10点満点で、8点。
読書時間(普通に読んだ)・・・3時間程度
17歳で母親を殺し、少年院を出て2年後には27歳と19歳の姉妹を凄惨に殺害する事件を起こした山地悠紀夫。逮捕後は「弁護士はいらない」といい、「死刑でいいです」と自暴自棄になり、しかし動機については最後まではっきりしなかった、謎の男。山地の心の闇に、少年時代から死刑執行まで、携わった人たちへのインタビューから迫っている。
酒乱の父親から暴力に晒され、しかし血を吐いたところを母親に見捨てられてからか、父親を「いい父だった」と振り返り、母親については「鬼のような人間」と吐き捨てる。精神分析に携わった医師からは、「母親を否定しないと、殺したことを正当化できないからでしょう」と分析されている。
少年院では模範囚(?)となり、しかし心の闇はのぞかせている。注意が必要であると認識されながら解放され、パチンコ店勤務からゴト師へ、そして姉妹殺害事件を起こす。
所々に挿入されるエピソード、医師の分析などから、「良心をもたない人たち」を思い出した。著者たちはアスペルガー症候群などの精神異常があったと分析している。もしかしたら、山地も良心をもたないのかも知れない。
自らを「生まれてくるべきではなかった」といい、「一日も早く死刑を執行して欲しい」という山地。しかし、「自殺したいが出来ないのではないか?」という問いには明快に違うと答える。
読みながら理解しようと思っていたが、最後まで理解できなかった。
本書にコメントを寄せている、元家裁調査官の「反省なき更生」が、本当に必要なのかも知れない。
山地に罪を認識させることは出来なかったかも知れないが、二度目の殺人は防ぐことが出来たのかも知れない。
そもそも反省することが出来ない人物には、再犯を防ぐ以上のことは出来ないのだろうから。
0 件のコメント:
コメントを投稿