10点満点で、8点。
この手の本で初めて、納得できる、すっと入ってくる説明を読んだ気がする。
どこまで本当かわからないけれど、定期預金しか知らないド素人が、専門家の話を聞きながら自分でトライしてみるという体裁の本。運用成績が出るまでの長期スパンでは書いていないが、基本的な考え方についてはしっかり解説があり、具体的な手順(口座開設方法など)は著者が実際にやってみてスクリーンショットを取る、という方法で掲載している。専門家も、考え方に重点を置いて開設しているので、自分が所属するのは楽天証券なのに、進めているのはSBI証券だったりする。
(所属もどこまでほんとうかわからないけど)
難しいことはわからないけれどお金を増やしたい、という人に「国債」と即答だったり、「銀行で買うべき商品は国債以外ない」と言い切ったり、賛否はあるだろうが明快なのがいい。
家はローンを組んでまで買うべきじゃない。もし組んでいるなら、繰り上げ返済が一番の運用。医療保険などいらぬ。結婚なんてバブル。論旨が明快で説得力があって、面白く読めた。早速SBI証券の口座を開設しようと思ったくらい。
投資といえばすぐに思い浮かぶ、株式投資を薦めていないのもいい。正確に言うと、個別銘柄ではなく投資信託を薦めているのだが。個別の銘柄を運用しているのは戦闘機パイロットで、車の免許でいいなんて思わないほうがいいとか。わかりやすい。
読み捨てようと思って買った本だけど、手元に置いておこう。
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2017年10月30日月曜日
2017年10月28日土曜日
011 / 444 子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!
10点満点で、7点。
林先生の本は他にも何冊か読んでいるけど、レビューは書いてない気がする。
だいたい書いてある内容は似たり寄ったりなので、何冊も読む必要はないかも。調べ物をしていて、出典を探しているので本書も手に取ったけど、目的は達成できなかった。
本書は子供の成長に焦点を当てて、脳をあるべき姿で成長させるために必要なことを語った本。他の本は大人の脳の使い方についてが主眼だが、本書は育児書のジャンルに入れていいかもしれない。脳が持つ機能と、その機能が何歳ごろ成長するのか、成長させるには何をすべきなのか、語られている。といっても、いわゆる教育書や能力開発ではないので、「頭が良くなる」とか、特定のジャンルについて才能を強化するような方向ではない。あくまで、脳が正しく成長していけば、我々はもっと能力を発揮できるのだ、という観点で書かれている。
「ほめて伸ばす」の正しい姿勢など、なかなか実現できず耳が痛いことも多い。
できれば、発達障害の子を持つ親の姿勢についても語ってくれないかなあ。
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林先生の本は他にも何冊か読んでいるけど、レビューは書いてない気がする。
だいたい書いてある内容は似たり寄ったりなので、何冊も読む必要はないかも。調べ物をしていて、出典を探しているので本書も手に取ったけど、目的は達成できなかった。
本書は子供の成長に焦点を当てて、脳をあるべき姿で成長させるために必要なことを語った本。他の本は大人の脳の使い方についてが主眼だが、本書は育児書のジャンルに入れていいかもしれない。脳が持つ機能と、その機能が何歳ごろ成長するのか、成長させるには何をすべきなのか、語られている。といっても、いわゆる教育書や能力開発ではないので、「頭が良くなる」とか、特定のジャンルについて才能を強化するような方向ではない。あくまで、脳が正しく成長していけば、我々はもっと能力を発揮できるのだ、という観点で書かれている。
「ほめて伸ばす」の正しい姿勢など、なかなか実現できず耳が痛いことも多い。
できれば、発達障害の子を持つ親の姿勢についても語ってくれないかなあ。
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2017年10月26日木曜日
010 / 443 安生洋二 200%の真実
10点満点で、6点。
UWFのその後を語る際に外せない、ヒクソン道場破り失敗、前田日明襲撃という2つの大事件を起こした安生洋二が自ら語る(事になっている、ゴーストライターがいるのかどうかは知らない)それぞれの裏側について。その他新弟子時代のこととか、新日本との対抗戦、ハッスルについて。
全編を通して「悪いのは宮戸、ボクは悪くない」というテイストが強い。でも確かに、宮戸について書かれていることはどの本を見てもだいたい同じ。前田がいつまでも新弟子呼ばわりしてて名前を呼ばなかったとか、フィクサーを気取って裏から色んな人を扇動したとか、だいたい当事者以外は同じことを語っている気がする。宮戸についてよく書いてるのは、自著くらいしか思いつかない。
安生は「前田のことをよく思ってはいなかったけど、恨みはなかった」「襲撃したのは周りに乗せられた」ようなことを書いているが、それでいて「もう関わり合いたくない」ってお前それは違うだろ。前田も悪いけど、後ろから襲撃したお前はもっと悪い。前田が一目置く人に仲介してもらって、きちんと謝罪した上で、その後は関係しないという態度をとるべきじゃないかなあ。
ヒクソンの道場破りについても、ヒクソン側からの視点とは随分違う。まあでも、完膚なきまでに叩きのめされたのは事実のようだし、自分からは積極的に語りたくないことだろうから、ある程度都合がいいように語るのは仕方ないのかな。
これだけ読んできたら、次は船木について語られた本とかが読んでみたいな。
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UWFのその後を語る際に外せない、ヒクソン道場破り失敗、前田日明襲撃という2つの大事件を起こした安生洋二が自ら語る(事になっている、ゴーストライターがいるのかどうかは知らない)それぞれの裏側について。その他新弟子時代のこととか、新日本との対抗戦、ハッスルについて。
