2010年1月31日日曜日

012 / 292 水はなんにも知らないよ

10点満点で、6点。

かの有名な「水からの伝言」の批判本。それだけではなく、水を取り巻く怪しいビジネス(マイナスイオン水とか、πウォーターとか)について、科学的な視点から滅多切りにしている。

個人的には、「水からの伝言」を信じているのはただのバカだろう、くらいにしか思っていなかったが、TOSS(かなり大規模な、教師の教育技法を研究/提唱している団体)」で肯定的に取り上げられ、また何の説明もなくサイトから情報が消された、と言うところを読んで心配になった。技術立国と言われた日本が、その位置から転落しつつある理由の一端が見える。そういえば、事業仕分けで政権与党の代表が技術分野に対し「どうして世界一じゃなければダメなんですか、二番目じゃダメなんですか」という、バカ丸出しのことを言ってたのもニュースになったな。

本書の残念なところは、科学的な視点で書かれているのに、出典や参考文献がほとんど書かれていないこと。せっかく科学的な視点で似非科学を批判しているのだから、科学的なスタイルで書いて欲しかった。



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011 / 291 翔ぶが如く 九

我は官軍我(わが)敵は、天地容れざる朝敵ぞ
敵の大將たる者は、古今無双の英雄で
之に從う兵(つわもの)は、共に慓悍(ひょうかん)決死の士
鬼神(きしん)に恥(はじ)ぬ勇あるも、天の許さぬ反逆を
起こしし者は昔より、榮えし例(ためし)あらざるぞ
敵の亡ぶる夫迄(それまで)は、進めや進め諸共に
玉散る剣(つるぎ)抜き聯(連)れて、死ぬる覺悟で進むべし


雨は降る降る 人馬は濡れる 越すに越されぬ田原坂
40日にわたる激戦の末、ついに官軍に抜かれることがなかった田原坂。西南戦争を代表するこの激戦が、どれだけ熱く描かれているのかと期待したら、意外にあっさりした記述ですぐに終わってしまった。

抜刀隊の活躍についてもほとんど触れられることなく終わっている。結局田原坂を抜けなかったということは、戦局に重大な影響を与えることはなかった、と言うことだろうか。

八巻当たりから、桐野利秋、篠原国幹などが「一代の英雄」ではなく、「己の力のみを信ずる匹夫」として描かれている。戦略眼がなく、またそういった考え方を嫌っている。特に桐野は、作中何度も西郷による「彼に学問があれば人が及ぶものではない」という評価が繰り返し書かれ、また各地の暴発にも乗らずじっと時期を待っている姿が描かれているので、この急なタッチの変化は意外だった。「弱くて負けるのではない、天に負けるのだ」と言った、項羽のような描き方をされるとばかり思っていたのだが。

谷干城は熊本城を守り抜き、薩軍は後退した。
夜明けの終わりはもうすぐだ。



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2010年1月25日月曜日

010 / 290 翔ぶが如く 八

ついに動き出した薩摩軍。
神風連の乱でいとも簡単に落ちたせいか、戦略上の必要性はあまりない熊本城に、「青竹一本でたたき割る」と押し寄せていくが・・・

熊本鎮台守将谷干城の悩み、薩人樺山資紀の苦悩。「まさか全力で熊本城に来るとは」と考えた政府の誤算。振り回される乃木希典。混乱しつつも、戦略眼を持って動く政府軍と、薩摩兵の強さだけを頼りに猪突する薩摩軍の対比がはっきりしてくる。

個人の武勇は、洗練された武器と戦術にはかなわない、ということを、薩英戦争で学んだのではないか。
長州は馬関戦争で痛感し、戊辰戦争でも苦戦しているので、そのことをよく知っている。しかし薩摩は、なまじ強すぎたせいで、かつての教訓を忘れてしまったのだろうか。議論を好まず、「臆病者」の一言で引き下がらざるを得ない、薩摩気質も大きいのだろう。

