10点満点で、9点。
世界に冠たる日本初の効率的生産手法、トヨタかんばん方式について、小説の手法をとって解説した本。去年11月頃買って一度読み、最近また読み返している。
買ったときは、「ザ・ゴール」の系列に属する本かと思っていたが、そうではないようだ。「ザ・ゴール」が経営に深く関わる話なのに対して、こちらは徹底的に現場・現物主義を標榜している。
「大事なのは人なんだよ」と繰り返し出てくるとおり、現場改善に対する人間関係の歪みについて重点をおいた描写をしており、その分登場人物の人間関係を常に頭に入れておかないと、なかなかわかりにくいところもある。1回目ではぴんと来なかった部分も、2回目に読み返してみると、何を言っているのかようやくわかったことがいくつもある。たぶん、3回4回と読み返すほどに、内容が理解できてくるのだろう。
これを読むまで、俺は根本的にかんばん方式というものを誤解していた。「ジャストインタイムで欲しいものが納品されるよう、下請け業者に在庫を持たせて自社の在庫を削減しているだけだろう」と。そう考えている人は俺が思うより多いのか、わざわざ「業者が持っている在庫リスクは価格に跳ね返っていると考えたことはないのか」と、登場人物の一人を激しく叱責することで否定している。
得るところは多い。小説形式だから、実際の改善がどういう流れになるのかわかりやすいし、人間関係の問題解決についてもある程度の考察がしてある。「ザ・ゴール」とともに、多くの人が読むべき本だろう。
大野耐一氏の著書も読んでみようかな。そんな気になった。
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