全編を通して「悪いのは宮戸、ボクは悪くない」というテイストが強い。でも確かに、宮戸について書かれていることはどの本を見てもだいたい同じ。前田がいつまでも新弟子呼ばわりしてて名前を呼ばなかったとか、フィクサーを気取って裏から色んな人を扇動したとか、だいたい当事者以外は同じことを語っている気がする。宮戸についてよく書いてるのは、自著くらいしか思いつかない。
安生は「前田のことをよく思ってはいなかったけど、恨みはなかった」「襲撃したのは周りに乗せられた」ようなことを書いているが、それでいて「もう関わり合いたくない」ってお前それは違うだろ。前田も悪いけど、後ろから襲撃したお前はもっと悪い。前田が一目置く人に仲介してもらって、きちんと謝罪した上で、その後は関係しないという態度をとるべきじゃないかなあ。
ヒクソンの道場破りについても、ヒクソン側からの視点とは随分違う。まあでも、完膚なきまでに叩きのめされたのは事実のようだし、自分からは積極的に語りたくないことだろうから、ある程度都合がいいように語るのは仕方ないのかな。
これだけ読んできたら、次は船木について語られた本とかが読んでみたいな。
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2017年10月22日日曜日
009 / 442 証言UWF
10点満点で、7点。
UWFシリーズもこれで一段落かな。1984年のUWFへの前田日明の反論、と書いてあるけれど、時系列的にそうではないらしい。
単に、偶然(なのか狙ったのかは知らないけど)近い時期に出版されて、内容がそう言えるものだったのでそう称しているようだ。
1984年のUWFは、関係者への取材、雑誌や書籍の積み重ねから、当時何があったのかを推測している本。推測というのは、何かを取り上げる時(例えば前田対ゴルドーの真実とか)、両方の当事者から話を聞くことなく、一方の証言とそれを補強する資料の紹介という形を取っているので、客観的な事実と言うにはちょっと弱い。
それが本書になると、それぞれの当事者のインタビューで構成されていて、逆に一つの話題や事件を色んな角度から取り上げる、というわけでもない。あくまで一方の目から見た真実を、多少の編集と誘導はあるだろうが、そのまま書いている。
鈴木みのるのインタビューに登場するこんな言葉が、実態を一番良く表現しているのではないだろうか。
ただ、プロレスが死んだ日。と3冊読んで共通していたのは、
・佐山は天才だと誰もが認めている。天才すぎて周りがついてこれなかったとも。
・第一次UWFが苦しかった頃、誰よりも前田が、みんなが飯が食えるように考えて頑張ったことも、みんなが認めている。
・でも、前田はプロレスがうまいとか、ガチが強いといったことを言っている人は、見当たらない。少なくとも読後感には残らなかった。
・第二次UWFでは、上三人(前田、高田、山崎)と下の選手には壁があったが、それでも高田は認められていた。
(でもこれらは、前田から離れていった人たちのコメントばかりが載っているのだから仕方ないと思う)
前田自身は1984年のUWFを読んで激怒したようだが、反論をしっかり本にまとめるとか。それはそれで楽しみ。
とりあえず、リングスで長井が「俺はプロレスラーだ」と宣言したことに前田が激怒して、退団にまで至るトラブルになってしまった理由はわかった気がする。。。
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UWFシリーズもこれで一段落かな。1984年のUWFへの前田日明の反論、と書いてあるけれど、時系列的にそうではないらしい。
単に、偶然(なのか狙ったのかは知らないけど)近い時期に出版されて、内容がそう言えるものだったのでそう称しているようだ。
1984年のUWFは、関係者への取材、雑誌や書籍の積み重ねから、当時何があったのかを推測している本。推測というのは、何かを取り上げる時(例えば前田対ゴルドーの真実とか)、両方の当事者から話を聞くことなく、一方の証言とそれを補強する資料の紹介という形を取っているので、客観的な事実と言うにはちょっと弱い。
それが本書になると、それぞれの当事者のインタビューで構成されていて、逆に一つの話題や事件を色んな角度から取り上げる、というわけでもない。あくまで一方の目から見た真実を、多少の編集と誘導はあるだろうが、そのまま書いている。
鈴木みのるのインタビューに登場するこんな言葉が、実態を一番良く表現しているのではないだろうか。
さらに、文章で仕事をしてる人たちがいろんな話を聞いて、それをまとめるからおかしくなっちゃうんです。(それを読んだ選手たちが)思いを裏切られたという気持ちになり、さらに複雑になっていったんじゃないんですか。本来、まとめちゃいけない話。それぞれの人間にそれぞれの葛藤があったわけで。一つの出来事に対して、見る角度が違えば受け取り方はバラバラになる。
ただ、プロレスが死んだ日。と3冊読んで共通していたのは、
・佐山は天才だと誰もが認めている。天才すぎて周りがついてこれなかったとも。
・第一次UWFが苦しかった頃、誰よりも前田が、みんなが飯が食えるように考えて頑張ったことも、みんなが認めている。
・でも、前田はプロレスがうまいとか、ガチが強いといったことを言っている人は、見当たらない。少なくとも読後感には残らなかった。
・第二次UWFでは、上三人(前田、高田、山崎)と下の選手には壁があったが、それでも高田は認められていた。
(でもこれらは、前田から離れていった人たちのコメントばかりが載っているのだから仕方ないと思う)
前田自身は1984年のUWFを読んで激怒したようだが、反論をしっかり本にまとめるとか。それはそれで楽しみ。
とりあえず、リングスで長井が「俺はプロレスラーだ」と宣言したことに前田が激怒して、退団にまで至るトラブルになってしまった理由はわかった気がする。。。
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2017年10月18日水曜日
008 / 441 1984年のUWF
10点満点で、7点。
UWFの旗揚げから崩壊、新日本プロレスへの出戻りを経て第二次UWF、その崩壊とその後について、舞台裏を追いかけた本。俺はタイガーマスクに憧れてプロレスを見て、タイガーマスクがテレビから消えると同時に見なくなり、その後はUインターの高田対ベイダーを見るまでプロレスから遠ざかっていたから、ちょうど知らなかった世界。いろんな記事や本で断片的には知っているけど、全体の流れをきれいには把握していなかった。