戦術眼なく行動して連隊旗を奪われてしまう乃木希典と、熊本城の混乱を鎮めるために走り回る児玉源太郎の対比もいい。「坂の上の雲」に繋がってゆくのだな。



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009 / 289 出逢いの法則

10点満点で、7点。

読書時間(普通に読んだ)・・・1時間半程度

実用書・・・かなあ?
人生をともに送るパートナーを見つけるための方法が書かれている、ような気がする。

前半の、著者二人がどうやって出逢ったかの物語は、なかなか面白かった。
後半は、その物語をもとに、彼らが出逢うために何をしてきたか、それは一般化するとどういうことか、書かれている。

なかなか面白いが、一人暮らしの独身でないと、本書に書かれていることを実践することは難しいだろうなあ。自分をさらけ出して、受け入れて、それからの話だから、人に見られる環境だと出来ない気がする。

ま、妻子持ちの俺が気にしても仕方ないんだけど。
結婚する前に本書を読んでいたら、また違った人生を歩んでいたのかもしれない。



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2010年1月24日日曜日

一級電気工事施工管理

一級電気工事施工管理

難易度:少し難しい

ちょっと勉強すれば取れる電気工事士とは違い、一応ちゃんと勉強しなければ取れない試験。
ドラゴンボールでいうなら、

電工二種:ヤムチャ
電工一種:天津飯
一級施工管理:ピッコロ
電験三種:フリーザ

くらいだろうか。
いや、電工二種と一種の間はそんなに離れてないか。ただ、電工と施工管理はかなり離れている。
出題範囲や難易度も、電験の方に近い。3月に衛生管理者の試験を受けて、帰り道に本屋で参考書と問題集を購入。

使用したテキストは、次の3冊。



勉強法は、最初に「徹底研究」テキストをマーキングしながら読み、問題を一通り解く。その後もう一度問題を解いて、問題集へ移行。問題集も2回解いて、その後正誤問題などで間違っている箇所を赤字で訂正、また正誤を判断するためのポイントなどをマーキング。「間違って覚えないように」テキストや問題集を書き直したと言うことだね。

4月に速習セミナーを受講してから、勉強スタイルを変えた。テキストにしても問題集にしても、新しい箇所は夜勉強して、翌朝復習する。夜が1時間なら、復習は30分で出来る。きちんと復習することで、頭に入るスピードはかなり速くなったと思う。

それから、週に1回くらいは、テキストや問題集をフォトリーディングした。
フォトリーディングの効果も期待しつつ、勉強のモチベーションが上がらないときに「フォトリーディングだけでもしておこう」とごまかした部分は大きい。

学科試験は52/60(合格点36)で無事合格。最後までいないと問題を持ち帰ることが出来ず、かなり退屈ではあった・・・ちなみに選択問題が多いのが施工管理の特徴で、全問解答式だったらと考えると、57/92で正答率0.62、ギリギリのラインだった。危ない。

実地試験は、いいテキストに巡り会えなかった。
採点上最も重要な(50点くらいあるはず)施工体験記述について、あまり具体的な解説がなく、きちんと対策できたかよくわからない。これは自己採点もしようがないので、ただ合格発表を待つのみ。2月5日発表予定。

2月5日追記。
どうやら無事に合格できた模様。

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2010年1月23日土曜日

アクティブ・ブレイン・セミナー アドバンスコース

アクティブ・ブレイン・セミナーの続き。前回は記憶術の基礎で、今回は応用といった位置づけだろう。

内容は大きく三つ。数字を記憶する方法、前回やった「磁石記憶法」の拡張(覚えられる個数を増やす)、そしてスピーチの内容を記憶する方法。数字の記憶法と、磁石の拡張については、市販の記憶術に関する本で、ほぼ同じ内容を学ぶことが出来る。俺も知ってはいたが、自分でやってみて、覚えられることを実感すると、今後自分が使いこなしていくことに自信が持てる。

秀逸なのは、スピーチ記憶法だった。
記憶法そのものは特別なものではないと思うが、その練習がすばらしい。先生の語る「人生を成功に導く20の法則」というスピーチ、およそ2時間分を記憶し、咀嚼し、10分のスピーチとして再構成して語るという演習をやった。

20の法則自体は、どこかで聞いたことがあるものばかりで、特別なものではない。
そして、20の法則を覚える方法も、なるほどとは思ったが、やはり特別ではない。

しかし、聞いた内容について考え、咀嚼し、20個を漏らさぬように自分のスピーチとして作り直すと、この法則が自分のものとして身についてくるという感じがしてくる。これこそが、今回のセミナーで、記憶術よりも重要なことだったのではないだろうか。じゅうみさんが絶賛していた理由がわかる気がする。

