2009年2月4日水曜日

029 / 073 ルワンダ中央銀行総裁日記

10点満点で、9点。

準備、予習、フォトリーディング、調査・・・10分程度
活性化(普通に読書)・・・2時間半

面白かった。
独立間もないアフリカの小国ルワンダに、国際通貨基金の要請で総裁として派遣された著者が、崩壊寸前のルワンダ経済を自立させるまでの話。

革命軍幹部がそのまま就任したような大臣たちが、外国人商人にいいようにあしらわれる中、著者が奮闘する様が活き活きと描かれている。

狡猾であったり愚鈍であったり、どうしようもない人物も少なくないが、多くの人物に共通しているのは「教育」の重要性。決して愚かではないが、適当な教育を受けていないために政治や経済がわからず、そのため外国人に好きに振る舞われたり、あるいは目先のことしか見えなくなってしまったりする登場人物たちが、著者と話し合うことできちんと理解し、また自分の考えをしっかり持っていることに著者が驚かされたりと、「知識不足」と「愚鈍」との間には大きな違いがあることがよくわかる。

著者はさまざまな苦労を重ねるが、聡明な大統領に恵まれ、すべきことを迅速に実行できた環境があればこその成功だろう。6年の任期を終えて帰国する際、国内各地から人が集まり、また帰国後も民芸品が送られてくるなど、著者がいかに必要とされ愛された人物かよくわかる。その退任も、「中央銀行の総裁はその国の人間がなるべき」と、実に潔い。

1972年の出版だが、この本の出版後数年でクーデターにより政権が転覆し、10人に1人が殺されたという凄惨な内戦が発生してしまったことが実に惜しい。もしかしたら、著者があと10年総裁として手腕を振るっていたら、ルワンダは今頃南アフリカに肩を並べるほどの経済発展をしていたのかもしれない。そう思えてくるほどの感動があった。

図書館で借りるしか読めないだろうが、是非読むべき本。ただし、会計に関する知識がないと、わからないところは多いと思う。少なくとも俺にはわからない箇所がかなりあった。



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