今まで見聞きした情報は、その殆どがレスラーの発言だったので、裏方から見た実情とは随分違うことが読み取れる。もちろん、当時をリアルタイムでは知らないし、知っていても本当のことはわからないのだから、本書に書いてあることが全て真実かどうかはわからないけれど、丁寧な取材からはかなり真実に近づいているだろうと想像できる。
本書を読んだあとでも前田信者の俺には、悲しいことが多々書いてある。
・猪木が悪い。アントンハイセルさえなければ、どれだけの人が幸せだったか。
・佐山は10年早すぎた。天才すぎて周りがついてこれない。
・佐山の集客力に頼りつつ、その思想は良しとしないジレンマ。
・どうやら前田は、選手からは先輩、後輩とも評価されていない。レスラーからも、格闘家からも。
・プロレスからは「相手に怪我をさせる下手くそ」、格闘家からは「ガチやってないくせに口をだすな」
・思っていた以上に、高田の評価は高い。強さもさることながら、練習量で尊敬を集めていたらしい。
・藤原は20年早かったか。全盛期に格闘技ブームが来ていれば、関節技の達人として人気が出たろうに。
・選手はもっと、フロントの苦労をわかってやるべきだなあ。
・そしてやっぱり、プロレスと格闘技の境界という話題になると、やはり象徴として中井対ゴルドーの話題が出るのね。
・前田の体は、確かにリングスの頃は酷かった。
・でもリングスは、本物の外国人選手を連れてきていたから面白かった。ハン対ナイマンとか。
・個人的には、リングスなら外国人選手だけの大会があっても見に行ったなあ。むしろ見たかった。
・安生がヒクソンの道場破りをして返り討ちにあった事件、一度でいいから映像を見てみたいなあ。
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UWFの旗揚げから崩壊、新日本プロレスへの出戻りを経て第二次UWF、その崩壊とその後について、舞台裏を追いかけた本。俺はタイガーマスクに憧れてプロレスを見て、タイガーマスクがテレビから消えると同時に見なくなり、その後はUインターの高田対ベイダーを見るまでプロレスから遠ざかっていたから、ちょうど知らなかった世界。いろんな記事や本で断片的には知っているけど、全体の流れをきれいには把握していなかった。
今まで見聞きした情報は、その殆どがレスラーの発言だったので、裏方から見た実情とは随分違うことが読み取れる。もちろん、当時をリアルタイムでは知らないし、知っていても本当のことはわからないのだから、本書に書いてあることが全て真実かどうかはわからないけれど、丁寧な取材からはかなり真実に近づいているだろうと想像できる。
本書を読んだあとでも前田信者の俺には、悲しいことが多々書いてある。
・猪木が悪い。アントンハイセルさえなければ、どれだけの人が幸せだったか。
・佐山は10年早すぎた。天才すぎて周りがついてこれない。
・佐山の集客力に頼りつつ、その思想は良しとしないジレンマ。
・どうやら前田は、選手からは先輩、後輩とも評価されていない。レスラーからも、格闘家からも。
・プロレスからは「相手に怪我をさせる下手くそ」、格闘家からは「ガチやってないくせに口をだすな」
・思っていた以上に、高田の評価は高い。強さもさることながら、練習量で尊敬を集めていたらしい。
・藤原は20年早かったか。全盛期に格闘技ブームが来ていれば、関節技の達人として人気が出たろうに。
・選手はもっと、フロントの苦労をわかってやるべきだなあ。
・そしてやっぱり、プロレスと格闘技の境界という話題になると、やはり象徴として中井対ゴルドーの話題が出るのね。
・前田の体は、確かにリングスの頃は酷かった。
・でもリングスは、本物の外国人選手を連れてきていたから面白かった。ハン対ナイマンとか。
・個人的には、リングスなら外国人選手だけの大会があっても見に行ったなあ。むしろ見たかった。
・安生がヒクソンの道場破りをして返り討ちにあった事件、一度でいいから映像を見てみたいなあ。
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2017年10月15日日曜日
007 / 440 合気道一路
二代目道主、吉祥丸先生の著書。
戦後合気道群雄伝に書いてあることを、吉祥丸先生の立場から書いたような本。むしろ、本書の記載を第三者が書いたものが戦後合気道群雄伝といったほうがいいのかも。
実子だから言える開祖の素顔、みたいな記載もちょっと期待はしたけれど、弟子にも子にも厳しかった人のようだ。いくらか「我が子だから目をつぶる」箇所はあったようだが、それでも普通の親子関係よりは遥かに厳しいと思う。開祖のエピソードはそれなりに書かれているけれど、弟子がどうやって開祖の技を身につけていったのか、そのあたりも書いてあると嬉しかったなあ。開祖は、というよりもこの頃の武道家はほとんど、教えないタイプの人だったようだし、合気道の技は教わらずに習得するのは相当難しいと思う。習得した人からすると、「教わろうと思うから身につかないんだ」と言うのかもしれないけれど。
しかしどの本、誰の言を見ても、開祖は弟子の技術をあまり認めていなかった気がする。もちろん自分の技をすべて習得した弟子がいるとは考えていなかったのだろうけれど、合気道初の一般公開と言える高島屋の演武でも、吉祥丸先生を含む人々に「わしの技が誤解されるくらいなら自分でやる」と激しく怒ったそうだし。合気会から道を別れた、養神館、昭道館、氣の研究会その他を含むあらゆる傍系を含む孫弟子たちの技を見て、開祖が「正しく伝わっている」と評価する人ってどれくらいいるのだろうか。
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戦後合気道群雄伝に書いてあることを、吉祥丸先生の立場から書いたような本。むしろ、本書の記載を第三者が書いたものが戦後合気道群雄伝といったほうがいいのかも。