純粋な記憶術として、その後のプレミアムコース、「F1コース」にも興味が湧いてきた。
行きたいなあ。仕事の都合が付くかな。

2010年1月22日金曜日

008 / 288 子ども兵の戦争

10点満点で、8点。

活性化(スキタリング)・・・2時間程度

2時間もかけてたら、スキタリングとは言えないなあ。
フォトリーディングのステップを、もう一度ちゃんとやるよう意識した方がいいのかもしれない。

本書は、いわゆるチャイルドソルジャーについて、その実態と背景を克明に追った本。その実態はあまりに悲惨で、読んでいて鬱になることは間違いない。10歳に満たない年齢で、酷い場合は5歳程度で誘拐され、友人や家族、時には親までも殺すことを強要され、殺人経験を積んで次第に精神が壊れていく・・・

そして、子ども兵と対峙する側(国連治安維持部隊など)は、彼らに銃口を向けることが出来ずに命を落としていく・・・

本書に書いてあることではなく、俺の想像でしかないが、そういった子ども兵を使う側も、かつての子ども兵が多くなってしまっているのではないだろうか。その残虐ぶりは、精神が壊れているとでも思わないと、とても理解できない。そして、子ども兵が経験するような残酷なこと(殺人、強姦、拷問、四肢切断・・・)をせずに、ここまで壊れた精神を持つ人間が多いとも思えない。

あまり言われないことだが、内戦の続く最貧国と言われる多くのアフリカ諸国は、実は豊富な天然資源を持っている。そのほぼすべてが一部指導者層に占有されており、また内戦も資源争いに根幹があることが多い。彼らはその資金源をバックに武器を調達し、そして消耗品としての兵士は子どもを調達する。調達された子どもは精神を壊し、次の子ども兵を生み出していく・・・決して豊かになることなしに。

この悲惨な連鎖を断ち切るには何が出来るのだろう。
少なくとも、日本の反戦人権団体(その多くはただの反米団体だ)がやっていることでは、解決に結びつかないだろうな。そういえば、北朝鮮への支援を呼びかけている某国元大統領婦人(日本人)は、(正義と言い難い手法で獲得したと疑われている)その膨大な資産で、大量の宝石を身にまとっているな。ダイヤモンドの一大産地、シエラレオネで何が起こっているのかには興味なさそうだが。

と、批判するのは簡単だが、ではどうすればいいかと思いつかない俺がいる。



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2010年1月17日日曜日

007 / 287 借金の底なし沼で知ったお金の味

10点満点で、6点。

読書時間(普通に読んだ)・・・1時間半程度

一般的にはビジネス書に分類されているらしいが、自伝と言うべきかエッセーと言うべきか、分類に困る本。
「何を言わんとしているのかわからない」本ではある。少なくともハウツー本ではない。

サブタイトルに「25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記」とあるが、タイトルから想像できるような内容ではない。

・稼ぐ奴は何を考え、稼げない奴は何を考えているのか
・稼ぐためには、何を考えることが必要か
・自分は何を考えてきたのか

などが書かれている。ちょっと違う気もするが、それは本書の構成があまりできのいいものではなく、言わんとすることが読み取りにくい(章ごとにバラバラ)であることによる。

著者の置かれた環境は、確かに壮絶な借金に囲まれてはいるが、下記の通りかなりのレアケースと思われる。

・著者は東大法学部卒の、文句なし高学歴秀才。
・フリーターであった理由は、「会社員や官僚になることでは、億万長者になれない」と感じていたから。
・借金の原因は、先物取引。フリーターに1千万円単位で金を貸すタニマチがいた。
・これだけの借金なのに、基本的に督促なし。返済金額も、1万円程度で許してもらえる(理由はあるが)
・社員を消耗品として扱う会社で、最初から消耗品扱いされない人材であった。
・衛生管理者と行政書士の資格を同レベルで語れる優秀さを持っている。
(俺から見ると、ヤムチャとベジータくらい違う)
・中小企業診断士の資格だって、「一年あれば取れる」と言い切ってしまう優秀さ。
・5千万円を超える借金を抱えているのに、まだ金を貸してくれる相手がいる環境。

