2009年6月27日土曜日

141 / 185 戦争と平和 それでもイラク人を嫌いになれない

10点満点で、1点。

活性化(スキタリング)・・・1時間半程度

日本中、いやひょっとしたら世界中を失笑と呆然の嵐で包み込んだ、人質戦隊サンバカーンの紅一点、三馬鹿ピンクこと高遠菜穂子の著書。主張を知りもせずに批判するのはよくないだろうと手に取ってみたが、やはり馬鹿は馬鹿だった。

端的に言って、著者は「危険なイラクで身の危険を顧みずにボランティアしてる私って素敵!何でみんな私のことを認めてくれないんだろう!みんな知らなすぎる!」と主張しているのだろう。著者はジャーナリストではないから仕方ないが(ジャーナリスト志望の三馬鹿レッドもいたが)、客観性のかけらもない主張のオンパレード。本書を読むだけだったら、アメリカはイラク人を虐殺している現代のナチス、日本や諸国はアメリカを支援している同じ穴の狢、それに抵抗しているイラク人たち頑張れ!という感想を持つ人がいるかもしれない。

少し考えればわかるが、本書には「イラクで米軍に抵抗している人たちは絶対的に正しい」というスタンスで書いてあり、アメリカがイラクを攻撃した理由や、自衛隊がイラクで何をしているか、一切書いていない。米軍は市民を無差別に虐殺している殺人鬼の集団であり、武器を持った自衛隊が来ることは、日本も同列になるのだ、と主張している。

「絶対に武器を持ってきてはいけない!武器さえなければ襲われないのに!」と主張する著者は、自分が武装勢力に拘束されたことを本当に理解しているのだろうか? それともやはり、アレは自作自演だったのか。

一方の主張のみを取り上げ、バイアスのかかった視点で見れば、物事はいかようにでもねじ曲げて伝えることができる。その恐ろしさはよくわかった。著者は「私は政治的なことはわからない」と再三述べているが、政治的な発言ばかり取り上げているのはいったい何だろう。

著者は、渡航延期勧告を無視してイラクに渡ったことについて一切触れておらず、終始「自衛隊が来たせいで拘束された、私たちは被害者だ」というスタンスを取っている。自衛隊の撤退という要求を即座に日本政府が拒んだことについても、信じられないと言った感想を漏らしている。絶対にあり得ないことだとは思うが、万一本当に自衛隊が撤退してしまっていたら、100年や200年では回復できないほど深刻に、国際社会からの信頼を失ったということは気づいていないのだろうか。

自分を拘束した武装勢力たちには「あなたたちのことを嫌いになれない」といい、自爆テロなどで米軍を攻撃するイラク人について「心情はわかる」といい、そこだけ見れば確かに寛容な精神の持ち主ではあるが・・・自分たちを救い出すために尽力した日本政府への感謝は一切ない。

そこかしこにマザーテレサの言動について触れているが、政治的な立場の一切を拒否し、ひたすら愛を注ぎ続けたマザーテレサについて、感謝すら知らない貴様が言うな、と無性に腹が立った。

行動しない人が行動する人を批判するな、という声が時折あるが、益よりも害が大きいなら、行動しない方が遙かにいい。

三馬鹿のために、多額の税金が使われ、国際的な信用を失墜させる危険があった。外観誘致罪でも適用してしまえ。



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