2010年1月25日月曜日

010 / 290 翔ぶが如く 八

ついに動き出した薩摩軍。
神風連の乱でいとも簡単に落ちたせいか、戦略上の必要性はあまりない熊本城に、「青竹一本でたたき割る」と押し寄せていくが・・・

熊本鎮台守将谷干城の悩み、薩人樺山資紀の苦悩。「まさか全力で熊本城に来るとは」と考えた政府の誤算。振り回される乃木希典。混乱しつつも、戦略眼を持って動く政府軍と、薩摩兵の強さだけを頼りに猪突する薩摩軍の対比がはっきりしてくる。

個人の武勇は、洗練された武器と戦術にはかなわない、ということを、薩英戦争で学んだのではないか。
長州は馬関戦争で痛感し、戊辰戦争でも苦戦しているので、そのことをよく知っている。しかし薩摩は、なまじ強すぎたせいで、かつての教訓を忘れてしまったのだろうか。議論を好まず、「臆病者」の一言で引き下がらざるを得ない、薩摩気質も大きいのだろう。

戦術眼なく行動して連隊旗を奪われてしまう乃木希典と、熊本城の混乱を鎮めるために走り回る児玉源太郎の対比もいい。「坂の上の雲」に繋がってゆくのだな。



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