2009年2月18日水曜日

041 / 085 私はフェルメール

10点満点で、5点。

準備、予習、フォトリーディング、調査・・・10分程度
活性化(普通に読んだ)・・・3時間程度

この本も、文化放送のラジオ番組「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」で紹介された本。
20世紀最大の贋作事件と言われる、ハン・ファン・メーヘレンによるフェルメール作品の偽造事件について、メーヘレンの生涯を通じて追った本。

武田鉄矢の紹介がうまいのか、俺に美術的な基礎知識がないからか、ラジオではとても面白そうな本に思えたのに、読んでみるとそうでもなかった。

「自分を認めなかった美術界の鼻をあかす」ために、フェルメールの贋作に手をかけたメーヘレンが、いかに真贋判定を切り抜けるか、その発想とそのためのテストにかける情熱など、いざ贋作に取りかからんとする様は面白かった。しかし、その後金のために偽造を続けるところ、そして裁判にかけられるところなど、武田鉄矢の紹介は面白そうだったが、読後感はそれほどでもない。

作品とは別に面白かったのは、この事件そのものだろう。メーヘレンが偽造しているとわかったのだって、作品から調べられたわけではない。ナチにフェルメール作品を売却した売国奴、という扱いを避けるために自白し、そして自白してもなお偽造を認めない、「『エマオの食事』は間違いなくフェルメールの作品だ」と主張する専門家がいたこと、贋作であることを証明するために監視人の目の前で実際に絵を描いてみせるところなど、いかに「専門家」の眼力に頼ることが危険か、皮肉が効いて面白かった。

しかし、芸術に興味がなければ、わざわざ時間をかけて読む本ではなかったな。



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