10点満点で、8点。
読書時間・・・2時間半程度
昔読んだ本の再読。かなりいろいろ書いてある本なので、読書時間がかかるのは仕方ない。
本書は、スイス政府が国民に配布したといわれる、国防を達成するために国民が知っておくべきことをまとめた本。配布したと「いわれる」と書いたのは、どうもそれは違うのではないか、という情報もあるから。裏が取れていないので、現状では不明と考えている。
スタンスは明快で、
・スイスは戦争を望まない、侵略を企てることはない
・しかし、相手がどう考えるかは、スイスが完全にコントロールできるものではない
・よって、起こりうる「戦争」の被害を最小限にすべく、知るべきこと、なすべきことを周知する
というもの。どこかの国みたいに、軍備があるから戦争するんだとか、武装を放棄すれば平和が訪れるとか、そういう脳にお花畑が咲いたような妄言は露程も出てこない。いや、強いていえば、そういう勢力は「敵対勢力の心理・情報戦」であると言及しているか。
備蓄すべき食料、生活必需品などのリストとその量など、一般の防災意識を向上するにも役立つことは多いだろう。核攻撃を受けた際に取るべき行動などは、その知識が役立つ日が永遠にこないことを期待するのみ。しかし、核攻撃を受けうるという前提で、その被害も計算し、それに耐えるためにはどうすべきか、という議論は、日本ではまずできないだろうなあ。
後半には、実際に戦争になった場合のシミュレーションが書かれており、その中には国土が占領されて政府組織が機能しなくなった後のことまで書いてある。ここまで徹底的な危機管理ができるというのも、さすがはスイス、黒い中立国の面目躍如か。
読み物ではないから、興味のない人には数ページで投げ出す内容だろう。しかし、読んでおいて損はない。
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