10点満点で、7点。
イスラエル情報機関、モサドのスパイとしてエジプトで活躍した著者の回想録。内容が内容だけに、どこまでが事実でどこまでが創作かはわからないが、必要以上の誇張と思える箇所もなく、概ね事実に沿った内容なのだろう。
スパイとしての技術などは当然機密事項であろうから、具体的な手段などの記載はほとんどないが、ドイツ人の金持ちとしてエジプト高官に取り入っていき、情報を探るではなく自分から話すように仕向けていく、その展開がスピーディで面白い。コレは何年分もの活動を短くまとめているせいだろうが。
また、スパイということが発覚してから、裁判で死刑を免れるための工作、刑務所での生活、そして捕虜交換による解放と、最後まで発覚しなかったはずの自らがイスラエル人であることがバレていたことがわかること。事実だとすると信じがたいが、それでも本文の記載で十分に説明がつくその背景。事実は小説よりも奇なりということか、よくできた説明なのか。いずれにせよ面白かった。ちなみに、著者はその後長生きしているが、妻は逮捕後の拷問が元で、早くに亡くなっているらしい。
タイトルの「シャンペン・スパイ」とは、その派手な金の使い方から「シャンペンの風呂にでも入っているのだろう」と言われてついたあだ名。そしてその具体的な手法は、同じ著者の「スパイのためのハンドブック」により詳しく記載がある。本としては、「スパイのためのハンドブック」の方が面白かった。
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