2009年2月13日金曜日

036 / 080 日本兵捕虜は何をしゃべったか

10点満点で、8点。

準備、予習、フォトリーディング、調査・・・10分程度
活性化(普通に読んだ)・・・1時間半程度

同じテーマの本を連続して読むことでより理解度が増すという、シントピックリーディング。
そんな名前をつけなくとも当たり前のことだとは思うが、ここ最近太平洋戦争物を続けて読んだので、もう一冊読んでみた。

著者は米公文書図書館などから丹念に資料を当たり、捕虜となった日本兵が何を喋ったのか、それにより作戦にどのような影響があったのか、細かく調べている。読後何より痛感したのは、当時も今も、危機管理という面において日本がいかに変わっていないのかということ。

当時の日本軍は、悪名高い戦陣訓にあるとおり、捕虜になることは恥であり、捕虜になるくらいなら死を選ぶべきであり、捕虜となった以上帰国しても処刑されるだけだという教育をしていた。そして、捕虜になると残酷な拷問を受けたあげくに処刑されるだろう、と。

おそらくそれは、当時の日本軍が捕虜に対して少なからず行っていたことなのだろう。だからこそ日本兵には、捕虜になるよりも死を選んだものが多かったし、捕虜になった後は困惑している。「捕虜になるべきではない」から、「捕虜になるとどうすべきか」を教えられていないし、「捕虜になれば拷問される」はずだから、食料を与えられるだけで「あまりの厚遇に感激」するし、「捕虜になれば帰国しても処刑されるだけ」なので「帰国することを考えず、知っている情報はみな喋る」のだろう。

「行動を起こす前から失敗することを考えるな」とはよく言われる言葉だが、失敗することをまるで考えないのも愚の骨頂。しかし残念ながら、現在の日本では失敗の可能性を指摘することは消極的と言われるし、成功か失敗かの2面でのみ評価して行動するか否かを決めるし、行動する際は失敗した場合のフォローを考えない。こういうケースが多いのではないか。

内容は純然たる太平洋戦争について書いてあるのだが、むしろビジネス書として読んだ方が価値を見いだせるのかもしれない。



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