実子だから言える開祖の素顔、みたいな記載もちょっと期待はしたけれど、弟子にも子にも厳しかった人のようだ。いくらか「我が子だから目をつぶる」箇所はあったようだが、それでも普通の親子関係よりは遥かに厳しいと思う。開祖のエピソードはそれなりに書かれているけれど、弟子がどうやって開祖の技を身につけていったのか、そのあたりも書いてあると嬉しかったなあ。開祖は、というよりもこの頃の武道家はほとんど、教えないタイプの人だったようだし、合気道の技は教わらずに習得するのは相当難しいと思う。習得した人からすると、「教わろうと思うから身につかないんだ」と言うのかもしれないけれど。
しかしどの本、誰の言を見ても、開祖は弟子の技術をあまり認めていなかった気がする。もちろん自分の技をすべて習得した弟子がいるとは考えていなかったのだろうけれど、合気道初の一般公開と言える高島屋の演武でも、吉祥丸先生を含む人々に「わしの技が誤解されるくらいなら自分でやる」と激しく怒ったそうだし。合気会から道を別れた、養神館、昭道館、氣の研究会その他を含むあらゆる傍系を含む孫弟子たちの技を見て、開祖が「正しく伝わっている」と評価する人ってどれくらいいるのだろうか。
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2017年10月10日火曜日
006 / 439 プロレスが死んだ日。
10点満点で、7点。
プロレスが好きだった。最強に最も近い格闘技だと思っていた。
もちろん、ロープに振った相手が戻ってくるとか、関節技が決まっても自分から離すとか、そういう胡散臭さはわかった上で。漫画「1・2の三四郎」に登場する名台詞、「プロレスにディフェンスはねえんだ」のとおり、また猪木の「相手の10の力を引き出して、12の力で勝つ」ために、相手の技を受けきって見せて、それでも俺のほうが強いのだとアピールする、そんなことができる格闘技なんて最強に決まっているだろう、と思っていた。
(どうでもいいけど、「1・2の三四郎」は至高のプロレス漫画だと思う。トレーニングのシーンなど、プロレスに対するリスペクトにあふれている)
とはいえ熱心なプロレスファンというわけではなく、少年時代にタイガーマスクに憧れ、タイガーマスクがテレビから消えてからはプロレスを見なくなっていた。学生時代、偶然テレビでやっていたUインターの高田対ベイダーを見て、「こんなプロレスもあるのか」と驚いていたら、プロレス好きの友人が「アレはU系と言って、他にも団体があるんだ」とリングスを教えてくれた。WOWOWの放送を録画したビデオを借りて虜になり、これこそ本物だ、最強の格闘技が何かはわからないが、最強の男はリングスで決まるだろう、と本気で思っていた。
就職して首都圏に出てきて、リングスの会場にも足を運べるようになって満喫していたときに発生した、1997年10月11日の大事件。ヒクソン・グレイシー対高田延彦について、その舞台裏を知っていた著者が書き下ろした本。「いまだから明かせる真実」とあるが、たしかに当時は書けなかっただろうことが書いてある。プロレスはフェイクである、という一点だけだが。
1993年のUFCで彗星のごとくホイスが登場して、格闘技界がその話題で持ちきりだったことはかすかに知っている。テレビ番組(確か「世界まる見え」だったはず)でダイジェストが放送されて、ゴルドーが相手を容赦なく血だるまにするシーンと、体格で遥かに劣るホイスがゴルドーを完封するシーンが出ていた。そこで初めて「グレイシー柔術」なるものを知ったので、その後「コータローまかり通る」でグレイシー柔術が登場した時、「知っとるがな」と思った記憶があるが、まあどうでもいい。
俺がリングスを知ったときは、既にVTJ94で山本がヒクソンに負けたあと。だが当時山本はまだ期待の若手という域を出ていなかったし(最後まで出られなかった気もする)、少なくともリングスのトップではなかったから、ヒクソンがどれだけ強いのかは未知数だった。でも高田は、U系の一方の雄、Uインターのエース。まあ当時既に、新日本のリングで武藤に足四の字で破れ、ファンの罵声を一身に浴びて、インターが解散しキングダムになっていた頃だけど。
それでも、高田があっさり負けるとは思っていなかった。高田は強いと思っていた。入場時点ですでにヒクソンに飲まれていた男は、プロレスの誇りをかけて折れてもタップしないかと思ったら、腕ひしぎが決まったと同時にタップした。
本書を読むと、この結果は必然であったろうという結論になってしまう。フェイクの世界に生きてきた高田と、リアルの世界で生きてきたヒクソンの違い。初戦は高田のコンディション、精神状態が明らかに悪かったが、2戦目でも同じ形であっさり負けてしまったことから、両者には埋めがたい差があったのだろうことは容易に想像できる。
本書はヒクソンが取ってきた言動について、エピソードと言うには少し詳しく語っている。気高い精神性を持っていて、日本人に通じるところがあると思う。もちろん、日本人の感覚からは、それは違うんじゃないかと思うところもあるが、それは文化の違いだろう。
ヒクソンが当時よく言っていた「私はプロモーターが決めた相手となら誰でも闘う」という発言。逃げているだけじゃないかと思っていた。「前田でも誰でもいい、プロモーターが決めた相手と闘う」と言うなら、プロモーターに「前田と闘いたい」と言えば決まりじゃないか。そう思っていた。
しかしヒクソンは、この時既に挑戦を「受ける」側にいたので、自分から闘いたいと思う相手はいなかったのだろう。VTJを2連覇し、東京ドームという大舞台で(少なからぬプロレスファンから)最強の一角と目されていた高田を一蹴することで、実力を示すことも出来たし知名度を上げることも出来た。こうなってしまったら、ヒクソンの目から見て「強い」と感じない相手と闘う必然性は、なくなってしまっていたのだろう。
具体的な金額や詳細は書かれていないが、PRIDEがヒクソンと高田を戦わせるために、破格のファイトマネーを支払ってしまったことも書いてある。ビッグマッチを実現するためだったのだろうが、これにより事実上、知名度と潤沢な資金を持たない選手、団体はヒクソンと戦えなくなってしまった。ワンデイトーナメントにも出ていたヒクソンが、高田のあとは船木としか戦っていない(船木は東京ドームでメインイベントを張れる知名度だ)ことが残念で仕方ない。相手は日本人でなくとも、世界のトップ選手と戦っているところを見たかった。ヒクソン対ハンとか、妄想するだけで何時間でも経ってしまう。
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プロレスが好きだった。最強に最も近い格闘技だと思っていた。
