、大山本人はそのことを自覚しながら、放っておいたのではないかとしている。
著者は遺族派の一因として行動しており、松井派に対する筆致はやや厳しくはある。しかしなるべく客観的に書こうとしていることは十分に読み取れ、松井派の問題についてよくわかる。書かれていることは、恐らく事実なのだろう。
個人的には、極真が分裂していく様よりも、大山倍達という人物にスポットを当てた記述が興味深かった。弟子たちの存在が大きくなることに嫌悪を感じる、人間としての器が小さかったのではないかと書いている。大山茂・泰彦兄弟や芦原英幸など、なぜ破門されたのか俺にはさっぱりわからない弟子たちについて、著者は「大山の嫉妬」によるものとしている。そうなのかな。
第6章の「真実の大山倍達」には、大山倍達の修行過程、民族活動、山ごもりの真実、韓国の家族などについて触れている。「空手バカ一代」のイメージが強い俺としては、ずいぶん大山像が変わってしまったが、恐らく本書に書かれていることはほぼ正しいのだろう。
しかし、どこかで読んだ書き方だが、「後に一流一派を起こしうる、大きな弟子を何人も育て上げた」大山の実力と実績は、やはり偉大なのだろう。
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