2009年11月21日土曜日

217 / 261 自衛隊指揮官

10点満点で、8点。

読書時間(普通に読んだ)・・・1時間半程度

毎日新聞の記者が書いた本だからさぞかしバイアスがかかっているだろうと予想して読んだら、とんでもない。
著者自身、防大卒とのことで自衛隊に親近感を強く持ってはいるのだろうが、読む限りはフェアな視点で貫かれている。自衛隊の問題は問題で指摘しているし、政治の問題、国民の問題についても、きちんと向き合っている。

これだけの本を書ける人材がいるというのに、どうして毎日新聞はアレなんだろうか・・・という問題はさておいて。

地下鉄サリン事件、不審船、領空侵犯、国際貢献と、任務のみを与えられて、装備も権限も与えられなかった自衛隊指揮官の苦悩がよくわかる。地下鉄サリン事件で現場に駆けつける自衛隊が、赤信号で停止し、他の車に割り込まれていたなんて! ミグ25の亡命時、ソビエトの武力奪還に備えて待機した自衛隊の行動が、公式記録から抹消されているなんて!

本書を読み、他の本も読むと、自衛隊が抱えている本質的な問題点が痛いほどわかる。それは、まともな有事法制がないこと、ROE(交戦規定)がないこと。

俺の誤解であって欲しいが、現在の法律では、他国が戦略爆撃機で核攻撃を仕掛けてきても、自衛隊は実際に爆弾が投下されるまで敵機に手が出せない! 威嚇射撃はできるが、威嚇で止められなかった場合は見ていることしかできないし、自衛隊が先に攻撃をしたら、自衛官が個人的な犯罪に問われてしまう!

いったいこの国はどうなっているんだ。



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