10点満点で、6点。
普通に読んで、2時間弱。時間があるので、特に何もせずに読んだ。
末席とはいえエンジニアの端くれなので、こういうタイトルにはどうしても惹かれてしまう。著者は長年工学部で教鞭を執ってきた大学教授、その視点から主に大学の実態に警鐘を鳴らしている。
俺自身は大学教育を受けたことがないので、ここに書いてあることの真偽はわからない。いろいろ話を聞く限り、少なくとも理工系学部のハードな実態は書いてあるとおりだと思うのだが、文系学部が楽なのかというと、それについてはわからない。俺が知っているのは、理系出身者で「大学時代は遊んでばかりいた」という人には会ったことがないという事実だけ。
エンジニアは理論より現実を重んじて、理論と会わないことに出会うと、理論が間違っているのではないかと考える。これは当然だろう。俺もエンジニアだからそう感じるのかも知れないが、当たり前以外の何者でもないと思う。しかし著者は言う。「経済学者は、理論と現実に食い違いを認めると、現実がおかしいと主張する」と。そんなことあるんかいな。
大学のことはわからないが、少なくとも日本では、経済発展の大半を製造業、エンジニアが担ってきたことは厳然たる事実だと思う。それに対して、エンジニアが正当に評価されてきたかと言えば、これは残念ながら違うというのも事実だろう。著者によると、同じ大学を卒業しても、文系学部の卒業生と理系学部の卒業生では、生涯収入に5000万円以上の違いがあるそうだ。著者の言うように、「エンジニアが稼いだ金を、稼がない奴らが分配して、余りがエンジニアに与えられる」と考えるのも当然だろう。そして著者は、こんな惨状でもエンジニアたち、理工系大学やその教授が声を上げない現状に憂慮していることがよく伝わってくる。
日本は技術立国だとは誰が言ったか。一人や二人ではないだろう。しかしこの本を読む限り、その地位は急速に転落する寸前であることがよくわかる。
惜しむらくは、この本は散文的に書かれていて、テーマはわかるものの結論がどこにあるのかわかりにくく、「つまりどうするべきなのか?」という質問に対する答えを見つけにくい。著者自身述べているように、エンジニアは文章を書くのが苦手と言うことだろうか。
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