10点満点で、5点。
昨今流行りの糖質制限ダイエット。実は自分でも取り組んでいて、今のところ4ヶ月あまりで8kg減。正確にはおよそ2ヶ月で7kg減、その後停滞しつつ2ヶ月でもう1kg減ったところ。数字だけ見ると確かに効果は出ているのだが、単に食べる量を減らしている効果が出ただけ、という気がしないでもない。
この4ヶ月の間、飲み会など予め「今日は好き放題飲み食いしていい」と決めた食事以外は、基本的に今までよりも量を減らしている。なので、常に満腹感がなく、腹が減った状態。まあそれでも体重は減っているのだけれど、「炭水化物を減らしてたんぱく質と脂質を増やした、今まで通りの満足感を得つつ減量」なら効果があると言っていいだろうが、そうではない。空腹感を抱えながらなので「脂質制限を厳しくしたって同じじゃね?」と思う。たんぱく質を減らすのは、流石に筋肉が減るだろうからやる気になれないが。
そんな中、ある意味糖質制限ダイエットのバイブルのような扱いをされている本書を手に取った。読んでみると、肉や魚などは「好きなだけ食べていい」ような書き方がしてあり、勇気づけられる。しかし、その根拠が怪しい。もちろん科学的に書いてあるのだが、エセ科学の臭いが強く漂うのだ。
体内での各栄養素の代謝について、詳しく書かれている。著者は医者だから、科学的、あるいは医学的には正しいことが書いてあるのだろうと思う。しかし、「糖質を制限しても大丈夫」ということは理解できても、根拠が怪しい、あるいは根拠のない礼賛が多い。顕著なところでは、「糖質制限食では腹が減らなくなる」「コレステロール値が低下する」と言った記述があるが、この根拠が無い。
前者は、俺の乏しい知識だと、空腹を感じるのは血糖値の低下に起因するはず。糖質制限をするということは急激な血糖値の上昇が起こりにくくなるわけだから、相対的に空腹を感じにくくなるのだろうとは思うが、空腹感がしないということはないはず。現に、俺自身は一日中空腹感を抱えている。
(ある程度慣れてきたが、どういうわけかここ2週間ほどはキツく感じている。食事の量、運動量など変えていないのに)
後者は「私のコレステロール値は下がった」というだけが根拠。それって都合のいい事例だけを取り上げてるんじゃないのか。
客観的な科学的事実、知見を元に書かれていることと、主観だけで書かれていることが入り混じっていて、信頼に足る部分を咀嚼する必要がある。まあ、読んでいれば根拠の無いことばかり書いている箇所(主に糖質制限のメリット)と、データを元にした記述ははっきり別れているので、盲目的に読まなければ大丈夫だと思うけれど。
後半の、生物あるいは人類の食性に関する歴史、穀物食の歴史などは興味深く読めた。本書がターゲットとしている層には面白くないだろうけど、雑学的知識としては知的好奇心を大いに刺激する。
最後にどんでん返しが。あとがきの冒頭に「本書では仮説を大胆に展開している」と。いやそれ、本文中に仮説と事実をちゃんと分けて書けよ。読者を騙す気満々じゃないか。
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