著者なりの哲学は随所に書かれているが、実際にどうやって金を稼いだかは触れていない。
金を稼ぐには、借金してでも大きな元手で金を動かさなければダメだ、と発見してから、すぐに行政書士として年商1億円を超え、4年後にはマンション経営してたり、恐らく読者が一番知りたいことについて何も書いていない。著者のスタンスを考えるに、「人に頼るな、自分で考えろ」と言うことなのだろうが。

本書は他にも、業界の人間でなければ知らないような言葉が説明なしに使われていたりして、読みにくい本。
週刊誌の記事を読むつもりで読むのが一番良さそうだ。



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2010年1月16日土曜日

006 / 286 翔ぶが如く 七

西南戦争開戦前夜。萩の乱の後始末に始まり、私学校組が暴発するまで。

俺の乏しい知識では、直接の引き金は川路利良が派遣した間者に与えた指示。「西郷を視察せよ」という指示を、私学校側が「西郷を刺殺せよ」と誤解して、西郷の命を狙われるとあらばもはや立つしかない、といきりたったのだと思っていた。本書は小説だから、どこまでが事実かはわからないが、どうやら誤解だったようだ。

政府の意向か否かはともかく、どうやら川路は本当に西郷暗殺を考えていたらしいし、その証拠もあるようだ。

ギリギリまで暴発を押さえながら、ことが動き始めてしまってからは、御輿に徹し始めた西郷。
いよいよ次巻から、西南戦争が勃発する。たぶん。



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第二種電気工事士

第二種電気工事士

難易度:簡単

低圧の電気工事をするのに必要な資格。とはいえ、500kW以上の需要場所では、免許の有無にかかわらず主任技術者の監督の下仕事をすればよいので、別に仕事で必要なわけではない。一級電気工事施工管理の勉強をしていたとき、ついでに受けた。

もともと電験三種の勉強をしていたこともあり、一から勉強する必要はないので、勉強時間は4時間ほど。いいテキストに巡り会えて、無駄な勉強をせずにすんだ。技能試験の練習時間は6時間程度。

使用したテキストは、以下の二冊。



学科のテキストは、これの2009年版。
理論、計算部分についてはごっそり省略してあり、「覚えてしまえば何とかなる」項目を、「ここだけ覚えればいい」と明快に書いてある。60点狙いと明記してあるが、確かに基礎知識なしで本書だけだと、60~70点くらいしか取れないだろう。工事士の計算問題は簡単なので、捨てるのはもったいない。とはいえ、他の試験とはかぶらない、工事士の試験のみに必要となる項目に絞って解説してあり、俺の用途にはぴたり適合していた。

計算については省略と書いたが、2年分の過去問が掲載してあり、それらについては解説もある。ぶっちゃけこの程度で十分。

ちなみに、勉強法はテキストをフォトリーディングした上で、マーキングしながら一通り読んだ。その後マーキング箇所だけもう一度読んで、あとは過去問を2回ずつやっただけ。これで、本番では50点満点で40点、合格点は30点。

学科もよければ、技能試験のテキストも秀逸。恐らく、電工二種の技能試験においては、このテキストが最高峰ではなかろうか。内容がわかりやすい上に、手間のかかる採寸について、スケールを使わずにだいたいのところを押さえる方法が詳しく書いてある。技能試験の寸法精度は、指定寸法の50%減までは減点なしなので、この方法による目分量でも十分。むしろ時間節約効果が大きい。一種では発売されていないのが残念の極み。

それと、技能試験ではホーザンのVAストリッパがあると、とても楽。作業時間が5分は確実に縮まる。俺の場合10分くらいかもしれない。シースはぎ取り、被覆はぎ取りが一発で出来て、輪作りもできる。手先が不器用な向きには、必須。ただし貧弱な構造で、練習中既に切れ味がずいぶん低下していたので、試験専用使い捨ての工具。



