10点満点で、8点。
活性化(普通に読んだ)・・・1時間程度
フェルマーの最終定理(n>=3の整数である時、x^n + y^n = z^n を満たす自然数x, y, zの組は存在しない)が証明されるまでを、物語調で追っている。2ちゃんねるの書き込みみたいな文体だが、そこに抵抗さえ感じなければ、非常に読みやすくわかりやすい文章で書いてある。俺にはちょっと抵抗があったが。
基本的には、フェルマーの最終定理が証明されるまでのドラマなので、数学をテーマにした本なのに、その中でも(元々は)整数論なのに、数式がほとんど出てこない。数学と言うだけで拒否反応を示す人も、本書なら特に抵抗なく読めるだろう。とはいえ、読めばわかることだが、フェルマーの最終定理はちょっとやそっとの数学力で理解できる物ではなく、その証明も非常に高度な物なので、数式を書かれたところで、理解できるのは数学を専門にしている人の中でもごく一部なのだろう。何せ、ワイルズの証明は、論文にして200ページもあるらしい。その論文にしても、先人の膨大な研究結果を基にしているので、本当に理解するには数千ページもの論文を読まなくてはならないのだろう。
数学者のエピソードというのは、物理学者などよりも話題に上ることが少ないので、知っている人は少ないだろう。そういう、なかなか知られることのない先人たちについて、わかりやすく面白く書かれていると言うだけでも、本書を読んでみる価値はあるかもしれない。
しかし、いったいどこに哲学が入っているのだろう?
「能力のある数学者であればあるほど、フェルマーの最終定理には手を出してはいけない。才能を無駄にしてしまうから」という風潮と、隠れるように研究を続けたワイルズのエピソードなど、哲学を意識して書かれたのだろうか。よくわからない。
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