もちろん、ロープに振った相手が戻ってくるとか、関節技が決まっても自分から離すとか、そういう胡散臭さはわかった上で。漫画「1・2の三四郎」に登場する名台詞、「プロレスにディフェンスはねえんだ」のとおり、また猪木の「相手の10の力を引き出して、12の力で勝つ」ために、相手の技を受けきって見せて、それでも俺のほうが強いのだとアピールする、そんなことができる格闘技なんて最強に決まっているだろう、と思っていた。
(どうでもいいけど、「1・2の三四郎」は至高のプロレス漫画だと思う。トレーニングのシーンなど、プロレスに対するリスペクトにあふれている)
とはいえ熱心なプロレスファンというわけではなく、少年時代にタイガーマスクに憧れ、タイガーマスクがテレビから消えてからはプロレスを見なくなっていた。学生時代、偶然テレビでやっていたUインターの高田対ベイダーを見て、「こんなプロレスもあるのか」と驚いていたら、プロレス好きの友人が「アレはU系と言って、他にも団体があるんだ」とリングスを教えてくれた。WOWOWの放送を録画したビデオを借りて虜になり、これこそ本物だ、最強の格闘技が何かはわからないが、最強の男はリングスで決まるだろう、と本気で思っていた。
就職して首都圏に出てきて、リングスの会場にも足を運べるようになって満喫していたときに発生した、1997年10月11日の大事件。ヒクソン・グレイシー対高田延彦について、その舞台裏を知っていた著者が書き下ろした本。「いまだから明かせる真実」とあるが、たしかに当時は書けなかっただろうことが書いてある。プロレスはフェイクである、という一点だけだが。
1993年のUFCで彗星のごとくホイスが登場して、格闘技界がその話題で持ちきりだったことはかすかに知っている。テレビ番組(確か「世界まる見え」だったはず)でダイジェストが放送されて、ゴルドーが相手を容赦なく血だるまにするシーンと、体格で遥かに劣るホイスがゴルドーを完封するシーンが出ていた。そこで初めて「グレイシー柔術」なるものを知ったので、その後「コータローまかり通る」でグレイシー柔術が登場した時、「知っとるがな」と思った記憶があるが、まあどうでもいい。
俺がリングスを知ったときは、既にVTJ94で山本がヒクソンに負けたあと。だが当時山本はまだ期待の若手という域を出ていなかったし(最後まで出られなかった気もする)、少なくともリングスのトップではなかったから、ヒクソンがどれだけ強いのかは未知数だった。でも高田は、U系の一方の雄、Uインターのエース。まあ当時既に、新日本のリングで武藤に足四の字で破れ、ファンの罵声を一身に浴びて、インターが解散しキングダムになっていた頃だけど。
それでも、高田があっさり負けるとは思っていなかった。高田は強いと思っていた。入場時点ですでにヒクソンに飲まれていた男は、プロレスの誇りをかけて折れてもタップしないかと思ったら、腕ひしぎが決まったと同時にタップした。
本書を読むと、この結果は必然であったろうという結論になってしまう。フェイクの世界に生きてきた高田と、リアルの世界で生きてきたヒクソンの違い。初戦は高田のコンディション、精神状態が明らかに悪かったが、2戦目でも同じ形であっさり負けてしまったことから、両者には埋めがたい差があったのだろうことは容易に想像できる。
本書はヒクソンが取ってきた言動について、エピソードと言うには少し詳しく語っている。気高い精神性を持っていて、日本人に通じるところがあると思う。もちろん、日本人の感覚からは、それは違うんじゃないかと思うところもあるが、それは文化の違いだろう。
ヒクソンが当時よく言っていた「私はプロモーターが決めた相手となら誰でも闘う」という発言。逃げているだけじゃないかと思っていた。「前田でも誰でもいい、プロモーターが決めた相手と闘う」と言うなら、プロモーターに「前田と闘いたい」と言えば決まりじゃないか。そう思っていた。
しかしヒクソンは、この時既に挑戦を「受ける」側にいたので、自分から闘いたいと思う相手はいなかったのだろう。VTJを2連覇し、東京ドームという大舞台で(少なからぬプロレスファンから)最強の一角と目されていた高田を一蹴することで、実力を示すことも出来たし知名度を上げることも出来た。こうなってしまったら、ヒクソンの目から見て「強い」と感じない相手と闘う必然性は、なくなってしまっていたのだろう。
具体的な金額や詳細は書かれていないが、PRIDEがヒクソンと高田を戦わせるために、破格のファイトマネーを支払ってしまったことも書いてある。ビッグマッチを実現するためだったのだろうが、これにより事実上、知名度と潤沢な資金を持たない選手、団体はヒクソンと戦えなくなってしまった。ワンデイトーナメントにも出ていたヒクソンが、高田のあとは船木としか戦っていない(船木は東京ドームでメインイベントを張れる知名度だ)ことが残念で仕方ない。相手は日本人でなくとも、世界のトップ選手と戦っているところを見たかった。ヒクソン対ハンとか、妄想するだけで何時間でも経ってしまう。
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2017年10月8日日曜日
005 / 438 武道vs.物理学
10点満点で、3点。
著者は物理学者にして大東流佐川門下の黒帯。その知見から、武術や格闘技の技について、物理的に考察した本のように思えるのだが・・・
俺の目が曇っているのだろうか。取るに足らぬ内容と、エセ科学しか書いてない気がする。
最初は柔道の崩しについて、三船十段の隅落とし(空気投げ)について書かれている。手首の僅かなひねりだけで投げてしまうという神業について、「物理学的には合理的な技」としているが、それを実現している方法は「筋肉を動かしている電流をコントロールし、随意運動を奪っている」って、その方法がわからなければ意味ないだろう。
ついでにいうと、不随意運動とは「生活習慣や訓練によって、無意識で動くようになった動作」と書いてあるが、不随意運動って心臓の鼓動とか、そういうやつじゃなかったか。
次は空手の技について、「飛び蹴りは本当に効くのか」を検証している。
