2009年9月4日金曜日

174 / 218 無一文の億万長者

10点満点で、6点。

活性化(スキタリングのつもりが熟読)・・・4時間程度

内容は悪くないと思うが、読むのにとにかく疲れる本。熟読しなければ読めなかった。
おそらく俺の問題であり、著者や訳者の問題ではないと思うが、この手の本を読むのは非常に疲れる。何がって、人物の把握にやたら体力を使う。

ただでさえカタカナの名前は覚えにくい(挿絵も写真もないからなおさら)上に、ファーストネームとファミリーネームが入り交じって登場する。似た名前の人物も少なくないし、男女の判断がしにくい名前もあるから、誰が誰だかわからない。なので、読み流していた人物が重要人物として登場したりすると、いったいどこで登場したのかずいぶん戻って探したりもする。

さて、内容は、日本人旅行者の多くがお世話になる免税店、DFSの創始者、チャック・フィーニーの伝記。どうやって富を築き、どうやってそれを寄付してきたのか、克明に書かれている。

とはいえ、思うようなペースで読めないこともあり、あまり好意的には読めなかった。フィーニーはほぼすべての財産を寄付してしまい、しかもそれを匿名ですることにこだわった希代の慈善家。特筆されるべき、偉大な人物であることは疑いないと思うのだが。

まず蓄財の方法。読み物としてはこの部分が一番面白かった。特別に凄いことをしているわけではないのに、着眼点が違うだけでこれだけの成果を出せるのかという驚き。その成功譚は痛快さも感じるが、重要なポイントとして「徹底的にタックスヘイブンにこだわっている」こと。財産を築く課程は前半1/3程度で触れており、その後は慈善活動について多くのページが割かれているのだが、「その前に、稼がせてくれた国にちゃんと税金払えよ」という意識が強く働き、批判的に読んでしまった。

「ほとんどすべての財産を寄付してしまった」と書いてあるが、自分用に500万ドル、家族のために4000万ドルを残している。平均的な生涯収入よりも多い財産を確保しておいて、無一文?
とはいえ、寄付した財産が数億~数十億ドルの規模、ということを考えれば、1%もないのだろうが。過去の慈善活動家に比べたら桁違いの行動なのだろうから、そこは素直に評価したい。個人的には15ドルの腕時計を着け、エコノミークラスの飛行機を使う、贅沢には関心のない行動をしているようだし。

しかし、こういう行動ができるのも、「誰にでも成功者になるチャンスがあり、そして成功したものは慈善活動に励む」というアメリカのよき文化があってこそのことなのだろうな。



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