2008年10月19日日曜日

011 マジックの心理トリック―推理作家による謎解き学

10点満点で、5点。

残念ながら、タイトルと内容が合っていない。

マジックの多くは心理的な盲点を突いているのだ、という主張は伝わってくるが、それはマジックに興味を持つ人なら、ある意味常識だろう。問題は、どういう盲点を突くかと言うことだが、具体的な話には触れていない。

文庫で出す以上、踏み込んだことは書けないだろうことは容易に想像できる。しかしそれにしても、タイトルに「心理トリック」と書く以上、もっとそれに触れるべきなのではなかろうか。

反面、クラシックフォースについては解説があり、この内容の本でこれを書いていいのかという気になったり。全体的に、スタイルが中途半端。

市販のマジックについては、原理を含め一切の仕掛けを書かないという姿勢は一貫してあってそれでよい。しかし、こんなマジックがあると紹介しかけておいて、その現象も名称も紹介しないのはいったい何がしたいのだろう。書けないなら書けないで、興味を持った人が自分で調べることが出来るようにすればよいのに、いったい何が不思議で巧妙だと伝えたいのか、さっぱり判らない記述がいくつもある。

文庫本で出すべき内容ではなかったのだろう。これが専門書の形を取っていて、その原理と応用例まで踏み込んでいれば、名著になれたのかも知れない。



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