実に40ページ近く使って書かれているが、2ページもあれば終わるんじゃないか。「飛び蹴りは、攻撃者の体重が全部乗るので、速度から思うよりも威力は大きい」と書けばそれで終わりだ。ついでにいうと、作用反作用の法則についても触れながら、地上での突き蹴りは技術(踏ん張り方など)によって、「相手の体重も」威力として計算できることについては意図的なのかそうでないのか、全く触れていない。突きの威力については、拳の重量しか考慮していないとか、何じゃそりゃ。
その次は総合格闘技のマウントポジションについて、その返し方を物理学的に考察。ある程度話が進んだところで、突然「武道の究極奥義」なるものが登場して、ほとんど体を動かすことなく返すことができるとある。その究極奥義の正体を解き明かさなければ、本書の意味は無いんじゃないの。
その奥義を身につけたのも、佐川幸義先生の高弟、木村達雄氏に合気をかけられて、突然開眼したとか。挙句、「触れなくても合気はかかる、これは電磁場が云々」とかある。
著者は本当に科学者なんだろうか。「物理学者である私の目から見ても不思議だがよくわからない」とか書いてある方が、よっぽど信用できる。
木村達雄氏、それから本書の著者である保江邦夫氏については、様々なところで他の武道や格闘技を貶める発言をして、色々物議をかもしたことがあるらしい。
実際に武道家としてはどうなのか、それは見たことがないし、直接知っている人の評伝なども見たことがないので、俺には判断がつかない。しかし、本書のような発言をしていたら、「合気とは胡散臭いもの」という印象を強くするだけのような気がする。
ちなみに本書に登場する物理学は、高校物理が不可だった俺でもわかるレベルなので、その意味では読者は選ばない。
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著者は物理学者にして大東流佐川門下の黒帯。その知見から、武術や格闘技の技について、物理的に考察した本のように思えるのだが・・・
俺の目が曇っているのだろうか。取るに足らぬ内容と、エセ科学しか書いてない気がする。
最初は柔道の崩しについて、三船十段の隅落とし(空気投げ)について書かれている。手首の僅かなひねりだけで投げてしまうという神業について、「物理学的には合理的な技」としているが、それを実現している方法は「筋肉を動かしている電流をコントロールし、随意運動を奪っている」って、その方法がわからなければ意味ないだろう。
ついでにいうと、不随意運動とは「生活習慣や訓練によって、無意識で動くようになった動作」と書いてあるが、不随意運動って心臓の鼓動とか、そういうやつじゃなかったか。
次は空手の技について、「飛び蹴りは本当に効くのか」を検証している。
実に40ページ近く使って書かれているが、2ページもあれば終わるんじゃないか。「飛び蹴りは、攻撃者の体重が全部乗るので、速度から思うよりも威力は大きい」と書けばそれで終わりだ。ついでにいうと、作用反作用の法則についても触れながら、地上での突き蹴りは技術(踏ん張り方など)によって、「相手の体重も」威力として計算できることについては意図的なのかそうでないのか、全く触れていない。突きの威力については、拳の重量しか考慮していないとか、何じゃそりゃ。
その次は総合格闘技のマウントポジションについて、その返し方を物理学的に考察。ある程度話が進んだところで、突然「武道の究極奥義」なるものが登場して、ほとんど体を動かすことなく返すことができるとある。その究極奥義の正体を解き明かさなければ、本書の意味は無いんじゃないの。
その奥義を身につけたのも、佐川幸義先生の高弟、木村達雄氏に合気をかけられて、突然開眼したとか。挙句、「触れなくても合気はかかる、これは電磁場が云々」とかある。
著者は本当に科学者なんだろうか。「物理学者である私の目から見ても不思議だがよくわからない」とか書いてある方が、よっぽど信用できる。
木村達雄氏、それから本書の著者である保江邦夫氏については、様々なところで他の武道や格闘技を貶める発言をして、色々物議をかもしたことがあるらしい。
実際に武道家としてはどうなのか、それは見たことがないし、直接知っている人の評伝なども見たことがないので、俺には判断がつかない。しかし、本書のような発言をしていたら、「合気とは胡散臭いもの」という印象を強くするだけのような気がする。
ちなみに本書に登場する物理学は、高校物理が不可だった俺でもわかるレベルなので、その意味では読者は選ばない。
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2017年10月7日土曜日
004 / 437 炭水化物が人類を滅ぼす
10点満点で、5点。
昨今流行りの糖質制限ダイエット。実は自分でも取り組んでいて、今のところ4ヶ月あまりで8kg減。正確にはおよそ2ヶ月で7kg減、その後停滞しつつ2ヶ月でもう1kg減ったところ。数字だけ見ると確かに効果は出ているのだが、単に食べる量を減らしている効果が出ただけ、という気がしないでもない。
この4ヶ月の間、飲み会など予め「今日は好き放題飲み食いしていい」と決めた食事以外は、基本的に今までよりも量を減らしている。なので、常に満腹感がなく、腹が減った状態。まあそれでも体重は減っているのだけれど、「炭水化物を減らしてたんぱく質と脂質を増やした、今まで通りの満足感を得つつ減量」なら効果があると言っていいだろうが、そうではない。空腹感を抱えながらなので「脂質制限を厳しくしたって同じじゃね?」と思う。たんぱく質を減らすのは、流石に筋肉が減るだろうからやる気になれないが。
そんな中、ある意味糖質制限ダイエットのバイブルのような扱いをされている本書を手に取った。読んでみると、肉や魚などは「好きなだけ食べていい」ような書き方がしてあり、勇気づけられる。しかし、その根拠が怪しい。もちろん科学的に書いてあるのだが、エセ科学の臭いが強く漂うのだ。
体内での各栄養素の代謝について、詳しく書かれている。著者は医者だから、科学的、あるいは医学的には正しいことが書いてあるのだろうと思う。しかし、「糖質を制限しても大丈夫」ということは理解できても、根拠が怪しい、あるいは根拠のない礼賛が多い。顕著なところでは、「糖質制限食では腹が減らなくなる」「コレステロール値が低下する」と言った記述があるが、この根拠が無い。