6時間程度の練習でも、作業時間は20分を切れる。俺はかなり不器用な方だから、それだけ本書の解説が秀逸ということだろう。

本番でも特に問題なく、自信を持って作業できたので、合格の確信を持ってそのまま一種も申し込んだ。

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2010年1月12日火曜日

005 / 285 翔ぶが如く 六

本巻では、神風連ノ乱が主題と言っていいだろう。
ページのほとんどは、長州の前原一誠とその周辺に割かれているが、しかし本書における重要性はあまりない。歴史上の価値というよりもむしろ、その覚悟と行動力によるものだろう。

前原一誠は深い思慮もなく、戦略もなく、ただ何となく乱を起こしただけの凡人と描かれている。それに対し神風連は、その思想の是非はあれ、目的と行動方針がはっきりしており、むしろ爽快感すら覚える描き方をされている。鎮圧に当たった児玉源太郎の描き方も鮮やかで、乃木希典との対比もはっきりしている。なるほどこれが「坂の上の雲」に繋がるのかと、妙な感動を覚えた。どっちが先に書かれたのかは知らないが。

神風連ノ乱はわずか1日で鎮圧され、秋月の乱他周囲もあっさり鎮圧されて、政府に打撃を与えたとは言い難い。西郷も立たなかった。しかし、最初から死ぬことを覚悟し、勝算がないことをわかりきった上で、敢えて死ぬために立ち上がった彼らには、武士としての美学を感じる。司馬遼太郎の筆力なのだろう。乱そのものにはほとんどページが割かれなかった、佐賀の乱とは大きな違いだ。

本巻では西日本が次第にきな臭く、不満分子が沸々と飛び出している。
西南戦争の下地は、できあがりつつある。



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004 / 284 洗脳体験

10点満点で、8点。

読書時間(普通に読んだ)・・・2時間程度

初版は1991年だから、もう20年近く前か。その後の出来事などを書き加えた、増補版という位置づけになっている。

著者は、当時社会問題にもなっていた「自己啓発セミナー」に参加して、その内情を克明に記している。読む限り、最初から潜入取材という意識が強かったわけではなさそうだ。好奇心にひかれてベーシックセミナーに、そしてその後アドバンスセミナーにまで参加している。さらにその先のコースもあるが、著者はそこで違和感を覚えて、参加をやめたようだ。

中で何が行われているのか、基本的には自己啓発セミナーではどこも内容を公開していないので、本書の内容は非常に興味深い。自分で無意識に加えている制限を解き放ち、自分のこだわりをさらけ出してそこから解放され、そして行動する力を得るもの、らしい。

読んでいると、セミナーそのものに関心が出てくる。特に危険なものとも感じられず、また参加者の考え方や行動が劇的に変わっていくことから、むしろ巷間で言われるよりも有意義なものではないかという気すら起きる。読んでいる最中は、俺自身もセミナーに参加してみたくなった。しかし、著者はいくらか引いた視点で内容を捉えており、参加しながらその中にある種のいかがわしさを感じている。

二部構成になっており、後半はセミナーの問題点や、「その後」の問題点などについて触れている。これがなければ、むしろ本書はセミナー参加者を増やす効果の方が大きそうな内容で、実際初稿が雑誌に掲載された際、最も多かった読者の反応は「私も参加したい」というものだったらしい。

しかし本書で語られるところによると、セミナーで与えられる感情や、セミナーで植え付けられる意識は、あくまで非日常の世界だから成立するものであること。そのままの感覚で社会に出ると、むしろ周囲との協調が取れずに問題が大きいことなどが語られている。なるほどと納得はしたが、しかし潜入体験記の内容はあまりに興味深く、一度参加してみたい気分になった自分がいることは間違いない。

面白い本ではあるが、危険性も感じる。
誰にでも勧められる本ではないな。



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003 / 283 戦いの論理と競争の論理

10点満点で、5点。

活性化(スキタリング)・・・1時間程度

ビジネスを戦いと捉え、過去の戦争や現在の軍事理論から、ビジネスへの応用を読み解いた本。
・・・らしいのだが、どちらかというと軍事に重きを置いているスタイルで、かつビジネスの話は唐突に出てきている感があり、本としての統一感は感じられなかった。

個々のエピソードは面白いものが多かったが、前述のようにまとまりの欠ける内容だったので、結果として何を言わんとする文章なのかわからない箇所が多い。短時間で読んだせいもあるが、個々のエピソード以外、頭に残ったものがない。

