2008年10月19日日曜日

026 戦力外通告

10点満点で、4点。

同名の別の本と間違えて、図書館で取り寄せた本。手にとって初めて、「この本じゃない!」と気づいたが、せっかくなので読んでみた。

リストラされて無職の55歳の男と、夫が女を作って家を出てしまった54歳主婦の不倫物語。無職のくせに毎日のように銀座、六本木と飲み歩いているし、「乗り換えが面倒だ」とちょっとした移動にタクシーを使う、「失業保険が切れて不安になってきた」という発言が冗談としか思えない生活。タイトルと、内容からも確かに「意に沿わぬ形で不要となった人たちの奮闘」を描きたかったのだろうが、この内容なら主人公は定年退職して悠々自適の生活を送っている男でも同じだった気がする。

作品中様々な問題が出てくるが、どれ一つ解決することなく、主人公の問題も解決することなく、何となく終わっている。妙な読後感。事件はいくつか起こるのだが、どれもインパクトのあるものではなく、作品中最大の事件もあっさり片付けられてしまっている。淡泊な印象。こういう小説もあるんだな、と妙に納得した。「日常風景を切り取った作品」とでも評されるのだろう。

そもそも想定している読者層は50代以上なのだろう。俺みたいなのが読む作品ではなかったということだ。

書店で手に取ることは絶対にないだろうから、図書館で、しかも取り寄せだからこそ、一生読むことがなかったはずの本を読めた、と考えることにしよう。



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