前者は、俺の乏しい知識だと、空腹を感じるのは血糖値の低下に起因するはず。糖質制限をするということは急激な血糖値の上昇が起こりにくくなるわけだから、相対的に空腹を感じにくくなるのだろうとは思うが、空腹感がしないということはないはず。現に、俺自身は一日中空腹感を抱えている。
(ある程度慣れてきたが、どういうわけかここ2週間ほどはキツく感じている。食事の量、運動量など変えていないのに)
後者は「私のコレステロール値は下がった」というだけが根拠。それって都合のいい事例だけを取り上げてるんじゃないのか。
客観的な科学的事実、知見を元に書かれていることと、主観だけで書かれていることが入り混じっていて、信頼に足る部分を咀嚼する必要がある。まあ、読んでいれば根拠の無いことばかり書いている箇所(主に糖質制限のメリット)と、データを元にした記述ははっきり別れているので、盲目的に読まなければ大丈夫だと思うけれど。
後半の、生物あるいは人類の食性に関する歴史、穀物食の歴史などは興味深く読めた。本書がターゲットとしている層には面白くないだろうけど、雑学的知識としては知的好奇心を大いに刺激する。
最後にどんでん返しが。あとがきの冒頭に「本書では仮説を大胆に展開している」と。いやそれ、本文中に仮説と事実をちゃんと分けて書けよ。読者を騙す気満々じゃないか。
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昨今流行りの糖質制限ダイエット。実は自分でも取り組んでいて、今のところ4ヶ月あまりで8kg減。正確にはおよそ2ヶ月で7kg減、その後停滞しつつ2ヶ月でもう1kg減ったところ。数字だけ見ると確かに効果は出ているのだが、単に食べる量を減らしている効果が出ただけ、という気がしないでもない。
この4ヶ月の間、飲み会など予め「今日は好き放題飲み食いしていい」と決めた食事以外は、基本的に今までよりも量を減らしている。なので、常に満腹感がなく、腹が減った状態。まあそれでも体重は減っているのだけれど、「炭水化物を減らしてたんぱく質と脂質を増やした、今まで通りの満足感を得つつ減量」なら効果があると言っていいだろうが、そうではない。空腹感を抱えながらなので「脂質制限を厳しくしたって同じじゃね?」と思う。たんぱく質を減らすのは、流石に筋肉が減るだろうからやる気になれないが。
そんな中、ある意味糖質制限ダイエットのバイブルのような扱いをされている本書を手に取った。読んでみると、肉や魚などは「好きなだけ食べていい」ような書き方がしてあり、勇気づけられる。しかし、その根拠が怪しい。もちろん科学的に書いてあるのだが、エセ科学の臭いが強く漂うのだ。
体内での各栄養素の代謝について、詳しく書かれている。著者は医者だから、科学的、あるいは医学的には正しいことが書いてあるのだろうと思う。しかし、「糖質を制限しても大丈夫」ということは理解できても、根拠が怪しい、あるいは根拠のない礼賛が多い。顕著なところでは、「糖質制限食では腹が減らなくなる」「コレステロール値が低下する」と言った記述があるが、この根拠が無い。
前者は、俺の乏しい知識だと、空腹を感じるのは血糖値の低下に起因するはず。糖質制限をするということは急激な血糖値の上昇が起こりにくくなるわけだから、相対的に空腹を感じにくくなるのだろうとは思うが、空腹感がしないということはないはず。現に、俺自身は一日中空腹感を抱えている。
(ある程度慣れてきたが、どういうわけかここ2週間ほどはキツく感じている。食事の量、運動量など変えていないのに)
後者は「私のコレステロール値は下がった」というだけが根拠。それって都合のいい事例だけを取り上げてるんじゃないのか。
客観的な科学的事実、知見を元に書かれていることと、主観だけで書かれていることが入り混じっていて、信頼に足る部分を咀嚼する必要がある。まあ、読んでいれば根拠の無いことばかり書いている箇所(主に糖質制限のメリット)と、データを元にした記述ははっきり別れているので、盲目的に読まなければ大丈夫だと思うけれど。
後半の、生物あるいは人類の食性に関する歴史、穀物食の歴史などは興味深く読めた。本書がターゲットとしている層には面白くないだろうけど、雑学的知識としては知的好奇心を大いに刺激する。
最後にどんでん返しが。あとがきの冒頭に「本書では仮説を大胆に展開している」と。いやそれ、本文中に仮説と事実をちゃんと分けて書けよ。読者を騙す気満々じゃないか。
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2017年10月6日金曜日
003 / 436 田中角栄100の言葉
10点満点で、6点。
なぜだか知らないけれど、最近やたら出版されている気がする角栄本の一つ。コンビニでも見かけるなあ。
角栄の発言とエピソードを、見開きで紹介している。写真が大きく文字が少ないので、あっという間に読める。
いいことを言っているし、確かにこれは人がついてくるだろうなあ、と思う。でも、角栄の現役時代を知らない身としては、手放しに褒める本ばかり出版されているのがいささか気持ち悪い。清濁併せ呑むのが魅力とよく言われているが、利益誘導政治は厳しく批判すべきだと思う。人間的魅力を隠れ蓑に、批判の蓋をしてはいかん。
本書は基本的に角栄のことしか触れていないが、これだけの人物がいながら、そのカリスマを受け継ぐ、あるいは近いものを発揮する人物が登場していないというのは、残念極まりない。人を育てるのは下手だったのか、あるいは天性のカリスマだから学びようがないことなのか。真紀子とか、角栄という人物から最も遠い言動ばかりしていると感じるのは気のせいか。
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なぜだか知らないけれど、最近やたら出版されている気がする角栄本の一つ。コンビニでも見かけるなあ。
角栄の発言とエピソードを、見開きで紹介している。写真が大きく文字が少ないので、あっという間に読める。
いいことを言っているし、確かにこれは人がついてくるだろうなあ、と思う。でも、角栄の現役時代を知らない身としては、手放しに褒める本ばかり出版されているのがいささか気持ち悪い。清濁併せ呑むのが魅力とよく言われているが、利益誘導政治は厳しく批判すべきだと思う。人間的魅力を隠れ蓑に、批判の蓋をしてはいかん。
