10点満点で、9点。
活性化(普通に読んだ)・・・2時間程度
1981年6月8日、史上初めて各施設への直接攻撃が行われた。イスラエルから出発したF-15とF-16の編隊は、完璧な奇襲でイラクのオシラク原子炉を爆破。サダム・フセインの核開発に決定的な打撃を与えた・・・
著者は意図して書いたのか、完全にイスラエル側の視点で、この攻撃についてその背景から訓練、そして決断に至った後決行、事後処理までを鮮やかに描いている。著者の視点にはついて行けないところもあるが、善悪は別として、イスラエルのなんと意志の強いことか!
聖書の時代から対立し、民族滅亡の危機を乗り越えてイスラエルを建国したユダヤ人たちが、ただ生きることにいったいどれだけの覚悟を持っているのか。周囲すべてを敵に囲まれ、「自分はどうなってもいいからユダヤ人を滅亡させたい」と考える相手から生き抜くにはどうすべきか。断固たる意志に裏付けられた行動は、少なくとも首尾一貫している。イスラエルが決していい国とは思わないが、我が国の右往左往を見るにつけ、「覚悟」といった物にどれだけの重みがあるのか、痛感する。
既に歴史になりつつある話ではあるし、本書が書かれたのも古いのだが、国際情勢については知らないことだらけだった。サダム・フセインのイラクを「狂気の国」と認識しつつ、利益のために兵器や核技術、そして核物質を売り続ける国。イラクとフランスとの結びつきがこれほど強いものとは知らなかった。イラク戦争にフランスが反対した理由の一因ではあるのだろうか。
イラン・イラク戦争の際、クウェートがイラクに経済支援していたことも知らなかった。俺は知らないことだらけ。しかし、こうして少しずつ物事を知っていくのは、面白い。
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