聡子のことを思い、勉強が手に付かない真修。数学の点が取れない。社会は勉強しなくても取れるのになあ、と思った時、聡子に「もしかして社会得意?」と聞かれたことを思い出す。そういえばあの時から社会が得意になった。
聡子のことが気になり、いつ東京に戻ってくるのか聞こうとするが、考え直す。変わりに、数学の勉強方法について聞くことにする。聡子からは、ニガガクという参考書を紹介される。見たことがない本で、書店で問い合わせると新宿には在庫があるとのことで、新宿まで出かけることにする。本のカバーが、聡子が紹介してくれたのは黄色、現在流通しているのはリニューアルされて青らしい。中身のレベルはいっしょなのだろうか、と考えながら歩いていると、髪の毛を黄色から青に染めている女性を見かける。なんとなしに見ていると、その側に聡子。思わず声を掛ける。
なぜここに、横の人は誰だろう、と思っていると、髪を染めた女性が勢いよく話しかけてくる。真友子といい、聡子の妹と名乗る。聡子はもう東京に戻っているのかと聞くと、1ヶ月後に戻るから、住む家を見に来たと言う。真修と聡子が話しているところへ、まゆはご飯を食べに行こうと誘う。真修は家で食べないといけないが、ご飯食べなくていいなら行きたい、と答える。
二人のきっかけが気になるんだけど、と聞く聡子に、サッカーの練習をしていただけの関係だと答える聡子。まゆは真修に兄がいるかと聞く。兄じゃなくて弟がいると答える真修。聡子は話題を変え、真修の用事があるのではないかと聞く。真修はニガガクを探しに来たと答えると、まゆは「だから部屋にニガガクがあったんだ」と言う。聡子は真修が必要だったらあげようかと思って探してみたが、ボロボロだったと言う。
話しているあいだに、聡子に電話がかかってくる。まゆが何を言うかわからないので席を離れたくないが、不動産屋からの連絡だとまずいので席を立つ聡子。
まゆは例によってFBIっぷりを発揮。まくらとは父親のことかと探りを入れるが、真修は小学生の頃うさぎにまくらという名前をつけていたことを言う。まくらとは真修のことか、と気づくまゆ。
真修は聡子のことが好きなのか、とストレートに聞くまゆ。別にそういうのじゃないんですけど、と真修。いつもどんな感じで会っていたのかと聞かれ、公園での練習、そして試合で頭をなでてくれたことを話す真修。
テレビで見たサッカー少年に憧れてサッカーを始めたが、ずっと補欠だった。聡子と出会ってからはどんどん楽しくなってサッカーが好きになったが、中学ではやめてしまった。本当はサッカーがやりたかったんじゃない、天才少年の頭をなでていた家族に憧れていたんだと語る真修。聡子がなでてくれたことで、ずっと憧れていた手があって嬉しかった、と真修。
それを聞いて真修の頭を撫でるまゆ。戸惑う真修に、私じゃ嬉しくないでしょ、真修が欲しかったのは「誰か」じゃなくて聡子の手だったんでしょ、とまゆ。
そこへ聡子が戻ってきて、物件は他の人に取られたと言う。
真修は意を決したように、聡子のニガガクが欲しい、今度東京に来るときは迎えに行くから必ず言ってください、と言う。ふおおおお、と混ぜっ返すまゆ。
帰り道。疲れ切って酒を買おうとする聡子にまゆは、一緒に東京に住むと宣言する。
【感想・考察】
多分単行本には収録されない、アオリ文が秀逸。
そう、真修の世界が再び色づき始める。恐らく、聡子と出会う前の真修は、無色の世界にいたのだと思う。そして、聡子と離れてからも無色の世界に戻りつつあったのではないだろうか。
それが、聡子と出会うことで色のある世界を取り戻しかけて、今また再開して色づいてきたのだろう。
また、この話からは真修が明確に恋愛感情を意識し始める。14歳という年齢だし、もう一つの意味で色づき始めるのだろう。
