10点満点で、6点。
普通に読んで、1時間半程度。
サブタイトル通り、『プロ野球を「クビ」になった男たち』の物語。短いながらも現役として輝いた時期を持つ者もいれば、一度も花開くことなくひっそりと去っていく者もいる。そんな男たちの物語。
期待しながら読んだのだが、意外に面白くなかった。やはり、よく知らない選手には、なかなか感情移入することができないからか。まぁ、人生それぞれなんだな、という程度の感想しか持ち得なかった。
その中でひときわ異彩を放つ面白さだったのが、最終章の野村克則(カツノリ)について。練習の虫で人柄もよく、若手からは慕われているらしいということは知っていたが、「所詮親の七光り、プロでやっていくだけの実力は持ってないだろう」と思っていた。
プロとして残した実績からするとその通りなのだが、本人がいかに努力していたのか、そして実父(それも名選手にして名監督)の下で野球をすることがいかに辛いことだったのか、今更ながら知った。カツノリというと「城島が座ったまま投げるよりも牽制が遅い」と言われるほどの弱肩、というイメージが強かったが、それは怪我に依るもの。そして、そこにメスを入れることができなかった環境。実際はどうだったのか、今となっては知るよしもないが、これが注目されない選手だったら、もしかしたら現役として花開いていたのかもしれない。
カツノリの人柄といえば、こんな話を思い出した。2000年頃だったか、紅白戦で田中秀太(秀太)が滑り込んだとき、危険なスライディングをしたのに烈火のごとく怒ったと。「相手に怪我をさせるようなプレーをするな!」と。これに対して秀太は、「プロなんだからどんなことをしても生きようと滑り込むのは当たり前」という返答をしたと記憶している。当時は秀太の言い分の方に分があると思っていたが、怪我に悩まされたカツノリの言葉だと考えると、今更ながらカツノリの正しさがわかってきた。ちなみに秀太はその後、確か2003年の日本シリーズでホークスの川崎に膝蹴りかまして「蹴太」というあだ名をつけられていたような。
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