本書は基本的に角栄のことしか触れていないが、これだけの人物がいながら、そのカリスマを受け継ぐ、あるいは近いものを発揮する人物が登場していないというのは、残念極まりない。人を育てるのは下手だったのか、あるいは天性のカリスマだから学びようがないことなのか。真紀子とか、角栄という人物から最も遠い言動ばかりしていると感じるのは気のせいか。
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2017年10月5日木曜日
002 / 435 戦え!高専ロボコン
10点満点で、5点。
昨年(2016年)の高専ロボコン、「ロボット・ニュー・フロンティア」で活躍した、小山高専と高松高専を中心に、その舞台裏を追っている。ルポルタージュと言っていいのかなあ。
ロボコンという題材が特殊だから、試合展開などは本文を読んでも全然わからない。ルールも毎年変わるから、過去にロボコンの放送を見ていた人でも、去年の大会を見ていなければさっぱりわからないと思う。なんか技術的に大変なんだろうな、とか、そんな感じがぼんやり伝わってくるだけ。もちろん、実際に参加していた学生には臨場感がある話だろうし、近くで見ていた人もそうだろうけれど。テレビで見ただけの俺にはよくわからなかった。
ロボコンはもちろん参加するのが一番面白いのだが、放送を見ている分にも、試合そのものよりも舞台裏のほうが興味深い。内情をいくらかでも知っているからだろうか。でも、本書を読んでも、その魅力は残念ながらあまり伝わってこない。考えて考えて、やっと思いついたアイデアを試してみたらやっぱり駄目だったときとか、外野から見てるとそういうのが面白いのだが本書にはあまりなかった。
ロボコンに興味のない人が手にとっても、わけがわからず終わりだと思う。
ついでにいうと、我が母校がほとんどスルーされているので、それだけの理由で-1点。
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昨年(2016年)の高専ロボコン、「ロボット・ニュー・フロンティア」で活躍した、小山高専と高松高専を中心に、その舞台裏を追っている。ルポルタージュと言っていいのかなあ。
ロボコンという題材が特殊だから、試合展開などは本文を読んでも全然わからない。ルールも毎年変わるから、過去にロボコンの放送を見ていた人でも、去年の大会を見ていなければさっぱりわからないと思う。なんか技術的に大変なんだろうな、とか、そんな感じがぼんやり伝わってくるだけ。もちろん、実際に参加していた学生には臨場感がある話だろうし、近くで見ていた人もそうだろうけれど。テレビで見ただけの俺にはよくわからなかった。
ロボコンはもちろん参加するのが一番面白いのだが、放送を見ている分にも、試合そのものよりも舞台裏のほうが興味深い。内情をいくらかでも知っているからだろうか。でも、本書を読んでも、その魅力は残念ながらあまり伝わってこない。考えて考えて、やっと思いついたアイデアを試してみたらやっぱり駄目だったときとか、外野から見てるとそういうのが面白いのだが本書にはあまりなかった。
ロボコンに興味のない人が手にとっても、わけがわからず終わりだと思う。
ついでにいうと、我が母校がほとんどスルーされているので、それだけの理由で-1点。
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001 / 434 こんな凄い奴がいた
10点満点で、6点。
また一年以上も放置してしまった。それなりに本は読んできたんだけど、忙しくなるとどうしても放置しちゃう。
子供の宿題のため、図書館でスポーツに関する本を探させているときに手に取った本。知られざる猛者、知られざる名選手を取り上げた本だろうと思っていたら、オリンピックで活躍した選手中心の話。殆どの登場人物は、今は知られていない、あるいは俺が知らないだけの人が多いのであって、世代によってはかなりの知名度を持つ人だっているんだろう。
1928年のアムステルダムオリンピック、三段跳びの織田幹雄から始まって、オリンピックの選手としては1996年の女子柔道初の金メダリスト、恵本裕子まで。彼女はイブニングで連載中の「女子柔道物語」のモデルですな。執筆当時の個人は「番外編」として記載。この他、オリンピック外で活躍した女子選手は「女神たちの革命」として山口香が取り上げられていたり。終章はフジヤマのトビウオ、古橋廣之進。
スポーツと政治、オリンピックにも多くのページが割かれていて、モスクワオリンピックボイコットの影響を受けた選手たちについても多く触れている。個人的には国際情勢とオリンピックの関係が興味深かった。
2000年に出版された本。その一年後、本書には「小指投げ」として取り上げられている猪熊功が自刃してしまったのが悲しい。
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また一年以上も放置してしまった。それなりに本は読んできたんだけど、忙しくなるとどうしても放置しちゃう。
子供の宿題のため、図書館でスポーツに関する本を探させているときに手に取った本。知られざる猛者、知られざる名選手を取り上げた本だろうと思っていたら、オリンピックで活躍した選手中心の話。殆どの登場人物は、今は知られていない、あるいは俺が知らないだけの人が多いのであって、世代によってはかなりの知名度を持つ人だっているんだろう。
1928年のアムステルダムオリンピック、三段跳びの織田幹雄から始まって、オリンピックの選手としては1996年の女子柔道初の金メダリスト、恵本裕子まで。彼女はイブニングで連載中の「女子柔道物語」のモデルですな。執筆当時の個人は「番外編」として記載。この他、オリンピック外で活躍した女子選手は「女神たちの革命」として山口香が取り上げられていたり。終章はフジヤマのトビウオ、古橋廣之進。
スポーツと政治、オリンピックにも多くのページが割かれていて、モスクワオリンピックボイコットの影響を受けた選手たちについても多く触れている。個人的には国際情勢とオリンピックの関係が興味深かった。
2000年に出版された本。その一年後、本書には「小指投げ」として取り上げられている猪熊功が自刃してしまったのが悲しい。
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