FBIまゆ再登場。予定通りなのか、16話でのFBIっぷりが好評かつ使いやすかったための再登場なのか。読者としては、話を大きく進めてくれるキャラだからありがたい。しかも真修聡子双方に理解があるし。
数学68点という真修は、特進クラス5位にしては悪すぎないかなあ。こういう塾には行ったことがないからわからないけど、超進学校を目指すようなクラスだろうから、平均点で90点程度、80点を切るとかなり悪い部類に入るんじゃないか。得意という社会も92点だから、普通に成績がいいレベルのような気がする。
聡子に社会が得意なのか、と聞かれてから得意になった、というのはこの世代であるあるすぎる。ちょっとしたきっかけで好きになり、好きだから得意になる、というパターンだろうな。
聡子に頬をぷにっとされたことを思い出して赤面しているが、あのときの反応は単に驚いた程度だったから、意識してなかったんだろうな。今だと、直接顔に触れることがハードルの高いことだ、というのを理解しているのだろう。
そして、本当に聞きたいことは聞かずに、当たり障りのない話題を送るのもあるある。
まゆのテンションの高さが素敵。最初からまくら関係者だと感づいているのはさすがFBI。恐らく、聡子が東京に戻るということを知っていることから、今でも連絡を取り合っている、ただのご近所さんではないと思ったのだろう。ご飯食べなくていいなら行きたい、と正直に話す真修は、FBIの前ではもう隠し事なんて無理だねえ。
ニガガクの話で、母親の物持ちがいい、というのがちょっと以外。家庭のことはあまり興味がない人物かという印象があったが、決してそういうわけでもないのか。
聡子が不動産屋と話すために席を外す時「見てるから」というのがちょっと怖い。明らかにまゆが探る気満々で、それを牽制しているのだろうが全然効いてないし。その後の展開を見ると、見える場所では話ができなかったんだろうなあ。まゆ無双すぎる。
そしてまくらが真修のことだと気づいて、恋心だろうと感づいても、否定しないのが(読者的には)いい。16話の段階で聡子はまくらと一緒の時間を過ごすべきだと思っていたのだろうが、相手が中学生だと知っても動揺しないで、そのまま受け入れている度量は只者ではない。真修の真っ直ぐさはすぐに感じ取っていたから、好感を抱いたのだろうけれど。
聡子が頭をなでてくれた話を引き出す時、周囲の客が引くほど大声を出しているのはどうかと思うが、真修が恋心を自覚するように誘導したのは素晴らしい。そして自覚した真修は、前にも増して攻めてくるようになった。顔を赤く染めて、まゆですら目をむくほど真っ直ぐに、聡子に対し正直になっている。まゆが混ぜっ返したときも、俺は真剣なんだ!という目でまゆを見ている。これでもう、自他ともに認める恋愛感情に入ったのだろう。それに対し聡子がまゆを睨みつける視線は、余計なことしやがって・・・と語っているように見えるが、これは本心なのか立場を意識してなのか。
最後にまゆが同居を宣言するのは、唐突すぎてよくわからない。何を意図しているのだろう。単に野次馬根性なのか、聡子の露払いをしたいのか。少なくとも邪魔をしたいわけではなさそうだが。
第25話のネタバレ感想
第24話のネタバレ感想
第23話のネタバレ感想
第22話のネタバレ感想
第21話のネタバレ感想
第20話のネタバレ感想
第19話のネタバレ感想
第18話のネタバレ感想
第17話のネタバレ感想
第16話のネタバレ感想
第15話のネタバレ感想
第14話のネタバレ感想
第13話のネタバレ感想
第12話のネタバレ感想
第11話のネタバレ感想
第10話のネタバレ感想
第9話のネタバレ感想
第8話のネタバレ感想
第7話のネタバレ感想
第6話のネタバレ感想
第5話のネタバレ感想
第4話のネタバレ感想
第3話のネタバレ感想
第2話のネタバレ感想
第1話のネタバレ感想
単行本 | kindle |
0 件のコメント:
コメントを投稿