漠然と読んだせいだろうか。フォトリーディングの基本どおり、きちんと目的と質問を決めて読めば、また違った感想を持ち得たのかもしれない。



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2010年1月9日土曜日

002 / 282 考える技術・書く技術

読書時間・・・5時間以上

難解。とにかく難解。野村ホークスくらい南海。関係ないか。

昨年末、本書の訳者である山崎先生のセミナーに参加した。そこで先生曰く、

・この本は一流はもちろん、二流に値するコンサルタントなら99%以上は知ってるし、95%以上は読んでいる
・ちまたのロジカルシンキング、ロジカルライティングに関する本やセミナーは、基本的に本書がベース
・本書は古典に属するものだが、今でも本書を越える本は出ていない
・でも読むのにはそれなりの力がいる

とのこと。確かに、過去に読んだロジカルシンキングやロジカルライティングに関する本に書いてあることは、ほとんどは本書に書いてあることだった。

しかし、何よりも、本書はとにかく読みにくい。本当に「書く技術」について書かれた本なのかと思うほど、とにかく難しくて読むのに気力と体力が必要。セミナーでは「文書を書くときは、読み手を明確に決めて、読み手がわかるように描く」ことを強く指導された。本書は恐らく、コンサルタント向けに書かれた本なのだろう。そうでなければ、何が書いてあるのかさっぱりわからない、といった感想は持ち得ないはず。

本当に読みにくい。しかし、読みこなすことが出来れば、かなり力が付くであろうことは想像できる。

本書は、CでいうところのK&Rに相当する本なのだろうな。
基本から応用までしっかり書いてあるが、読みこなすのが大変。予備知識なしに渡された場合、読みこなすことが出来るのは、それなりに才能を持った人だけだろう。俺みたいな凡人は、他の本で勉強してから読み返すべき本だった。その意味では、以前読んだ「ロジカル・ライティング」の方がお勧めできる。



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2010年1月3日日曜日

001 / 281 翔ぶが如く 五

今年最初の読書。昨年末から読み続けていた。


征台事件の顛末が描かれている。

勝手に他国の領土に上がり込み、戦闘行動をしたあげく賠償を勝ち取る大久保。本文中にも何度か似たような表現で書かれているが、ヤクザの理屈と変わらない。理はなく、相手の話を聞かず、ゴネてユスって金を取る。明治維新ものや坂の上の雲などを読んで、初期の明治政府は日本人の良心に根ざしたいい政府だったと思っていたのだが、大きな間違いだったようだ。

俺自身が山口県、長州出身であるせいか(本当は防州だけど)、薩摩の偉人で西郷は嫌い。大久保の方が好きだったが、考え方が大きく変わってきた。大久保も嫌い。まぁ、本書に書いてあるのはその一面でしかないし、あくまで司馬遼太郎の解釈でしかないわけだが、印象が変わってしまったのは間違いない。

しかし、相変わらずこの頃の事情について無知なせいで、登場人物の重要性がさっぱりわからない。本書では、宮崎八郎に多くのページが割かれている。西南戦争の重要人物なのだろうか。



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2010年1月1日金曜日

236 / 280 謎の拳法を求めて

10点満点で、7点。

読書時間(普通に読んだ)・・・1時間半程度

今年最後の読書。翔ぶが如くの5巻も読み進めてはいるけど、今年中には読み切れないかな。

昭和50年の出版だから、もう34年も前になるのか。この本が出版されるまでは、中国拳法と言えば健康法としての太極拳程度しか知られておらず、少林寺拳法と少林拳が同じものと思われていた時代らしい。記述はいささか古さを感じるが、内容はいい。今でもさほど有名とは思えない、日本古来の剣術や柔術、それに中国拳法をいろいろ紹介している。その多くは著者自身がその目で見て、あるいは体験し、あるいは修行したもの。

中国拳法至上主義に思えないこともないが、理論と実際や試合と実戦の違いなど、経験者でないとわかりそうにないことなど豊富に書いてあり、こういうのが好きな人には堪らないだろう。俺みたいな人種だな。

何よりも本書を読む限りは、どの武術あるいは武道を志すにしても、中途半端が一番よくないというのがよくわかる。
合気道の稽古、ちゃんと続けなきゃなあ。



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